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神楽坂の小丘に建つ現代神社 赤城神社×御神酒ジェラートを堪能【東京神楽坂】

私達の身の回りに当たり前にあって、日々の生活を豊かにしてくれるもの、それは建築と甘いもの。
このnoteでは建築好きのやま菜がおすすめしたい建築と甘いものを紹介していきます。

今回訪れたのは、古さと新しさが交錯し、オトナの雰囲気が漂う街、東京神楽坂。
神楽坂駅をでて、駅前すぐの参道を進んだ先にとっておきの建築と甘いものスポットがある。


1.建築家隈研吾氏による神社×集合住宅に注目

駅をでて1分ほど歩くと今回の目的地である赤城神社の鳥居がみえてくる。

赤城神社は鎌倉時代の1300年(正安2年)に創建された歴史ある神社で、2010年に「赤城神社 再生プロジェクト」として大規模な建て替え工事が行われた注目の神社だ。

この再生プロジェクトでは、建て替え資金を賄うために神社の土地の一部に約70年の定期借地権を持つ分譲住宅「パークコート神楽坂」が計画されたのも大きな特徴。
また、この赤城神社と集合住宅のデザインは建築家の隈研吾氏が手掛けていて、木や和の要素と、ガラスとアルミといった現代的な素材を組み合わせたデザインとなっている。

【赤城神社 施設情報】
住所:東京都新宿区赤城元町1-10
行き方:神楽坂駅より歩いて約3分
竣工:平成22年
設計:隈研吾/隈研吾建築都市設計事務所
賞など:2011年度グッドデザイン賞
公式Webサイト:https://www.akagi-jinja.jp/

石段を登るとまず見えてくるのは螢雪天神だ。
この螢雪天神は、1876年にすぐ近くの横寺町にあった北野神社(朝日天満宮)が境内社として遷座されたもの。
一度は第二次世界大戦の戦災で焼失していまったが、蛍雪天神として再興されている。

赤城神社の境内は人工地盤の上につくられていて、側面から見てみると神社が宙に浮いているかのようだ。
元々神社は自然や天といった信仰対象から高台に建てられることが多いが、それに加えて神楽坂では坂道が地域の重要な特徴となっている。
小山や坂を人工地盤としてつくっているのが隈研吾氏らしい。

坂の下は駐車場やバックヤードとして活用されている。
確かに神社の敷地を見渡すと、余計な要素が視界に入らない。

再び坂を上がるとシンプルな木屋根の下にガラスで囲われた建物境界が特徴的な拝殿がみえてくる。

社殿の前に鎮座する狛犬も可愛い。
この狛犬は江戸時代に「加賀白山犬」として流行した図案を復元したものだ。

社殿は遠くから見ると深い軒の下にある深淵な空間が印象的だが、近づいてみると木の温もりを強く感じられるのが面白い。

ガラスと木の素材のコントラストがとても美しい。
木の使い方にも工夫があって、縦に細かく割った垂直の木材を組み合わせることでスケールを分割しているのも注目ポイントだ。
分割された木部材は、大判のガラスとも対比されて、コントラストがとても美しかった。

2.現代と過去が交錯する神社で御神酒ジャラートを堪能

神社で参拝をいた後は境内にあるあかぎカフェでひと休み。

赤城神社では最初に触れたように、境内にパークコート神楽坂という集合住宅がはいっているのだが、このパークコート神楽坂の低層部には神社の社務所やホール、カフェなどの機能が納められている。

このパークコート神楽坂によって、神社の建て替え費用を賄いつつ、純粋な社殿や本殿以外の諸機能をまとめてひとつの施設内に集約しているのだ。

社務所ではお守りや御朱印といったアイテムも入手できる他、こちらのカフェでひと休みできるのがうれしい。

あかぎカフェはイタリアンのシェフによる本格パスタやサンドが頂ける他、ケーキやジェラートなどのおやつメニューも充実しているのが特徴。

今回頂いたのはこちらの御神酒ジェラート。
神社といえば儀式の中で御神酒を使いますが、こちらのジェラートはそんな御神酒を使った神社ならではのメニューだ。

甘酒のような独特の風味と、優しい舌触りのジェラートはまさに絶品。
御神酒といってもアルコール感はないので、普段お酒をあまり飲まない方でも楽しめるメニューとなっているのも嬉しい。

