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第17話 神様達のディナーショー


~ディナーショー会場(宴会場)~

フロアーでは黄色いミニワンピース姿のドリーンが頑張って飾り付けをしている。

私は黒のワンピース。アイクも雰囲気を揃えて黒の蝶ネクタイにジャケットでキマっている。

ドリーン「今日は大忙しでしたね。これからの時間は皆んなで飲んで食べて楽しみましょう~」

ステージの真ん前には、アマビエ様の特別席。両脇には椅子が6脚ずつ。
その後ろには和、洋、中華の料理とお酒のテーブル、お菓子コーナー スイーツ、お土産ビール、アマビエ様グッズが並んでいる。


テーブル上には、恵比寿さまが釣られた真鯛80センチの舟盛りが置かれている。
今夜のために観光にも行かず頑張られていたそうだ。
満足気に鯛を掲げる等身大の恵比寿様パネルもステージ横に展示。


☆ ☆ ☆   本日のセットリスト  ☆ ☆ ☆
司会 (開会の挨拶)福禄寿様
①大黒天様(乾杯の挨拶)歌 「お客様は神様です~(三波春夫さんのモノマネで)♪世界の国からコンニチハ♪
②弁財天様&福禄寿様  ♪星より密かに~♪
③寿老人様&恵比寿様  ♪サラリーマンスーダラ節♪(二人の酔っぱらい)
④毘沙門天様&布袋尊様    二人腹芸 (こちらも二人の酔っぱらい)

☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆


いよいよ、正装した玉二郎さんに手を引かれ虹色に煌めくドレスを着たアマビエ様がフロアーに登場される。

(お身体のむくみが消え一回り細くなられている。そして色白!?)


宝船の住人が「おおっ~これは美しくなられて素晴らしい」と声を上げる。

まさみナースも「アマビエ様とっても良い香り~」と褒めちぎる。

アマビエ様「あらやだ~そんなに違って見えるの?」と満足気だ。

七福神様達は勢いに乗り、やれ立派だの、美魔女だのと重ねて持ち上げる。

アマビエ様が照れながら来賓席に腰掛けると、照明が暗くなりステージが照らされる。


福禄寿さまが、マイクを握って登場し、開会の挨拶をする。

一同拍手♪

「私、今日は弁財天様と、ヂュ、ヂュエットするから司会はしないよ」とマイクをもったまま頬を赤らめてステージを降りて席についてしまう。

隣席の弁財天様にすっかりのぼせ上がった福禄寿様だ。


まさみナースが慌ててフォローに上がり「アイク、マイク、ハヤク持ってこっち来い!」と機転をきかせ笑いを取りながらセットリスト通りに司会進行して行く。

七福神様方は慣れたもので、カラオケ大会状態に飲んで食べて歌って大いに盛り上がる。

アマビエ様も鯛のお刺身に舌鼓をうち、笑い泣き、飲んで忙しい。


まさみナース「さあ、トリは皆様の健康を願い我らがドクターの18番で決めて頂きましょう!!!」

拍手でステージ中央に登場したのは、「東村山音頭♪」に合わせた白鳥姿のドクターだ。

「あれ?チョンマゲのマツケンサンバじゃ無いのかよ~」とざわつく。


一同が唖然とする中、ドクターは明るく歌おうとするが声が出ない。

ドクター「すみません、今回は「マツケン」サンバではなくて、アマビエ様がお好きだと伺った方の「けんさん」で頑張ろうと思ったんですが、やっぱり、、、。」


「ドクター、無理しなくていいですよ」とあちこちから声が掛かる。


ドクターはちょっと涙目になりながら小さな声で、、、

「ドリーンさん、モニターで映像出してあげて下さい。」


ドリーンが操作して背後のスクリーンに「故エンターティナーの神様」が現れ音声が流れる。

「私のことは忘れても、笑う気持ちだけは、皆忘れないでねぇ~」


アマビエ様が思わず立ち上がる。


アマビエ様「忘れるわけが無いじゃない!大好きなんだから。今は新時代に向けてバージョンアップしに行ってるだけよ!早く帰ってきて!!!」

まさみナース「そうそう、5G対応のお笑いは超高速だからね~。帰ってくるのが楽しみだね~」と、言いながら泣き笑いしている。

アマビエ様はおいおいと泣き始める。

周囲も静かになる。

ハンカチで涙を拭きながら「この方の冥福をお祈りすると共に、疫病で亡くなられた方全ての方へ、どなたか鎮魂歌をお願いできないでしょうか?」と見回す。 
 
皆、鎮魂歌を歌える格好ではない。

玉二郎さんは、周囲からの視線を感じる。


福禄寿様「玉二郎さん、私からも是非お願いしたい。」


玉二郎さんは、迷った挙げ句「大先輩の福禄寿様から仰られては断れませんな、、、では、アカペラで鬼滅の刃/炎を歌わせてもらおうかな。」


静かに歌い出す玉二郎さん。


七福神様達は玉二郎さんを取り囲み、静かな祈りを始める。

玉二郎さんはゆっくりと、そして力強く歌い終えた。


フロアーの明かりが灯る。

アマビエ様「玉ちゃん、そして皆さん。本当に有難う!私まで勇気づけられた。想いは天に間違いなく届いたわね。これで安心よ。」

感激の拍手が沸き起こる。


ドリーン「アマビエ様、改めてステージ上から一言頂けますか?」と促す。

アマビエ様が照れながらステージに上る。

「今回は私の為に二泊三日の船旅をプレゼントして下さり有難うございました。図々しくも、おもてなしの数々を頂戴しますと何でしょう?本当に癒やされ、リフレッシュできて力が湧いてきました。」


七福神様たちも微笑んで満足そうだ。


「そして何だか腹の底から笑いたくなってきました。あはは~」


皆、つられて笑いはじめた。

神様の笑いの渦がグルングルンとおきる。


アイク「笑神様が降臨してるよ~~~~~すごいね!」


神様達からのオーラがすごい事に!
夜とは思えないほど光が眩しい。

私は目眩がしてくる程、圧倒されまくりだ。


やがて船長服に着替えたドクターが、さりげなくステージに立たれる。

ドリーン「では、ドクターとアマビエ様のダンスで今夜の会を終えたいと思います。」

照明がムードたっぷりに変わる。

ムーンリバー曲が流れ、ドクターが手を差し伸べると照れたアマビエ様が応じる。

ゆったりと二人は踊り始める。

音楽につられ、七福神様も踊りだす。


ドリーンもアイクもまさみナースも私も
全員♪そして夜が更ける。

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