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発行部数1万部のローカル新聞でみたこと

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某地方都市で発行部数1万部という超ローカル新聞社の記者をしていました。全国紙とは違った田舎のほほえましくもエグいできごとについて紹介します。
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2020年8月の記事一覧

郷土紙という新聞(連載14)左側にはいつもブーメランが!

郷土紙という新聞(連載14)左側にはいつもブーメランが!

【見慣れない大刷りが!】取材から帰ると、私のデスクの上には見慣れない大刷りが2枚置いてありました。
大刷りとは、入稿された記事と写真を紙面として編集した印刷前の原稿です。ゲラというほうがわかりやすいかもしれません。

記事を書いた記者とデスク、編集局長、紙面を組んだ整理記者らに必要な紙面(ページ)が配られます。
通常、大刷りは記事を入稿した後にもらうものです。
午後の早いうちにもらうとしたら、前日

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郷土紙という超ローカル新聞(連載13)コーヒーチケット買収事件

郷土紙という超ローカル新聞(連載13)コーヒーチケット買収事件

【代打取材】遊軍記者を用意できるほど人員的にも経営的にも余裕がない郷土紙では、新人が遊軍を兼ねることもあります。もちろん本来の遊軍記者のような鋭い切れ味のキャンペーンを企画するわけではありません。担当記者が同じ時間帯に取材案件が重なったなど物理的に難しい場合の代理程度のことです。新人に回ってくるのは、写真を撮って資料をもらい、ちょっとだけ話を聞けばいいような簡単な案件ですから。

本社がある本郷市

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郷土紙という超ローカル新聞(連載12)警察とファッション関係のプレスは同じ?

郷土紙という超ローカル新聞(連載12)警察とファッション関係のプレスは同じ?

【青焼きもらってきて】取材を終えて帰社する途中に新聞社から電話がかかってくることはよくある話。出たついでにどこかもう1件寄ってきてほしいとか、○○で資料をもらってきてくれとかいうついでのおつかいです。
新人のころは、それがたくさんありました。。
この当時、すでに携帯電話を社会人の大多数が持っていたため、すぐに用件を確認できました。ポケベル時代はいちいち公衆電話を探すかサボっている喫茶店からかけなく

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郷土紙という超ローカル新聞(連載11)本社来訪という情報戦

郷土紙という超ローカル新聞(連載11)本社来訪という情報戦

【新聞は下半分に真実が書かれている】仲の良い取材先の社長さんがいっていた印象的な言葉があります。
「オレは、新聞は下半分しか読まない。本当のことが書いてあるのはそこだけだから」

ぐぐっ…。
痛いところをついてきます。

確かに見出しは東スポに限らずちょっとオーバーなところがあるよな。
大きな記事では、ミスリードするように書いている新聞もあるよね。
ウチ(本郷日報=仮称)も選挙のときなんかけっこう

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郷土紙という超ローカル新聞(連載10)仲良しクラブに加入?

郷土紙という超ローカル新聞(連載10)仲良しクラブに加入?

【他紙記者との出会い】連載9までは順調に毎日投稿していたのですが、第10回で2日休んでしまいました。
ネタはあるのですが、まとめていませんでした。
来週以降は週2本平均のペースになると思います。

郷土紙の取材、特に新人の場合は他紙の記者といっしょになる場面がけっこうあります。
行政機関や団体などの「発表もの」の取材に行かされることが多いからです。
まずはこういう場所に出かけて各市町の担当者らに顔

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郷土紙という超ローカル新聞(連載9) 読者は誰?

郷土紙という超ローカル新聞(連載9) 読者は誰?

【産経新聞を上回る!】私が所属していた本郷日報(仮称)は、発行部数が約1万部です。公称は、もうちょっと盛っています。実際に配達されているのは、おそらく9000~9500部くらいなのではないでしょうか。エリア内のコンビニや駅売店でも多少扱っているので、実売部数は不明です。
大手全国紙のように、本社が販売店に新聞を押し付ければ引き取ってくれるような「押し紙」はありません。「ありません」というよりも規模

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郷土紙という超ローカル新聞(連載8) ゴホッ 誤報

郷土紙という超ローカル新聞(連載8) ゴホッ 誤報

【そんなはずは】
入社して1カ月ちょっと。内勤のかたわらお店の取材というのも慣れてきたころでした。
報道局の庶務を担当している人からメモ書きが回ってきました。
書かれていた内容は「印刷部長のカツラがズレている」などといった80年代の中高生が授業中に回すようなおもしろ系ではありません。
「○×時計店の電話番号がまちがっていたみたいです」
ゴホッ、ゴホッ!
飲みかけのコーヒーが少しむせりました。

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郷土紙という超ローカル新聞(連載7) 喫茶店の新メニューは、ニュースになるのか

郷土紙という超ローカル新聞(連載7) 喫茶店の新メニューは、ニュースになるのか

【情報屋の源さんはいない】
入社して2週間。
自社の過去の新聞を読みつつ電話取次ぎや校正の手伝い、予告記事の作成で内勤をしていたら、ついに最初の取材に行くようにと指示がありました。

編集局長から紙をを1枚もらいました。
取材を依頼するFAXのようです。
当時はまだFAX全盛時代でした。もちろん電話もあります。
ついでに申し上げると、小さな新聞社のため、一記者にいきなり編集局長から指示があります。

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郷土紙という超ローカル新聞(連載6) 理想は逆三角形

郷土紙という超ローカル新聞(連載6) 理想は逆三角形

【結論からね】新聞記事は、文体が古い以外にも独特の文章があります。
前回紹介した「記者ハンドブック」の最初のほうにも書かれているのですが、新聞記事の基本は「5W1H」+「逆三角形」です。

補足する必要はないかもしれませんが
WHEN いつ
WHERE どこで
WHO 誰が
WHY なぜ
WHAT 何を
HOW どのようにして
で、六何の原則ともいわれますよね。

5W1Hはわかるとして「逆三角形

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郷土紙という超ローカル新聞(連載5) まるで虚構新聞

郷土紙という超ローカル新聞(連載5) まるで虚構新聞

虚構新聞のようなイメージ新聞をお読みになる方、サイトで新聞記事を読む方はご存知だと思いますが、新聞には独特の文体があります。

例えば
東京都は○日、▲△□○と発表した。
事件があったのは
○○○○の容疑がかけられ
▲▲によれば○■だという。

などですね。

わかりにくいなと思ったらまるで虚構新聞のような感じだとイメージしてくれればいいのではと思います。

ちょっと古めかしい文章で、新聞以外では

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