ai小説遠く離れていても
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真夜中、スマホの画面が青白く光る。彼からのメッセージ。
「おやすみ」
たった3文字なのに、胸が締め付けられるような痛みと温かさが広がる。
私と彼の間には、462キロの距離。
でも、心の距離は、きっとゼロに近い。
そう信じたい。
朝は5時に起きる。バイトの前に、彼の住む街の天気予報をチェックするのが日課だ。
今日も晴れ。
ほっとする。
彼が傘を忘れがちだってことを、私は知っている。
小さな日常の断片を想像するだけで、少しだけ近づけた気がする。
遠距離恋愛って、こんなにも甘くて切ないものだったんだ。
そんなある日、彼から突然の電話が来た。
「今、君の街の駅にいるんだ」
その瞬間、世界が止まったように感じた。
駅に着くまでの道のり、信号が変わるのが永遠のように思えた。
そして、改札口。
彼の姿が見えた瞬間、涙があふれ出した。
「どうして...」
「君に会いたくて、我慢できなくなったんだ」
抱きしめられる。
遠く離れていても、こんなにも愛されていたんだと実感する。
「ずっと側にいたい」と彼が呟く。
「でも、まだ無理だよね」と答える私。
彼は黙ってうなずいた。
別れ際、彼が小さな箱を差し出した。
開けると、中には一粒の種。
「僕たちの未来の木だよ。一緒に育てよう」
その言葉に、また涙が溢れた。
遠く離れていても、二人で何かを育てていける。
その実感が、心に暖かく広がっていく。
彼が去った後、窓辺に種を植えた。
毎日水をやり、話しかける。
彼との思い出を語りかけながら。
いつか、この木が大きくなったとき。
きっと私たちは、同じ場所で手を繋いでいるはず。
そう信じて疑わない。
遠距離恋愛は、距離だけじゃない。
時間も、心も、未来も繋ぐものなんだ。
そう気づいた瞬間、もう二度と寂しくはなかった。
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