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夜と海

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夜と海をめぐる四つの散文。
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2019年1月の記事一覧

# 帳

# 帳

 列車は大きな弧を描いて停車した。
 遠く、幾重にも重なる朝靄の向こうに山の稜線が連なる。岸壁に沿ってカーブを描く線路、三日月型のプラットホーム。そこは終着駅。

 人影はない、無人の改札口。
 切符を投げ入れ、駅を出ると、もう使われていない小さなロータリーがあって、もう使われていない古い型の車が数台停まっていた。地面から生えた草がそのタイヤに絡むように伸びていて、それはある種の芸術作品のようだっ

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# ボート

# ボート

君は知っているか、
夜が何処からやってくるのかを。

君は知っているか、
海が何処にあるのかを。

時計の針が重なり合ったところから、
誰かがレコードの再生ボタンを押したところから、
街灯が消えて、
通りに誰もいなくなったところから、
夜はやってくるのかもしれない。

ソーダ水を注いだ真夏のグラスの中に、
ポーランド人の深い悲しみの中に、
病床の母の胸の中に、
海はあるのか

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