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第14話  アマビエドローン


宝船は清水港へと入っていく。

~目の前にはドーンと見事な富士山 絶景~


アマビエ様は「おおっ!さすがに霊峰富士!これだけ近くで見られるなんて感動だわよ~」と声を上げる。


ふわっとしたスカーフに明るめの花柄ドレス。つばの広い帽子。

アマビエ様の出で立ちは外国のセレブという感じ。

玉二郎さんは白い縁のサングラス、白いジャケットにルーズに下がった高価そうなデニム。
オーラが半端ない。

ドリーンはツアーガイド風。マリンカラーをベースに可愛くも機能的な格好。

アイクと私は飲み物やお菓子を携え、新しいマリンブルーのポロシャツとチノパンツに着替えている。
皆のワクワク感が伝わる。大人の遠足風景だ。


港に近づくと、予約していた観光バスの運転手さんが手を振っている。


いよいよ下船


ドリーンさんが停車中のバスの運転手に挨拶し、一同乗り込もうとすると、、、。
アマビエ様「ちょっと待って~私、バス酔いしちゃうかも~自信ないわ」と尻込みして見せる。


玉二郎「船で体力が回復されたから大丈夫ですよ。もしくは霊体になって一気に飛んで行かれても良いですけど、どうされますか?」

アマビエ様は嬉しそうに
「そう?軽く飛んじゃっても良いかしら~んじゃ、神社巡りのついでに神仲間と女子会でもしてくるからさ、昼御飯頂くお店で待ち合わせでいい?」


玉二郎「それなら、一応カメラ付きGPSをサングラスにセットさせて。僕とお揃いだよ」

アマビエ様「あら~嬉しい。友達に自慢しちゃお!」

そう言った瞬間に、どぉっっっ~っと地響きを鳴らし、上空に飛び上がるアマビエ様。


空から私達に手を振ってみせる。


玉二郎さんの手元モニターには、アマビエカメラから送られてきた映像が。

私達の姿が豆粒の様になると、次は水揚げされた桜エビを天日干しする光景が映し出される。

鮮やかな紅色の絨毯のようで美しい。


やがて急旋回し、新緑の茶畑のグラデーションを楽しんでいる様子。


その後は、富士山に向かって一直線に飛んで行く姿は既存のドローンより軽やかだ。


ドリーンはその姿に見とれ「アマビエ様、お見事です~」と空を仰ぐ。

「主役が居なくなっちゃいましたね(笑)折角バスをチャーターしてますから、ここは玉二郎さんの行きたい所に行っちゃいましょう!」とたきつける。

玉二郎「じゃ、遠慮なく行きますか?鬼のいぬ間のなんちゃらで、楽しみますかね」と一同バスに乗り込み思い思いの席を選ぶ。


私は斜め前に座るドリーンに聞く「ドリーン、もしかして船に居らした七福神様達も霊体で観光されていらっしゃるという事?」

ドリーン「フフフ、内緒。ありんさんの隣の席空いてるけれど、誰かさんが座ってるかもよ~。」と悪戯っぽく笑う。
私は慌てて、ドリーンの隣の席に座り直す。


ドリーン「この清水港は神戸、長崎とともに日本三大美港の一つとして数えられ、特にこの駿河湾からの景色は海からのアプローチだからこそ楽しめる絶景なんですよ。」


私「感動的でした!アマビエ様も喜んでいらっしゃいましたね」


ドリーン「ありんさんも笑顔が戻ったし、ネ!」

(ああ、気を使わせて恥ずかしい、、、。)


玉二郎「もし、可能なら久しぶりに家康様ゆかりの史跡を訪れてみたいですな。」と一番うしろの席から叫ぶ。


ドリーン「了解です。運転手さん、宜しくおねがいします。」

アイク「家康様って神様?」と首を伸ばして振り返り玉二郎さんに聞く。
運転士さんも笑って、和やかムード。


バスは富士山本宮浅間大社~国宝、久能山東照宮へと観光に向かう事に。


玉二郎さんは、東照宮でお参りの後、アイクに出世御守を買って渡す。


アイク「僕、これでエンジェルから将軍様に出世よ~。アリガトウ玉二郎さん~」と叫び周りの笑いを買っていた。


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