見出し画像

ワクワクする乙女の気持ち。-Age is just a Number-

「久しぶりにお化粧したわぁ」――ご自身でお作りになったリップ。それを唇にゆっくりと、そして丹念に塗ったご利用者様は鏡に映ったご自身のお顔を見ながらそうおっしゃいました。

久しぶり、というよりも、初めてお化粧したあの頃のような照れ笑いで。

ご自身が作られたリップをぬりぬり。
鏡に映ったご自身の笑顔に「いやー久しぶりやわ」

当社・あぷりでは、今年、経営理念(『高齢者の未来にとびっきりの笑顔を感動を添える』)に基づく「考え」(=ミッション/ビジョン/バリュー/スピリット/スローガン)を策定しました。

その中のミッションは『今日よりもわくわくする価値を創る。』と定めています。
わくわくする……皆さんはどんなことに「わくわく」されますか? 例えば、「ちょっと高いレストランに行く」、「いつもと違う服を着てみる」、女性ならば「メイクの仕方を変えてみる」……毎日とはちょっと異なるエッセンスがあると私たちも背筋が伸びて、心躍り、何事もポジティブな気持ちになります。

高齢者施設を利用されている方々も同じ。
毎日のんびりとご自分のペースで生活をされていますが、反面、コロナ禍による面会制限や外出もままならない状況の中、お化粧をする機会も激減していきます。

そこで、今回、『しずくいろ』代表・平松久実さんに「介護美容」という観点からご協力をいただきました。

『しずくいろ』代表の平松久実さん

ご自身も介護福祉士として介護施設で働いていた経験もあるという平松さん。介護の世界から離れても、高齢者の方や介護という仕事が好きということで、これまでと違った形でアプローチを模索していた中、「美容」と「介護」という観点を見いだされました。

「身体介護も大切ですが、私は『間のケア』も大切だと思いました」
そこで平松さんは介護美容の専門学校「介護美容研究所」に通われたそうです。

平松さんが、介護美容の大切さに触れた原点は介護福祉士取得のための実習の時のこと。
その施設にいたのが認知症を患ったおばあさん。その方は周りの方を貶したり、ネガティブな発言の多い方だったそうです。
「なんでこういうことばかりおっしゃるのかなと思い、その方の行動や見た目を観察していたんです」
すると、平松さんはあることに気づきました。「眉毛の位置が左右ズレていて……これはちょっと直したいなと思い、『眉毛の描き方をレッスンしましょう』となったんです」
そのレッスンの甲斐もあり、眉毛がきれいに描けるようになり、そして……「その方が鏡を見て、『あ、私、きれいやん』と。そしたら周りの方を褒めだすようになったんです。『あなたきれいね!』って」
その後、周囲とのコミュニケーションも円滑になり、以前とは変わったそうです。
「認知症とは言え、ご本人も気づいているんです。物事を忘れてしまう自分が嫌になってしまう……そこで周りの人を貶す・落とすことで自分の立場を上げてたり、ご自身のプライドを保っているのかもしれません」

介護福祉士としての経験も踏まえた「介護美容」を展開しています。

今回、この「介護美容」の取り組みを行ったことで、利用者様の方の変化が見られました。

  • 「今度はいつやるの?」…未来を待ち望んでいる。

  • 「ネイルはやってないの?」…ポジティブな発想に。

  • 笑顔が増えた…当社経営理念と合致する。

また撮影していると、いつもより華やかな表情が多かったように思います。

平松さんは介護の世界において、「メイクの可能性」に期待をされています。
「直接的にメイクアップもさせていただきますが、ご自身でメイクしていただきたいというのがゴールにあります。実は『メイクをする』というは食事をする時よりも二~三倍の筋力を使うそうです。メイクがきっかけで『やれること』がどんどん増えていく、心も体も健康になっていくという循環の源になっていきたいなと考えています」

皆さんでリップ作成。

最後に、介護福祉士と美容を経験してきた平松さんならではの思いを伺うことができました。
「できないことが増えてくると『私なんか……』と塞ぎ込みがちです。私はそうじゃないと思っています。一人の人間です。最後の最後まで自分らしく、生き生きと過ごしてほしいなと思っています」

Age is just a Number――「年齢なんて関係ない!」

メイクが気になって、飛び入り参加。
さらに素敵な笑顔になりました。

お化粧をしたら、いつもよりも華やいだ笑顔に。

でもそれはお化粧だけではなく、きっとお化粧をしたことでワクワクした、乙女の気持ちになったから。

この記事が参加している募集

#企業のnote

with note pro

12,299件