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#2)トニー・クラッグの視点-凍った動きの瞬間を体現

その彫刻は、凍った動きの瞬間を体現(理念などを形状化する)しているかのようだ。
トニー・クラッグ(Tony Cragg, 1949- /UK)
それは、New British Sculpture(新しいイギリスの彫刻)として、彫刻に新たな意味を説いている。
トニークラッグは従来と異なる素材の探求で知られるイギリスのコンセプチュアル・アーティストだ。

トニー・クラッグは、その当初の頃を語ると・・
その基本は、 「芸術、特に彫刻は、世の中の決まり事や既成概念に対抗するだけではなく、異なるルールを持つべきだ」-Tony Cragg
「1977年に使い始めたプラスチックの破片を新しい形で自由に使うことができました」-Tony Cragg
「それは当時、ほとんどパンクジェスチャー(Punk gesture/見せかけ)のようなものでしたが、ランド・アートやミニマリズムなどに対して、意識していた」-Tony Cragg

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(c)Tony Cragg

 そのトニー・クラッグの経歴の中で、1970年代後半にドイツのヴッパータールに移る前に、国立天然ゴム生産調査機関(Natural Rubber Producers' Research Association)のラボ(研究所)技術者として働いていたことの影響は大きのかも知れない。(学際的視点)
1988年、ヴェネチア・ビエンナーレにイギリス代表、ターナー賞受賞、そして、2002年に大英帝国最優秀勲章を授与された。
トニー・クラッグの作品は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のコレクション、テート(Tate/London) で開催された、そして、ワシントンDCの国立美術館など、多くの栄誉がそこにはあるのだ。
だが、トニー・クラッグの視点(極)は、そこではないだろう。
それは、トニー・クラッグの初期の積み重ねられた作品は、分類学的な体系性を示しており、人工物を「私たちの現在である過去の時間への化石の鍵」と述べている。

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 ここまでを要約すると、合理的な存在は、明らかに異なる2つの世界の美的描写間の関係をリサーチしている。それは、人間と物質、または自然の間にある、曖昧さの不即不離(ふそくふり/つかず離れず)の関係と言うことだろう。
そして、トニー・クラッグの作品は、自然や見る側(極)がどのように見えるかを探るのではなく、なぜ、見る側(極)が、そのように見えるのか、見る側(極)が感情的に反応する最も複雑な有機的な形を構築するために、理工学的事実として、数学に基づいた形式的な構造を提示している。そこが、不即不離(ふそくふり/つかず離れず)の関係なのだろう。
New British Sculpture(新しいイギリスの彫刻)として、彫刻に新たな意味を説いている。近年は鉄やブロンズなどの素材を使い、作品のメッセージも一段と多様化した。

Tony Cragg – 'Be There, See It, Respond to It' | TateShots


(追記)次回は、「トニー・クラッグの学際的な視点、それはランド・アート」に、続きます。時系列に、人の成す表象は移行せざるをえない、この作家の作品をその時点で要約しても、その作家の生き方の重心をまとめる事は出来る筈もないのだが・・・​


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