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論点思考と仮説思考のどちらが大切か?

戦略コンサルタントのアップルです。

論点思考と仮説思考は戦略コンサルタントに求められる二大思考です。元BCGの内田和成氏も、論点思考と仮説思考それぞれについて本を出しています。すごく有名な本なので読んだことがある方もたくさんいらっしゃるのではないかと思います。

このように、こと戦略コンサルタントにとっては、論点思考と仮説思考はどちらも大切なものとして並列に扱われますが、あえて優先順位を付けるとすればどっちが大事なのでしょうか?

今回の記事では、この点について書いてみます。

もちろん、両方とも大事です。戦略ファームでもシニアコンサルタント以上は両方を一定のレベル以上でできることが求められ、どちらかでも欠けるとコンサルティングワークに支障を来します。

ただ、あえてどちらが大事かと問われれば、アップルは論点思考の方が大事だと考えます。

論点思考とは、問題解決や戦略策定をするにあたって「真に解くべき問題や課題」を設定する力です。一方で仮説思考は、そのように設定した論点に対する「今時点の答え」を設定する力です。

なぜ論点思考の方が重要かと言えば、論点思考をミスったときのマイナスインパクトがものすごく大きいからです。

たとえ話で説明しましょう。

あなたは東京大学を志望している高校生(受験生)だとします。東大の入試対策のために、東大の過去問を研究し、過去問を多数解いてきました。入試直前になり、これまで研究してきた過去問は東大ではなく東工大のものであることに気づきました(まあこんなことは実際はあり得ませんが笑)。結果東大の入試問題に全く対応できず、不合格となってしまいました。

論点思考が弱い人は、この架空の受験生とすごく似ています。つまり、論点思考が弱い人は、そもそも解くべきお題を間違えてしまうのです(東大の過去問ではなく東工大の過去問を解いてしまうように)。

解くべきお題を間違えてしまうと、
①導き出した答えはほぼ無意味
②それを解くのに費やした時間・労力もほぼ無意味
ということになってしまうため、とてもクリティカルというわけです。

コンサルティングワークに置き換えると、
①⇒クライアントにとってほぼ示唆のないメッセージを出してしまう
②⇒それに費やしたコンサルタントの時間・労力がほぼ無意味となり、それをリカバリーするためにマネージャーや他のメンバーの工数にしわ寄せ
ということになります。

一方で仮説思考の方は、もちろん強いに越したことはありませんが、経験の浅いコンサルタントは弱くてもまあ許容範囲です。論点さえ外していなければ、仮説思考が弱くとも、きっちりと調査分析を重ねていけば出すべき答えに近づいていくからです(仮説思考はあくまで答えに到達するスピードを律速するもの)。また、答えにたどりつくスピードは、仮説の補完という形でマネージャーが補完することもできます。

図解すると次のようなイメージです。

論点仮説

それぞれのレベル(左から初心者、中級者、上級者)を「クルマの運転」に例えると、次のようなイメージです。

【初心者:論点思考弱い】
クルマの運転で、地図が読めず、そもそもの行先(目的地)を間違えてしまう。助手席のベテランドライバー(マネージャー)は、常に正しい方向に向かっているか監視し続けないといけない。

【中級者:論点思考あり、仮説思考弱い】
地図は読めるので目的地はわかる。但し、運転技術がつたないため、時速30㎞のスピードで時間をかけて目的値に到達。助手席のベテランドライバーにたまに運転を交代してもらいながら目的地に到達する。

【上級者:論点思考あり、仮説思考あり】
目的地もわかるし、運転技術も優れている。時速60㎞でスイスイと目的地に向かっていく。助手席のベテランドライバーの手もほとんど借りる必要がない。

こうしたたとえ話も交えると、論点思考が仮説思考よりも重要であることがお分かりいただけたのではないかと思います。

今回はここまでですが、改めて別の記事で、
・論点思考が研ぎ澄まされてくると、仕事においてどういうメリットが出てくるのか?
・論点思考を鍛えるためには何をすればいいのか?
といったところもまとめてみたいと思います。

なお、仮説思考については、既に記事を書いていますので、ご興味ある方はこちらもご覧ください!

最後までご覧いただきありがとうございました!



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