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#1)Damien Hirst-そのテーマは死だ

ダミアン・ハースト(Damien Hirst、1965- UK)
コンテンポラリーアート(現代美術)の重要な1人。
強烈なインパクトのある”Natural History"-動物(鮫、牛、羊)をホルムアルデヒドによって保存した立体のシリーズは、あまりにも著名だ。1990年代のコンテンポラリー・アーティストの第一人者として評価は高い。YBAs(Brit artists or Britart)のメンバーだ。

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Damien Hirst-略歴
1965年、ブリストル(イングランド西部)で生まれ、*(1)リーズで育つ。
1989年、ロンドン大学(ゴールドスミス・カレッジ)ファインアート専攻-卒。その在学中の1988年、その学生たちと自主企画展覧会"Freeze"を主催し、共同出品していた学生たちと共に見出された。それは、Charls Saatchi(チャールズ・サーチ-広告代理店社長)が支えた。これが、YBAs(Brit artists or Britart)の発生といわれる。
1991年に初の個展を開く。その時までには、巨大なガラスケースや*(2)死亡した動物、薬品瓶などでの作品のスタイルは確立されている。それは、生と死を、哲学的に省察(せいさつ:自らを考える)しているのだ。その同系列に、キャンバスにカラフルな色の斑点を規則的に配する"スポット・ペインティング(spot painting)”も制作している、そのスポットは、ドラッグの暗喩と言われる。

1993年、イギリス代表として国際美術展覧会ヴェネツィア・ビエンナーレに、縦2つに切断された牛と子牛をホルマリン漬けにした作品"Mother and Child, Divided"出展した。
1995年、*(3)”Mother and Child, Divided”は、ターナー賞を受賞している。
その当初の5年間に表象したホルマリン漬けの動物入りのガラスケース作品は、現在では、イギリス現代美術の象徴と言われる。

2003年、マーズ・エクスプレスの火星着陸機「ビーグル2」に、欧州宇宙機関に依頼され、ごくシンプルな絵画を描き、火星に到着する人類初の美術品を試みた。ただ、この年(2003)、チャールズ・サーチとの意見の違いも発生している。
2008年、Sotheby’s(サザビーズ:オークション)で開催された2日間のオークションイベント「Beautiful Inside My Head Forever」も著名だ。ハーストのビジネスへの才能も感じる一面だろう。
2015年、「Newport Street Gallery」-Londonをオープンした。ハーストの多くの現代美術のコレクションを展示するためのスペースだ。
2017年、「TREASURES FROM THE WRECK OF THE UNBELIEVABLE」-イタリアのヴェネツィアが開催(海に関する異色な展示会)

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(c)Damien Hirst

(註.1)リーズの時代は、順調な生活ではなかった、万引きでの逮捕歴もあるが、それも、父が行方不明な家庭だったことも要因かも知れない。ただ、周辺の環境がそうさせたと断定的に、言いたい訳ではない・・・
ただ、Leeds College of Art(リーズ)で学び、その後、、肉体労働で金銭を貯めて進学するが、そのスタンスは幼少時の苦労から発生しているのかも知れない。
(註.2)死亡した動物:ただ、輪切りや腐敗状態で放置された動物の作品は、不可避である生と死を省察があったが、動物愛護団体や一般人からも多くの非難も呼んだ。
(註.3)1995年-以降、薬物中毒とアルコール依存症に苦しみ、その時期の作品の評価は、以前の繰り返し(自己模倣)の評価もあったが、それには当たらないだろう、それは病んでいる時だからだ。
そして、ハーストの多くの作品は彼のアシスタントや技術者の手でほぼ作られており、ハーストが作品の作家であるのか?と問われた。これについても、例えば、アンディ・ウォーホルのファクトリーや、19世紀の宗教画家等々を鑑みて、どうだろう。アーティストは、コンセプターであれば良いと感じるのだが・・

Damien Hirst at the Tate Modern

次回は、Damien Hirst-作品のコンセプトを探るにつづきます。


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