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マーケティングと身の上の片隅で

Marketingに携わると、妙に話がフィットしないことがあり、また会話するもの同士、互いに理解はしているけれど、どの部分の話をしているのかを擦り合わせながら話すということがあります。自身のキャリアとしてもどう進めばいいのかと考えることもあります。

・業務レイヤー

まずは、業務のレイヤーで「戦略的レイヤー」「コミュニケーションレイヤー」「オペレーションレイヤー」で話が変わってくると思います。

・戦略レイヤーでは、基本的にマーケ部署だけで決められるようなものではなく、会社全体方針・市場選定・商品企画・年間予算策定・人員配置などに関わるものです。

・コミュニケーションレイヤーでは、会社の方針に沿って広告出稿プラン・広報活動・インターナルマーケ・SNS計画・コンテンツマーケ計画・WEBサイト情報整理など、外部顧客(または社内)に向けて何をどのように発信していくか、どのような目標をクリアしていくかを実行に移していくものです。

・オペレーションレイヤーでは、コミュニケーションプランに沿って、広告の作成、エクセル上での分析、ウェビナーのファシリテーション実施、数値管理などです。(以下はBtoBのマーケスキルマップ参照)

・ターゲットと自社フェーズの四象限

上記の業務レイヤーを前提とした次の論点として、ターゲット(主にBtoCとBtoB)と自社のフェーズによってマーケティングに求めるものが異なるという点が挙げられると思います。

マーケティングにおけるターゲットと自社フェーズの四象限

❶ 2C×成熟フェーズ
主なターゲットが2C(一般ユーザーや消費者)向けで、かつ自社のマーケティングの状態も成熟している状態。P&Gのご出身の方々やフィリップ・コトラー氏など様々な顧客理解やマーケティング関連書籍が販売されているのでどれも参考にしています。顧客リサーチ、ブランド戦略、大規模な広告出稿、オウンドメディア、各種キャンペーン、店頭ポップなどそれなりに思いつくものは最適化されているケースが多いと思いますので、求められるものは、同業社での同経験やナショナルクライアントのコンサル経験など、しっかりとしたマーケ経験を土台にして応用が必要になると思います。

❷ 2B×成熟フェーズ
主なターゲットが2B(企業、協力会社)向けで、かつ自社のマーケティングの状態も試行錯誤がかなり進んでいる状態。昨今では、THE MODEL型のようなマーケによるリードジェネレーション、リードナーチャリング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス、といった明確な役割分担による最強の顧客製造工場です。これにより、各パートのKPIもボトルネットも明確になる傾向があると思います。
このパターンの場合は、マーケはなんと言ってもMA(マーケティングオートメーション)ツールの熟練度や導入支援など、またそれらのツールやセミナーや資料ダウンロードなどの手法を駆使して良質リード(見込み顧客のお問い合わせ)数を獲得して次の役割の人にバトンタッチしていく能力が必要となります。このあたりのスキルに特化している方もいると思います。

❸ 2C×未熟フェーズ
スタートアップ企業やマーケ部署発足からまだ時間がたっていない未熟フェーズは、役割分担も明確ではなく、予算投下や人員配置も明確ではないため手探り状態が続く状態です。2C向けも2B向けも同様のことが言えると思いますが、2Cの場合はより自社のユーザーの購買や利用までの経路(カスタマージャーニー)が社内で認識があっていないとすると、注力施策を定めづらくそもそも人もいないということも考えられます。市場リサーチ、顧客分析などもまだ手付かずで、基本的なところから考えて実行してことが必要となると思います。そういう意味では、そのような守備範囲広く、試行錯誤をしていく柔軟性が必要なスキルとなると思います。

❹ 2B×未熟フェーズ
同様に未熟フェーズなので、守備範囲が広くなりがちです。ただし、2B向けの方が基本的に成功パターンは❷の2B×成熟パターンに近づいていくと思いますので、マーケ手法もいかに限られた見込み顧客に対して、セミナー開催によるリード、展示会、また資料ダウンロード情報からのメールマーケティングが一定の正攻法にはなると思います。
ただ、未熟フェーズなので、リード獲得は有効かどうかも定かでない(市場が限られていてダイレクトセールスでこと足りるなど)場合や自社のサービス認知の拡大や商品整理など、多岐にわたるスキルが求められます。役割ができていない分、人によってはマーケティングの幅はクリエイティブ作成や商品開発にも及びます。

・自身の役割と業務の幅の四象限

なかなか悩ましいのが、自身のお給料や年齢や経験などのキャリアも無視できないという点です。例えば、それなりのキャリアでSNSの運用だけをやっている状態はあまり企業のマーケティングとしては、フィットしてこないかもしれません。(SNS経由での売上が全体の半分以上で、超重要パートなんてこともなくはないかもしれませんが、それなりのコミュニケーション計画が必要だろうと思います。)

マーケティングにおける自身の役割と業務の幅の四象限

❶ 専門的×役職者
全体の方向性を指し示すことができ、2Cや2B向けのマーケティングの経験や知見が十分にあり、他組織やマーケ組織メンバーごと動かすことで会社の売上に貢献することができるようなイメージです。

❷ 網羅的×役職者
どちらかというと、マーケティングを中心にキャリアを積み上げてきたというよりも、サービスや商品設計、または経営から必要に駆られてマーケティングが必要となる場合など。個々のマーケティング施策についての知見や専門性は劣るかもしれませんが、専門性は他の人に任せて網羅的にマネジメントを行うイメージです。

❸ 専門的×実行者
マーケティングリサーチやマーケティング計画立案などの経験を実務上積み上げ、また2B向けでいうとリード獲得におけるデマンドセンター構築や個々の分析ツール、アクセス解析ツールに熟知しているイメージです。専門的な環境に身を置いても数年は経験が必要でしょうか。

❹ 網羅的×実行者
意識していなかったけど結果的に自分のやっていることはマーケティングと呼ばれるジャンルだったということもあると思います。広報とマーケ間でのジョブローテーションや、販売促進・営業企画のような営業サポートの立ち位置の延長上でマーケティングの領域に突入するようなことも多いと思います。

・最後に

「ターゲットと自社フェーズの四象限」でも「自身の役割と業務の幅の四象限」でも同様ですが、自身のポジションと会社として必要なポジションがフィットすることは難しいということです。もちろん、どこの領域を特化するか意図的なキャリアチェンジができれば素晴らしいと思いますし、結果的にある領域でスキルを発揮できていたという場合もあると思います。

いづれにしても、マーケティングの話をしていて、相手はどの部分の話をしているんだっけ?とか自分が次に進むべき象限はどこだっけ?など、迷子になりがちなので整理していくことが重要だろうと思いました。

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