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ベクトル解析から力場を理解すること -4-

計算力学を扱う上で必ず通ることになる「解析学」の話題から、ベクトルを併用した「ベクトル解析」に関する連載記事です。

ベクトルの話は高校から登場しますが、関数(任意の独立変数に従い数値の変動を起こすもの)という視点からベクトルを扱います。ベクトル場やスカラー場と呼ばれる「場」が多岐に渡り登場します。

前回はベクトル解析から「発散定理」に関する話をしました。導出過程と応用例を織り交ぜての話でした。

今回はベクトル解析の応用(定理)の第2弾として「ストークスの定理」について解説します。ストークスの定理とはある曲面S(その境界に相当する閉曲線C)と曲面Sに対する単位法線ベクトルnを積分形式で繋げた定理です。

$${\int_{S}rot(A){\cdot}n{\,}dS=\int_{C}A{\cdot}dr}$$

ここで、左辺の積分内の記述はハミルトンの演算子(前回参照)とベクトル場Aの外積を意味します。前回と同様に、ストークスの定理の導出過程の話からノートにまとめることにします。


ストークスの定理の導出過程

ストークスの定理の定式化は先ほど書いた通りです。今回の導出過程は閉じたシリンダーの領域を仮定して、発散定理も交えて積分を考えていきます。

ここではストークスの定理を直感的に見ていきます。ストークスの定理の左辺の積分内の変換(回転)は局所的な存在を意味します。

閉曲面の各点で定義される局所的な回転を全面で足し合わせることが積分の意味になります。局所的な回転を格子状に区切りますが、各格子の面積を極小値(極限)を取れば、結果的に正致の積分計算になります。

そこから、曲面内では隣接要素で回転の打ち消し合いが起こります。それらを集約すると、最終的に境界線上の線積分だけが残ることが分かります。これがストークスの定理の変換の意味合いになります。

ストークスの定理の応用例

ストークスの定理を利用した簡単な計算問題に取り組みます。境界線上を指す位置ベクトルの表現方法は媒介変数tを使いますので、最終的な積分計算はtを使う形に変換する必要があります。

この辺は実際に計算問題を重ねていかないと理解が難しいかもしれません。ここでは、ストークスの定理を使うことで面積分を線積分に変換して、計算を楽にできることを理解頂ければと思います。

なお、ストークスの定理は曲面が区分的に滑らかであれば(尖る地点が有限個の範囲で収まる形であれば)、十分に適用可能な定理と言えます。これはかなり緩やかな条件ですので、物理の問題に登場する大抵の曲面に対して使用できます。

おわりに

今回はストークスの定理の話を中心に進めました。発散定理の時と同じく、イメージから内容を理解することを付け加えました。

前回紹介した発散定理とストークスの定理は、物理方面でも使う機会が多いベクトル解析上の定理です。自分は電磁力学の授業でお世話になりましたが、他にも使う機会はありそうです。

丁度の例題として電磁力学の話題を出しましたので、次回でこの辺の話から実用的なことに踏み込んでいければと思います。

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最後まで読んで頂き、ありがとうございます。この記事があなたの人生の新たな気づきになれたら幸いです。今後とも宜しくお願いいたします♪♪
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