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☕️こおひいのおと〜珈琲を飲んで浮かんだ散文🖋

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毎週末の朝、珈琲を飲んで浮かんだ散文をお届けします
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記事一覧

五十五杯目「博学なオウム」

そのオウムは博学で いろんな話を知っていたから 終ぞ、僕の言葉を真似ることはなかった 毎週…

五十四杯目「しあわせな砂漠」

いいかね? ニューヨーク、パリ、ロンドン…… 街にも色々あるように 砂漠にだって色々あるん…

五十三杯目「一昨日のこと」

一昨日のこと キミはボクに会いたいと言った もう五年も経っていた それなのに、キミはボクを…

五十二杯目「すべて朝のために」

朝だ 俺はこの朝を愛したい そして、この朝から愛されたい キツく抱擁し、溶けるような接吻を…

五十一杯目「異国」

ささめく枝葉の音だけがした 誰もいない路上 夜更けの交差点 風が駆け抜けていく 次々と 追い…

五十杯目「船の縁」

船の縁に立って、アイツの寂しさを想った。 一人、見知らぬ土地へ出た人の。 見送りに行かなか…

四十九杯目「悴んだ手」

手袋を落とした。 多分、街のどこかで。 左手の鼠色の手袋。 僕はそれを探そうと思う。 どうにもバランスが取れないのだ。 悴んだ手をポケットに仕舞う。 僕はそれを探そうと思う。 僕は、それを…… 毎週末の朝、珈琲を飲んで浮かんだ散文をお届けします。 優しい一日を迎えましょう。 フォローもぜひ。 (四月一)

四十八杯目「考える(ための)小径」

できるだけ見通しが良く ささやかな蛇行があり 緑と鳥と鱗雲 それに少しの人 毎週末の朝、珈…

四十七杯目「優しい詩」

誰かが救いの手をキミに差し出している。 ソレは、ネコやカメやショクブツかもしれない。 分…

四十六杯目「バイパス」

 上品になりたいという思考は下品か? 下品でありたくないという意思は上品か? すべては“…

四十五杯目「ドーナツのまあるい夕焼け」

 生まれた時から「ドーナツ」と呼ばれている。  何故そう呼ばれるやうになったのかは定かで…

四十四杯目「幻のキャンデー」

 透明だが、透けてはいない。  (古い建物の手吹きの窓硝子のような)  甘いが、決して甘…

四十三杯目「車窓より」

いくらかの窓辺がある。 自分がこの人生を生きているということを実感できる窓辺が。 列車は…

四十二杯目「茶色い鞄」

茶色い鞄をもらった。 おとうさんに。 ブランドも特別な装飾もない、なんて事のない鞄だ。 四角い、ピカソの画集みたいな。 大事なものは皆入り、大事でないものは入らないくらいの。 茶色い、ラクダの唇みたいな。 朝の光を称えながら、夜の闇にも浮かぶ色。 持ち手の皮が厚くなっていて、手にすっかり馴染んだ。 ぐんぐん進んでいけそうだった。 それ以外は、なんて事のない鞄だ。 毎週末の朝、珈琲を飲んで浮かんだ散文をお届けします。 優しい一日を迎えましょう。 フォローもぜひ。 (四