ありん

介護施設勤務 趣味の妄想が炸裂

ありん

介護施設勤務 趣味の妄想が炸裂

最近の記事

どこに行くんですか?

介護施設で夜勤の際、定時にトイレ誘導する認知症の高齢女性が居る。 穏やかな性格で、深夜にも関わらず「〇〇さん、トイレに行きましょう」と軽く上体を揺らして起こしても「はい、わかりました。お世話を掛け、ごめんなさいね」と職員を気遣う。目覚めが良いので助かるが、歩行に関しては援助しないと転倒のリスクがあるので慎重に支えて一歩を踏み出す。 その際に必ず真顔で「どこに行くんですか?」と聞かれる。 心の声として私に聞こえるのは「私の行きたい所に貴女連れて行ってくださらない?」だ。

    • 還暦を過ぎて天職に導かれる

      親の介護が終わり、夫とは死別、一人息子は結婚し独立した。 現在、独り身で身軽状態である。 この時を何十年来、楽しみに(一抹の不安もあるが!)待ち続けて来ただろう? 子育てに必要だった家も家財も売却し色々なローンを完済したら、身辺整理して子供の頃からの夢だった世界一周の船旅に行きたいというのが野望だった。 しかし、そんな私に息子が尋ねる。 「お母さん、その船旅から帰ってきたらどこに住むの?どんな仕事して暮らしていくの?言っておくけれど、お母さんの面倒を見られるほど俺は

      • 梅雨のひとやすみ

        アオガエル君の、このペタッとした皮膚感に触れて遊んでいた子供時代を久々に思い出した。 雨が降ると通学途中でも葉っぱを覗き込んでは、手を差し出して生き物探しの繰り返し。学校まで中々たどり着けず、遅刻も度々していたような。。。 随分とマイペースな子供時代で勉強など興味なく、忘れ物トップクラスで色々な人に迷惑を掛けていたのだろうと、半世紀を過ぎて反省する。 梅雨 毎年こんなにも長かったっけ?と思うのは長引く外出自粛ムードのせいかしら。 二階の部屋の窓から、少し乾いた路面を見

        • 時を重ねても、初めての一歩は勇気がいるもんだ

        どこに行くんですか?

          ☆物語のおわりに☆

          読んでくださいました全ての方へ 「ありん婆ちゃんの夢物語」にお付き合い下さり誠に有難うございました。 長引くコロナ禍 色々な思いや体験をしましたね。 また、始めの頃に起きた プリンセス・クルーズでのショッキングなニュースと混乱。影響の大きさ、関係者の方々の落胆ぶりに私も心が痛かったです。何より罹患した方々の心身に及ぼす影響など、治療が終わった今どうされているのか?気になるところです。 今後、色々な対策が立てられ以前よりも快適な生活が出来ますように願ってやみません。私も

          ☆物語のおわりに☆

          第18話  最終話 本来の姿で

          翌朝  スタッフ控室。 雅楽のモーニングコールが部屋に流れる。 (いやいや、、、。今朝の運動はいいや、、、。もう一寝入りだ。) 玉二郎さんから電話で 「アマビエ様のデッキに集合!」とだけ言い電話が切れる。 (昨夜の余韻に浸っていたい~という甘い考えは通用せずだ) 眠い目をこすりカーテンを開けると、アイクがベットから半分落ちながらもイビキをかいて寝ている。 私「アイク!起きて。私達呼ばれてる」 アイク「何?朝ごはんならいらないよ~昨日食べすぎた」 私「いいから着替えて

          第18話  最終話 本来の姿で

          第17話 神様達のディナーショー

          ~ディナーショー会場(宴会場)~ フロアーでは黄色いミニワンピース姿のドリーンが頑張って飾り付けをしている。 私は黒のワンピース。アイクも雰囲気を揃えて黒の蝶ネクタイにジャケットでキマっている。 ドリーン「今日は大忙しでしたね。これからの時間は皆んなで飲んで食べて楽しみましょう~」 ステージの真ん前には、アマビエ様の特別席。両脇には椅子が6脚ずつ。 その後ろには和、洋、中華の料理とお酒のテーブル、お菓子コーナー スイーツ、お土産ビール、アマビエ様グッズが並んでいる。

          第17話 神様達のディナーショー

          第16話 アマビエ様 月夜のトリートメント

          ~アマビエ様のお部屋~ 夕陽が水平線に沈んでいく シャワールームからアマビエ様がガウンを羽織り出てくる。 玉二郎さんにエスコートされ、デッキに誂えたベッドに向かうアマビエ様 アマビエ様「あ~今日は最高だったわ。清水港から富士山までを満喫したのなんて初めてだったけど日本てやっぱりいいわね。」 玉二郎「最高な時間は続きますよ。今度はお肌にも良くリラックス出来るアロママッサージを受けて頂き、癒やしの一時を楽しんで下さい。」 アマビエ様「この年になって、初めてづくしね!?何だ

          第16話 アマビエ様 月夜のトリートメント

          第15話  アマビエ様の本音!?

          清水港近く 予約した料理店、午後1時半にドリーン一行到着 奥座敷に通されると、遠くから見ても豪華なお膳が並んでいるのが解る。 アイク「うぁ~、美味しそうだね!こんなの暫く食べてないよ。お腹ペコペコだから早く食べたいよ~」 ドリーン「アマビエ様待ちよ。」 すると既に上座でゆったりと寛いでいるアマビエ様がいらした。 アイク「やった!お昼にありつけた!」 永遠の成長期!?食いしん坊のアイクである。 ドリーンはアマビエ様のもとに行く 「お待たせしましたか?御免なさい

          第15話  アマビエ様の本音!?

