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ちょっと一息。ベニス散策。

2年おきにベニスのサン・ジョルジョ・マッジョーレ島で開催される、高級工芸品の国際展示会、Homo Faber(ホモ・ファーベル)を案内中ですが、今回は、ちょっと一息。

アートじゃないアート。Homo Faber n.1
未来の創造者たち。Homo Faber n.2
日本の匠と、イタリアと。Homo Faber n.3
紙は、紙にあらず。Homo Faber n.4

ベニスの街へと息抜きに出かけましょう。

ホモ・ファーベルの展示会場は、サン・ジョルジョ・マッジョーレ島。向こう岸に見えるのは、サンマルコ広場。展示会用の水上バスが出ているので、バス切符の高いベニスでも、入場券があれば、無料で利用できます。

5分くらいで到着。あっという間。もうちょっと距離があって、10分くらい乗ってても、ぜんぜん構わないのに。残念がりながら、下船。

名を轟かせた海軍国家、ベニス。島への出入りは、陸からでなく、当然、海から。サンマルコ広場にある、海に面した二本の柱は、ベニスの玄関口です。

定番中の定番。Ponte dei Sospiri。「あぁ」「はぁ」「ふぅ」と嘆きのため息をつきながら、二度と見られぬ、我が美しき国、風光明媚の風景を目に焼き付け、牢獄へと、重い足をひきずった囚人たち。

囚人への、ひどい演出。胸を抉られるような辛さだったことでしょう。この橋を渡ったあとは、二度と地上へ戻れず、ジメジメした地中の牢獄へと入っていくのです。

外から見ると、美しい橋なのに。たくさんの物語が詰まっている、嘆きの橋。ため息の橋。

広場にある、時を告げる時計塔。フィレンツェには、これでもか!というほど、メディチ家の家紋をあちこちに見るけど、ベニスは、これでもか!というほど、ライオンがいっぱい。

サンマルコ(聖マルコ)のシンボルは翼を持つライオン。マルコという聖人は何人かいるけど、ベニスの聖マルコは、四福音書の著者のひとり。

なんか見えないなあ。そろそろ老眼かなぁ。なんて表情の、目がショボショボしてるライオンもいたり。尻尾も心なし細いような。

みなさんも、ベニスを訪れる機会があれば、サンマルコ広場で、ライオン探しをしてみてくださいね!

ベニスって感じの、繰り返しの装飾が、なんて美しいんでしょう。太陽の光で影が落ちることも考えて、作られたのかしら。

こんな美しいロケーションなので、
いろいろなところで撮影中。

新郎がいなかったので、
雑誌かなにかの撮影かと。

サンマルコ広場からリアルト橋に向かい、大運河沿いを歩いていくと、公園があります。飲食は禁止、休憩のみ利用可能。

4月下旬に訪れたけど、藤棚が見事でした。暑い日だったので、半袖の人も多し。

よく見ると、花弁がいくつも重なっていて、八重桜のような花びら。

鮮やかなピンク。自然色なのに、蛍光ピンクみたい。自然ってすごい。

公園で花を愛でて、リアルト橋に着くと、すごい人。コロナ前じゃありません。コロナ後のいまの姿。すっかりもと通り。おかげで、展示会後は、夕食難民になりました。

ベニス散策の楽しさは、道に迷いつつ、迷宮路地に出会うこと。けもの道みたい。

グーグルマップを信用しすぎると、あさっての方へ行ってしまうので、ある程度は、直感で歩くのがよろし。

住人地区の路地運河。普通なら、サクっと横断して向かいのご近所さんへ行けるけど、ベニスでは橋を渡るために迂回しなければならない。

慣れれば、「そんなもん。」になるのかしら。

青空を切る、建物の間に走っている”あやとり”のような紐。なんでしょう?

正解:物干しロープ。
 
ナポリじゃないですよ。ベニスですよ。

ロープを引くとグルグル回転するように、滑車が付いています。手繰り寄せては干し、手繰り寄せては干しの繰り返し。洗濯物を取り込むのも、同じ方法。

洗濯物が落ちないよう、洗濯バサミできちんと止めることが最重要。

お野菜販売も、もちろんお船にて。

運搬は船。宅配便も船。ゴミ収集も船。お屋敷じゃない限り、船で目的地までたどり着けない。そのために必要なもの。それは「人力」。

平坦な道だけじゃない、運河を渡る小さな橋をいくつも乗り越え、ようやく到着。運動不足の方、ベニスに住むと、解消されますよ。

イタリアでは子供が誕生すると、玄関に「生まれました!」とお祝いのモチーフが飾られますが、このお家では、Riccardo リカルド君が誕生したんですね。おめでとう。女の子の場合は、ピンク色です。

2022年生まれのリカルド君が二十歳になるのは、2042年。近未来。どうか、平和で穏やかな世の中になっていますように。

道端で、行き交う人に踏まれて、あまり気がつかない道路に埋め込まれたプレート。ベニスだけでなく、イタリアでは、アパートの玄関前で、たまに見かけます。

大戦中にユダヤ人が住んでいたアパート。捕らえられて、アウシュビッツなどで亡くなられた方々の、追悼プレートです。

ベニスの写真は、世界中の人が撮っているけど、この窓から撮影したのは、まだ僅かでしょう。丸い窓から見える、サンマルコ広場。

22年4月にオープンしたばかり。前回、この建物が一般公開されたのは、いつだと思います?

500年前ですって! 50年とかの半世紀じゃなくて、5世紀ぶり。

Procuratie Vecchie(プロクラティエ・ヴェッキエ)と呼ばれる、サンマルコ広場に面したこの建物は、かつてのサンマルコ財務庁。財務官は、ベニス共和国でドージェに次ぐ高位官職です。

修復中の様子

財務官に与えられる、住居と仕事場を兼ねた場所。それが、この建物です。1800年代になると、ゼネラル保険会社が一部を所有し、2019年から本格的に修復を行い、ようやく一般公開されたのです。

修復中の様子

オープンスペースに改装された空間。

バール(カフェテリア)あり、コンピュータを持ち込んでのHubスペースあり、読書スペースあり。ソーシャルスペースが作られています。

コンピュータを駆使して、自分は誰か?何ものか?何ができるのか?人の可能性、自分の可能性を探る、科学とテクノロジーを掛け合わせたような美術館が併設されています。

入場券にQRコードが印刷されていて、最初のブースで名前を登録してから、いろいろな質問に答えていくと、最後に、あなたはこんな感じの人。という結果が出る、らしい。

1時間はたっぷり必要なので、時間に余裕のあるときにまた来ます。

伝統的な空間と、テクノロジーを掛け合わせて、アクティビテイ・スペースを作る。欧州だけなのかしら?最近はこのような傾向が、流行っているように感じます。

片側はサンマルコ広場。もう片側は運河。どちらからの眺めも美しい。トイレもきれい。ベニスを訪れる際には、立ち寄るスポットに加えてみてくださいね。

さて、そろそろ、戻りますかな。

次回は
Homo Faber(ホモ・ファーベル)シリーズ。
続編です。

最後まで読んでくださり、
ありがとうございます!


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