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第9話 シェアハウス住人は、まんま七福神様とな


001号室 大黒天様 ドアをノックし、応答が合ったので入室する。

部屋一面に黄金の壁紙。光輝く眩しすぎる照明と一体化した上半身ハダカの男性が金色の椅子にゆったりと座っている。

(どうみても西田敏行さん!?いや、本物の大黒天様!?どっち!!!)

ドリーン「叔父様、お久しぶりです。この度はお仕事依頼を有難うございました。宝船までご用意くださり、ホント太っ腹で格好いいんだから~」

ドリーンを引き寄せ嬉しそうにハグをする大黒天様。

大黒天様「もう、ドリーンの為ならおじちゃま、一肌でも二肌でも脱いじゃうから!何でも望みを叶えてあげるよ。勿論、世の中が良くなる為ならね!」

打ち出の小槌を振って見せ、私とアイクを見てニコリと笑いウインクするお茶目さ。

大黒天様「新人ヘルパーのありんさんね?よく来たね~アイクとしっかり頑張ってね~」
(声も西田さんじゃないですか!)

目をまん丸くして部屋を出る私を見て、笑いを堪えるアイク
ドリーンは冷静を装い次の部屋へ


002号室 弁財天様 
ドリーンがチャイムを鳴らすと、モニターで顔認証されロックが外れる。
ドリーン「美しいだけでなく控えめで、だけど芯のある自慢の叔母です。」

入り口から白檀の良い香りが漂い、奥に進んでいくと蓮の花が浮かぶ水槽の手入れをする吉永小百合さん似の女性がす~っと立っていた。

私達を手招きして花を見せてくれる。ドリーンが紹介してくれると、かすかな声で「どうぞよろしくね」と言ってくれたので控えめに挨拶させて貰う。

(なんとも神々しい方だ。)


003号室 恵比寿様 ドア開けっ放し 高そうな釣り竿が壁一面に飾られている。
釣り上げた鯛の魚拓の数々が見事だ。そのせいか部屋が少し生臭い。

基本、部屋に居ないそうだ。


004号室 布袋尊様 ノックすると明るく元気な声 

ドアが開き、タレントの近藤春菜さん似の布袋様がお菓子袋を抱えて現れた。

「お供え物で悪いけれど、捨てられなくてさ~良かったら食べてね~」と袋を差し出す。アイクは慣れたふうに手を出し受け取る。

部屋を出て、ドリーンが慌てて袋の日付を確認して小さな声で言う。
「基本、金品を頂かない様にお願いしますね。お菓子位なら良いのだけど、たまに古く傷んだのもあるので気をつけて下さい~」
私「解りました。気をつけます。」

005号室 寿老人様 ドリーンに促されノックすると軽い声で「何~?」と応答

アイクに背中を押されて入り「新人の挨拶に参りました。」と頭を上げると、、、

そこには

私の大好きな北海道が生んだスター「大泉洋さん」が立っていた!
もう、一瞬で声が枯れて出ない。

見かねてドリーンが「こちら、住み込みヘルパーをしてくれます「ありんさん」です。」というと「ワタクシ、寿老人と申します。若く見られますが結構年いっちゃってるのよ~朝は元気なんだけれど、夜が不安でね、宜しくね~」

私「はいっ。お手伝い致しますから呼んで下さい。でも、大好きなタレント大泉洋さんに似ていたので驚きました。」

寿「いや~彼と違って私の泉は枯れっかれだからね~もう干涸らびちゃってんのよ~」と喋りも似て聞こえる。
私、笑いたいのを堪えて先に退室。
(いろいろな意味で、もう、もたない。これが神様パワーなのか?)

アイクが、声高く笑いながら出てくる。「寿老人様 面白すぎ~」

ドリーンが私を見かねて「あと2軒だから頑張って!」と背中をさすって落ち着かせてくれる。
(あと2軒、あと2軒、、、)

006号室 毘沙門天様

 部屋から怒号が聞こえてくる。

ドリーンからノックをするように促されるが、怖くてたじろぐ。
アイクが代わりにノックして入室すると「てめぇ~!!!倒してやる!」とキレている。

ドリーンが明るく声掛けすると、ガラッと人が変わったように振り向き席を立つ。
穏やかな顔つきのカンニング竹山さん似の毘沙門天様が近づいてくる。

「悪いな~今ゲームで戦ってたんだよ~。あっ、新人さんの~ありんさんね。話は聞いてるよ~爺様が多いからこれから末永く宜しくね!」と優しく挨拶してくれた。


007号室 福禄寿様 出張中につき留守 

(はぁ~終わった?)

ドリーン「いよいよ今回のゲスト、超セレブで超々高齢者のお部屋へ行きますよ。お休みなので挨拶せずに安否確認という事でね」と足早に上の階へ。

安否確認とは、ご病気か、医療器具を付けられていらっしゃるのだろうか?

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