出会い20~完

親熊に気づかれぬように楽にした。

小さな身体は小さく吐息を吐いた。なぜこんなに苦しまねばならないのかわからないまま、塵となり旅だった。

母熊は怒り、我々の止めるのも聞かず、村に向かい小熊の匂いを探した。血に混じる我が子の匂い間違いないこの村だ。吼え暴れた。

猟銃を持った者たちに追い回され、森に逃げ戻る。その繰り返し。幾日も眠れない。熊の悲しげな咆哮に目が覚める。

自分が神の使いでありながら、祈った。熊の心を助けてくださいと・・・

でも、やっと私も眠れる。白兎はぽつんと呟いた。

事の起こりは、私が占い婆に神の子の存在を伝えた事にある。全ての人の運命が狂った。

無理矢理連れてこられた影丸の母、婚姻前の妻と子供を連れ去られたお館様は占い婆に騙されてるとも知らず、戦に派手な甲冑をつけ神に挑んでいた。

村長は本来なら前の村長の娘と結婚し、幸せになれたかもしれない。

全ての事が必然ならば、なぜこんなにも苦しまねばならなかったのか、私は深く深く悔恨の海に沈んだ。

そして、今は我々の神々の使いとしての使命が終わったのだと、心から思う。長すぎた生命は運命を弄んでしまう。

だが、新たな時代は神の子が開けてくれた。

もう、我々は元の世界に戻ろう。どんなに引き裂かれても、出会ったこの親子のように環境に負けない人々に全てを託す

話し終わると、白ウサギは砂になり風にとばされた。最後になお、愛しい神の子出会えて良かった。風がささやいた。

小さな村は隣村の直轄地となり、村長は出ていった。あとをなぜか、異母弟様がおさめることになった。

社にはあとを次ぐものがなく、寂れていった



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