【欧州ひとり旅】拡散する
バスを降りて改めて、今日という日の暑さを実感します。標高は1,000mをこえているはずですし、10月でも麗麗と生い茂る木々は涼を与えてくれそうですが、そんなものは、なにも役に立たないようで。
バスを降りたひとびとは、思い思いの方角へ散ってゆきました。木陰のベンチに腰掛けるひと、バイエルンをよく見渡すことのできる、東にある吊り橋へ向かうひと、そして、北にあるお城へ向かうひと。
わたしはというと、どうしたいのかを決めていませんでした。ひとまずバスに乗ってここまで来ましたが、ここから先どうしたいのか、よくわからない。木陰のベンチに座って考えようとも思いましたが、ベンチは満席、わたしの気持ちはパンケーキ。お母さんが作るような、平べったくて何かに押しつぶされたような、あるいは拡散して薄くなっていったような、そんなパンケーキな気持ち。
残り1/3ほどになったミネラルウォーターを、ビー玉3個分くらい口にふくんで、さて、これからどうしよう。
欧州ひとり旅日記より抜粋
in Hohenschwangau, Germany Oct.2023