ドリンクはアイスハーブティーをチョイス。
さっぱりとした味わいのハーブティーは甘いジェラートにピッタリだ。

ジェラートを頂いたあとはパークコート神楽坂を少しだけ見学。
パークコート神楽坂の上階は、低層部は単身者向け、中間部はファミリー層向け、高層部は高齢者向けなど幅広い間取りとなっていて、カフェには住民らしき人からご近所の方、神事の来訪者など様々な人が利用しているようだった。

また、建物の外装は縦ラインを強調させたアルミのルーバーとペイントで覆われていて、神社に向けて坂を上がるときに気にならないような景観上の工夫がされているのも好印象だ。

シックなカラーに現代的な素材を使っているのに、どこか「儚さ」のようなものを感じるデザインは隈研吾氏が得意とするデザインでもある。
垂直強調のデザインは拝殿の木材の使い方ともリンクしつつ、建物の境界が曖昧になり、まるで雲のような抽象性も感じられる。

単に神社として完結するのではなく、かつての神社がそうであったように、地域に開かれ新たな拠点となるようにデザインされているのが伝わってきてとても面白かった。

3.あわせて訪れたいおススメのグルメ建築

せっかくなので、赤城神社・パークコート神楽坂とあわせて訪れたい神楽坂の建築についても紹介したい。
(神楽坂には本当に素敵な建築が多いが、ここでは食事もできるおススメ建築として2建築を紹介する)

まずはじめに紹介するかもめブックスは、神楽坂駅を出てすぐのところに建つカフェ・ギャラリー併設の本屋さんだ。

約135㎡ほどのコンパクトな店内には、雑誌や売れ筋の話題本から、ちょっとマニアックなこだわりの選書本までがテーマごとに幅広く並べられている。
訪れるといつも時間を忘れて本棚の隅から隅まで眺めてしまう大好きな本屋さんだ。
道路側はカフェになっているので、購入した本を待ちきれず読み始めたり、美味しい珈琲店やプリンを頂きながら至高のひと時を過ごすことができるイチオシスポットだ。

【かもめブックス 施設情報】
住所:東京都新宿区矢来町123 第一矢来ビル1階
行き方:神楽坂駅より歩いて約1分
竣工:平成26年
設計:リーフデザインパーク
営業時間:11:00~21:00
定休日:水曜日
公式Webサイト:https://kamomebooks.jp/

続いて紹介するla kagū(ラカグ)は、かもめブックスの前の道路を渡ってすぐのところに建つ商業施設だ。
この建物は、元々は1969年に建てられた新潮社の倉庫だったが、赤城神社と同じく隈研吾氏の手によってリノベーションがなされた建築だ。

広場に面するAKOMEYA食堂は、こだわりのお米とご飯によく合うおかずの組み合わせが素敵な食堂だ。
世界的な建築家の空間と美味しいご飯が存分に味わえるおススメのスポットであり、雑貨や食品なども扱うストアもあるので建築巡りと合わせてお土産も入手できるので、是非立寄ってみてほしい。


【la kagū 施設情報】
住所:東京都新宿区矢来町67
行き方:神楽坂駅より歩いて約2分
竣工:平成26年(改修)
設計:隈研吾/隈研吾建築都市設計事務所
賞など:2015年度グッドデザイン賞
公式Webサイト:https://www.akomeya.jp/store_info/store/sinlakagu/

今回は第3回ということで、神楽坂エリアの建築と甘いものを紹介しました。
どの建築も素晴らしい体験をもたらしてくれる名建築なので、皆さんも機会があれば是非訪れてみて下さいね。

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