小説・成熟までの呟き 23歳・2

題名:「23歳・2」
 美穂は、2013年の秋に大学時代の友人とシンガポールへ行った。有給休暇が取れたためである。いろいろな文化が味わえることが興味を持つきっかけだった。マーライオン公園ではライオンが水を噴き出す姿に驚いた。リトルインディアは、濃さのある雰囲気だった。アラブストリートには、独特な空気が流れていた。セントーサ島ではリゾート気分を味わった。シンガポール・フライヤーという観覧車からの眺めには、迫力があった。動物園のナイトサファリは面白かった。社会人になり半年が経過し、美穂は「仕事で身につけるべきことは多いけど、その分だけ充実している」と言った。ある友人は、「私は昔からOLになることに憧れていた。だからその当事者になれて日々ワクワクしている」と言った。また、ある友人は、「私は今総合職で、毎日バリバリ外回りをしているよ。少しでも格好よく決めたいって思う。髪も、知性を見せるためにバッサリ切っちゃった。ますます仕事に燃えてきたよ。」と言っていた。その友人は学生の頃は、髪が胸の上あたりまであり、どちらかというとおとなしい印象だった。でも就職を通じて、「私は中心を担う立場になりたい」という気持ちが芽生えて、意識を変えていった。今では、顎ぐらいの髪の長さになっていた。「仕事って、人を大きく変えるのかなあ」と思った。旅を終えると、3人はそれぞれまた散っていった。そしてまた元の日常が始まっていくことになる。

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