【#01】材料力学の強化書 〜連続体の定義について〜
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【#01】材料力学の強化書 〜連続体の定義について〜

谷口シン

#本記事は2022.1.5の記事の更新版です#

今回のトップは夜の東京駅。長い歴史のある駅で、建物としての安全性はもちろんのこと、周りの雰囲気に合わせながらも強い存在感を放ちます。私はよく東京駅を利用しますが、夜の光景は見ることが少ないので、なかなかレアな画像です。

さて、材料力学の話に移りましょう。

材料力学で登場する物体は、一般的に「連続体」と呼ばれます。これは物体をどこまで厳密に定義するかという話で、質点・剛体・連続体の3種類があります。

今回は、この連続体という用語の意味と考え方について学んでいきます。高校レベルの物理学の話も含まれますので、復習も合わせてお読みください。

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物体の定義に関する3種類

そもそも何を指して「力学」と呼ぶのでしょうか。まずはその話から。

物体が力を受けると、何かしら運動を始めます(静止状態も含みます)。その過程について詳細に考える学問のことを「力学」と言います。あえて堅苦しく表現するならば「物質の運動およびその運動を引き起こす力を研究する」ということなのです。

力学の世界では、物体の定義について下記の3種類に分類しています。

(1)質量だけを持つ仮想的な物体 =【質点】
(2)質量と大きさ(形状)を持つ物体 =【剛体】
(3)質量が連続的に分布する物体 =【連続体】

高校では質点と剛体の2種類が登場しますが、まずは復習として、質点と剛体について見てみましょう。

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質点の力学

高校物理の復習です。例として、四角形の物体が斜面で静止している場合を挙げてみます。力学の基本は、物体に生じる力を全て書き出すこと。そこで、斜面水平方向と斜面鉛直方向で分けて考えると、力の関係は下記の通りになります。

材料力学_#01_01

$${mgsinθ-f=0}$$ , $${N-mgcosθ=0}$$

斜面水平方向は重力(当該方向に分解)と静止摩擦力fがつり合います。また、斜面鉛直方向は重力(当該方向に分解)と垂直抗力Nがつり合います。

質点は物体の質量のみを考えます。つまり、物体を質量を有する点として捉えるのです。上記では四角形の物体を描いていますが、形は別に何でどうも構わない。

上記の場合は、斜面水平方向と斜面鉛直方向の力の関係から2つの方程式を立てられることが分かります。

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剛体の力学

次に剛体について。ここも高校物理の復習です。剛体棒が下記の状態で静止している状況を例に挙げます。先ほどと同様に、水平方向と鉛直方向で力のつり合いを考えます。下記の通りになるでしょうか。

スクリーンショット 2022-01-10 8.40.45

$${F_1-f_μ=0}$$ , $${N_1-Mg=0}$$

今回は剛体なので、物体の質量と形状を考えます。ここで登場するのが「モーメント」という考え方です。質点は並進運動だけでしたが、剛体は並進運動と回転運動のふたつを考えます。上記の黒丸部分で反時計回りを正として力のモーメントのつり合いを追加します。

$${\frac{1}{2}Mglcosθ-F_1lsinθ=0}$$

この3つの式を整理することで、静止状態における力の関係が求まります。静止するための条件まで言及できますが、少し本質からずれるので省略します。余力がある方は考えてみてください。

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連続体の力学

本題の連続体について。連続体も物体の質量と形状を考えますが、剛体との決定的な差として「変形」を考慮するという点があります。

ここまで、質点・剛体・連続体の3種類について整理すると、下記のようになります。

(1)物体の位置の変化 =【並進】
(2)物体の姿勢の変化 =【回転】
(3)物体の形状の変化 =【変形】

つまり、質点は並進運動だけ扱うことができ、剛体は並進運動と回転運動を扱うことができます。そして、連続体は並進運動と回転運動に加えて変形という挙動を扱うことになります。

材料力学_#01_03

まえがきで書いた通り、材料力学は物体の変形について論じる学問なので、物体は自ずと連続体であることが前提になります。

逆に言えば、高校レベルで扱う質点や剛体は、物体の変形を無視した理想状態と言えます。現実ではそう考えても差し支えない場面も多いので、状況に応じてどこまで厳密に考えるかを見極めることが大切です。

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おわりに

今回は材料力学を学習する上で重要な概念である「連続体」について、高校物理の質点と剛体の復習も交えて説明しました。

連続体が相手になると手計算では立ち行かないこともあるので、一般的にはコンピューターシミュレーションに任せることが多いです。まさに私が現在進行形で従事している内容です。

ただ、今回を含めた基本原理を知らないでシミュレーションに任せるか、理解した上で任せるかでは雲泥の差があります。今回のマガジンも、基本的な力学の話を振り返りながら進めていこうと思うので、ぜひお付き合い頂けたら幸いです。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。

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谷口シン
関東圏在住の会社員(エンジニア)。学問的な話題が好きな理系男子です。今年は『材料力学の強化書』の出版を目指しています。他に読書感想文やイベントレポートなど、色々と発信しています。様々なコミュニティーに身を置きながら、渡り鳥のように自由でしなやかに生きることを心がけています。