五杯目「みどりの日」
はっとした。
娘が髪の毛を緑に染めてきた時は。
その色は美しく、だがやはり少し奇抜で、そして、何よりも彼女に似合っていたのだ。
娘は私を試すようにキッチンで、こおひいを点てる。
トックリ型のサーバー。二つ並んだマグカップ。
私はクッションに埋まり、手元の活字に集中する。
ゆっくりと螺旋を描く湯。
マイルドな苦味と、仄かなフルーツの酸味が漂う。
その日は一日が七、八分ほど長く感じられた。
理由はわからないが、どうにも楽しかった。
毎週末の朝、珈琲を飲んで浮かんだ散文をお届けし