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哀愁の鉄仮面(八重洲 新槇町ビルヂング)【東京フォトジェニック】

新槇町ビルヂング
竣工 1974年6月

東京駅八重洲北口を出て正面、鈍く光る構造物が在る。

あからさまに70sスペーシーを醸し出すこのビル、グランドピアノをモチーフにしたらしい。
確かに緩やかな側面のカーブはメロディを奏でているが、その音は冷たく、エッジの効いた印象を受ける。
小学生の頃、江戸川乱歩の「鉄仮面」を読んだ時の感覚に近い。

スペーシー。
1969年のアポロの月面着陸。そして、1970年の大阪万博。人々は宇宙との距離を狭め、未来を実感したのだろう。
そうして生まれた遺産は、我々に未来の設計図だけを示して立ち尽くす。

もしあの頃の心を持ってこの建物に出逢っていれば、冷たいなどと感じなかったのだろうか。
現代、未来を創造するには余りに問題が多い。
一寸先を生きるだけでも、繊細な選択を強いられる。

もっと豊かな心があれば、僕は冷たいと感じなかった。
夢と未来への期待に溢れたデザインが羨ましい。

東京エレジーである。

スペーシーさ ★★★★☆
エレジー ★★★☆☆
佇まい ★★★★★

編集:望月怜史
【Alica ギター担当】
Twitter:@alica2016_info
→フクザワ氏 個展BGM/ミライオトロック サンプラー収録
【八王子学生サミット】
地域活性化を目的にしたイベントを企画。

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