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大都会の孤独

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noteを始めてから書き溜めた39本のエッセイ、短編小説を1冊のマガジンにまとめました。 【収録作品】 売れない役者をやっている役者について書いた『僕の叔父さん』、都会で一人暮…
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記事一覧

大都会の孤独

(「noteのcakes」アカウントにて2019年4月14日に書いたものを修正して転載) ①4月から住んで…

水の
1年前
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秘密の質問

(2020年3月21日に「noteのcakes」アカウントで書いたものを転載)  犬を飼っている。アプリコ…

水の
1年前
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我が家の犬が死にそうだ

(2021年3月13日に「noteのcakes」アカウントで書いたものを転載)  実家で飼っている犬が、今…

水の
1年前
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祖母の鼻毛が伸びていた話

(2020年6月13日に「noteのcakes」アカウントで書いたものを転載) ① 自己評価というのは往々…

水の
1年前
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星座とか見てる感じ

(2019年6月8日に「noteのcakes」アカウントで書いたものを転載)  多分、誰にでもあるんじゃ…

水の
1年前
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地獄を見ている

(2019年7月7日に「noteのcakes」アカウントで書いたものを転載)  年々、他人との交際に対し…

水の
1年前
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十代の街

(2019年6月15日に「noteのcakes」アカウントで書いたものを転載)  東京での暮らしが今年で6年めになった。月並みな感想だけど「早いなあ」と思う。人間は歳をとればとるほど時の流れが速く感じられるようになるらしいが、わずか24歳の現在の時点で、すでに時は激流だ。これから30歳も40歳も50歳も、同じぐらい、いや、よりいっそう早く流れていくのだ。そんなあっという間の一生のうち、果たして一個人は何回変わることができるだろう。不甲斐ないと感じる自分を克服することって、本

写真を洗う

(2019年3月13日に「noteのcakes」アカウントで書いたものを転載)  2011年夏。宮城県の石巻市…

水の
1年前
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全て人の道

(2019年6月1日に「noteのcakes」アカウントで書いたものを、非表示化にともなって転載) 人か…

水の
1年前
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僕の叔父さん

(2020年4月18日に「noteのcakes」アカウントに書いたものを転載) ① cakesのインターンをし…

水の
1年前
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オロナミンCをつい買ってしまう心理

(「noteのcakes」アカウントに2020年4月5日に書いたものを転載)  甘い飲み物があんまり好き…

水の
1年前
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これはある種の定点観測

(「noteのcakes」アカウントに2019年3月9日に書いたものを転載)  一週間に一本、駄文を書い…

水の
1年前
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ドラッグみたいな夢を見すぎて脳みそがスカスカになった人間

(「noteのcakes」アカウントに2019年5月4日に書いたものを転載しています) ①  時々、「暗…

水の
1年前
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二匹目の虫

その小さな蠅捕蜘蛛を私が見つけたのは、勤め先の会社に休職願を出してから二週間が過ぎた日の夜のことだった。  蜘蛛は短い手足をそろそろと小刻みに動かしながら、仕事机の横の白い壁の上をゆっくりと歩いていた。  (餌を探しているのかな)  私はベッドの上に寝転がったまま、枕元のリモコンで部屋の電灯を点け、右腕を伸ばしてベランダへと通じる窓を少しだけ開けておいた。するとすぐに一匹の羽虫が部屋の中へと飛び込んできて、壁に鎮座している蜘蛛のすぐ脇へ止まった。蜘蛛の視線と羽虫の視線の交差