          第14話  アマビエドローン

          宝船は清水港へと入っていく。 ~目の前にはドーンと見事な富士山 絶景~ アマビエ様は「おおっ!さすがに霊峰富士!これだけ近くで見られるなんて感動だわよ~」と声を上げる。 ふわっとしたスカーフに明るめの花柄ドレス。つばの広い帽子。 アマビエ様の出で立ちは外国のセレブという感じ。 玉二郎さんは白い縁のサングラス、白いジャケットにルーズに下がった高価そうなデニム。 オーラが半端ない。 ドリーンはツアーガイド風。マリンカラーをベースに可愛くも機能的な格好。 アイクと私は

          第14話  アマビエドローン

          第13話 地下室の腹黒い奴

          100号室 アマビエ様のお部屋 部屋から続くデッキには、沢山の光が降り注がれている。 波が穏やかで最高のクルーズ日和。 サングラスをして日光浴をされているアマビエ様と玉二郎さん そこに、私とアイクはへお掃除道具を持参し、ご挨拶に伺う。 私「アマビエ様、お早う御座います。昨夜はご挨拶せずに失礼いたしました。私、浦島ありんと申します。この旅の間、アイクさんと一緒にお手伝いをさせていただきます。」 アマビエ様「そうなのね。宜しく。昨夜は迷惑かけて悪かったわね~アイクは慣れ

          第13話 地下室の腹黒い奴

          第12話 太陽礼拝 それぞれの朝

          翌日の早朝 私は浅い眠りでベットに居るのも辛く、船のデッキに出て朝日を待つ。 太陽がゆっくりと昇って海面が煌めき始める。 やがてモーニングコール(雅楽と共に)が流れてくる。「皆様、お早う御座います。素敵な朝です~朝日を浴びて身体を動かしましょう!」 眩しい光を後ろからも感じるので振り向くと、七福神様方のお出まし。 神々しい柔らかな光をまとった弁財天様が現れた。 朝日を拝みながらYOGAを始めたお姿が美しい。 (あ~私のYOGAとは違い、しなやかで神々しいこと) 軽や

          第12話 太陽礼拝 それぞれの朝

          第11話 神のみぞ知る

          100号室に急いで駆けつけると、七福神様が取り囲む中、ドクターとナースが神妙な顔つきでアマビエ様の応急処置をしている。 祈り始める神様たち。それぞれ緊張感にあふれている。 アマビエ様は横になったままピクリとも動かない。 酸素マスクが外された。 (アマビエ様の顔面は蒼白というよりドス黒い) 玉二郎「先生!?アマビエ様の具合は?」 ドクター「神のみぞ知る。」と一言残し立ち去る。 ナース「七福神様方もお部屋にお戻り下さい。」 七福神様方は心配そうにゾロゾロと帰ってい

          第11話 神のみぞ知る

          第10話  ロイヤルスイートルーム 超高齢ゲストはアマビエ様!?

          , ドリーンが小さな声で「アマビエ様 失礼いたします。」と言いながら薄暗い中を側に近寄り、呼吸を確認し異常が無いか?確認している。 布団を掛け直し、そっと退室するのを入り口から見させて貰う。 (アマビエ様!?実在の方だったとは、、、確かに超高齢のセレブ様!) ドリーン「さ、次のお部屋でご挨拶は終わりです。アマビエ様の専属コンシェルジュ。隣室の69号室を特別に誂えて待機されています。」 ノックして応答あり、入室する。 ここはジム?と思わせるような運動器具が置かれ、筋肉

          第10話  ロイヤルスイートルーム 超高齢ゲストはアマビエ様!?

          第9話 シェアハウス住人は、まんま七福神様とな

          001号室 大黒天様 ドアをノックし、応答が合ったので入室する。 部屋一面に黄金の壁紙。光輝く眩しすぎる照明と一体化した上半身ハダカの男性が金色の椅子にゆったりと座っている。 (どうみても西田敏行さん!?いや、本物の大黒天様!?どっち!!!) ドリーン「叔父様、お久しぶりです。この度はお仕事依頼を有難うございました。宝船までご用意くださり、ホント太っ腹で格好いいんだから~」 ドリーンを引き寄せ嬉しそうにハグをする大黒天様。 大黒天様「もう、ドリーンの為ならおじちゃま

          第9話 シェアハウス住人は、まんま七福神様とな

          第8話 動くシェアハウス

          宝船が港を離れていく。 デッキが夕陽に照らされて綺麗だ。 どんどん小さくなる高層ビル、倉庫、コンテナ いよいよ新しい職場。 ここからが私の再スタートの始まり。 ドリーンは、船を愛しそうに撫でながら 「小さい頃に時々遊びに来ていた宝船で働けるとは私も夢のようです。実はアイクも遠い親戚でして、ここで私がおむつを替えたこともあるんですよ~」」と笑う アイクが照れて「一緒にお風呂に入ったこともアルヨ~」と言い返す。 私「仲がいいんですね~」というと ドリーン「昔は取っ組み合いの

          第8話 動くシェアハウス