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第12話 太陽礼拝 それぞれの朝


翌日の早朝

私は浅い眠りでベットに居るのも辛く、船のデッキに出て朝日を待つ。
太陽がゆっくりと昇って海面が煌めき始める。


やがてモーニングコール(雅楽と共に)が流れてくる。「皆様、お早う御座います。素敵な朝です~朝日を浴びて身体を動かしましょう!」

眩しい光を後ろからも感じるので振り向くと、七福神様方のお出まし。

神々しい柔らかな光をまとった弁財天様が現れた。
朝日を拝みながらYOGAを始めたお姿が美しい。
(あ~私のYOGAとは違い、しなやかで神々しいこと)

軽やかにジョギングしているのは寿老人様かと。
(いつか一緒に走ってみたい。それには鍛えなきゃな~)

ジャグジーに入って「あ~気持ちいいじゃぁねえか、なぁ!」「ああ!たまんねえな~」と声が大きいのは毘沙門天様と大黒天様で、、、
(あそこには入れる隙間も無さそうだ)

サングラス姿で海を見ながらスマホ片手にワハハと笑ったり喋ったり、今どきのクラブハウスをしているのは布袋尊様ね!(楽しそうで聞いてみたいわ~)

コーヒーを飲みながら絵巻物を見ていらっしゃるのは、、、何だかタモリさんに似ている様な?
(ココは挨拶に行かねば)

「あの~お寛ぎのところを失礼します。007号室の福禄寿様でいらっしゃいますか?」
福禄寿様「左様じゃが、、、?」
私「昨日、ご挨拶に伺いましたがお留守でしたので。新しく入りましたヘルパーの浦島ありんと申します。これから宜しくお願い致します。」
福禄寿様「ああ、昨日はブラブラ出掛けていたからね~身体傷めないように頑張って。」と、言いながら視線の先にはYOGAをしている弁財天様が。
私「はい、有難うございます。」と、邪魔しないようにそっと離れる。


では、船尾でルアーを投げる練習をしていた、情報番組MC加藤さん似の男性が003号室の恵比寿様かと?
(近づいたら危ないので少し離れて声を掛ける)

私「お早う御座います!恵比寿様ですか~」
恵比寿様「そうだけど、何~?」
私「新人ヘルパーの浦島ありんと申します。」
恵比寿様「あ~、待ってたよ~今忙しいから又後でな!頑張って~」
私「はい!宜しくおねがいしますっ!」

皆さん、気持ちの良い方々ばかりで良かった。これで、一安心だ。


フロントに立ち寄るとドリーンが集中して画面に向かい仕事をしている。
私「お早う御座います。」
ドリーンは明るく顔を上げ「ありんさん、お早う御座います。昨夜はアマビエ様の件、アイクと深夜に有難うございました。」
私「いえいえ、とんでもないです。ドリーンこそ、床に寝てるのでびっくりしました。色々無理されません様に」
ドリーン「ありがとう。昨日寝た分、元気ですよ~。朝ごはん、今のうちに3人で行きましょうか?」
私「良いですね!早速アイク呼んできますね」

控室に戻るとアイクが起きて、ジュースを飲みながら真剣な顔で船内新聞を読んでいる。
アイク「この新聞、昨日の夜にドリーンが作ってた~富士山の写真とか神社とかキレイだよ。今日行く所は美味しそうな海鮮丼もあるんだね?」
私「アイクは本当に食いしん坊だね~「朝ごはん一緒に行きましょう」ってドリーンが誘ってるよ」
アイク「はい~それを待ってました!」

~ホールでパンケーキとフルーツの朝ごはん~

ドリーン「食べながら聞いて欲しいんだけど、今夜はこの場所で七福神様主催のディナーショーが開催されます。主賓は勿論アマビエ様です。」


私「それは楽しそうですね!皆さん歌われたりするのですか?」


アイクはパンケーキにソースをたっぷり掛けて頬張りながら「ほぼカラオケ大会ダヨ」と笑う。


ドリーン「今回の旅は疫病退散に奮闘されたアマビエ様を癒やして差し上げたいという七福神様達の熱い思いが込められて期待大です。」


私「それで皆さんの船にお招きされたんですね!?」


ドリーン「神様達も高齢ですし、老々介護は危険ですからね~。」


アイク「ありんちゃんも老々介護!?イヒヒ♪」


ドリーンが私をチラ見して「アイク、そこまで言うならありんさんのフォローを必ずしてよ!!!」」


私はプチ切れしているドリーンをチラ見する。
(ココは私がキレなきゃいかんところだったか?)


アイクは申し訳無さそうに「解ってますって!頼りにしていいよ~。」


ドリーンは気を取り直して話を続ける。
「でね、アマビエ様の体調が良ければですが、昼は観光、夕方帰って来てシャワー後にアロマトリートメント、その後、ディナーショーです。」


私「結構ハードスケジュールですね。」


ドリーンは頷いて「メインは玉二郎さんが担当しますが、アロマトリートメントはありんさんの体力で持ちそうですか?」


私「どうにか頑張りますけれど、玉二郎さんのオーラが眩しすぎてダメかも・・」

アイクはケケケと笑い「何言っちゃってんの?仕事、仕事!。ありんちゃん、これからって時にダメ言っちゃうのはダメダメよ~。」


私「だって、、、。イケメン見るとドキドキして手が震えちゃうんですよ」


アイク「だっても、ナシよ!そんなに緊張するならコレ貸してあげる。オーラ眩しくないよ」と、ジャケットから格好いいサングラスを取り出す。

ドリーン「玉二郎さんのオーラは誰もが認める所。認めます(笑)お二人に、お伝えしておきますね」

アイクは膨らんだお腹を擦り満足気だ。ドリーンも昨日より肌ツヤがいい。
私も仕事に集中しよう!言い訳は封印せねば。


ドリーン「一息ついたら二人でアマビエ様のお部屋掃除お願いしますね。私はフロントで観光バスの方と連絡確認してきます。」と一足先に席を立つ。

アイク「ボク、掃除苦手なんだよな~。ロイヤルスイートのお部屋広いから時間かかるんだよ、ありんちゃん頑張ってね」と。


私「掃除なら、任せて!」と言いたいところだけど、どんな作りなのだろう?
そして、ロイヤルスイートでどんな風に過ごされてるのか?


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