ケース面接で「戦略を考えよ」とのお題が出たら? ~戦略とは何か?へのヒント~
戦略コンサルタントのアップルです。
戦略ファームの面接で面接官がどういうポイントをみているかという記事はかつて書きました。また、ケース面接でよく出題されるフェルミ推定で地頭をどうチェックしてるのかということも比較的最近書きました。
この記事では、ケース面接の比較的難易度の高い問題として、「なんとかの戦略を考えよ」という問題が出されたときの留意点を記しておこうと思います。
戦略とは何か?へのヒントもあるはずなので、戦略に興味がある方はぜひご覧ください!
ケース面接で出されるお題のパターン
コンサルの面接で大体やるのがケース面接というものです。何らかのお題を出して、即興でそれを考えてもらい、地頭やビジネスセンスの良しあしをチェックするというプロセスです。
お題のパターンはいくつかあります。
<フェルミ推定>
何かの数を数えたり、市場規模を試算する問題。
例:電動髭剃りの市場規模
例:日本全国の机の数
<打ち手検討>
何かの施策や打ち手を検討する問題。
例:このビルに入っているセブンイレブンの売上拡大策は?
例:柔道の競技人口を増やすために柔道連盟がとるべき打ち手は?
例:日本政府の財政再建策を考えよ
<メカニズム検討>
何かの要因やメカニズムを解明する問題。
例:日本で電気自動車の普及がなかなか進まない原因は何か?
例:タピオカがかなぜブームになったのか?メカニズムを考えよ
<戦略検討>
なんらかの戦略を考える問題。主には成長戦略。
例:トヨタの成長戦略は?
例:野村不動産の成長戦略は?
大きく分けるとこの4パターンです。
で、おそらく最も難易度が高いのは戦略検討のケースです。
難易度が高いことは百も承知で、アップルもたまに面接の会話の流れの中戦略検討のお題を出します。
戦略検討という難しいお題を10分そこらで考えさせること自体がやや無理があるのですが笑、どういう切り口で考えるか、どこに着眼するかといったところでセンスの良しあしを見るわけです。
かつて出したお題:「XX大学の競争力向上の戦略を考えよ」
そんな戦略検討も、出題の仕方は無数にバリエーションがありますが、かつてアップルが出したお題で「XX大学の競争力アップの戦略を考えよ」というものがあります(XX大学は応募者の方の出身大学(某国立大))。
これは結構難しい問題です。簡単に答えが出る話ならとっくにその大学の学長はやっているでしょう。
この問題を出したときの応募者の方もそうでしたが、こうしたお題に対する「典型的な回答」は以下のようなものです。
<典型的回答例>
大学のプロモーションを海外留学生に対して含め強化し、認知や興味を喚起することで入学希望者を増やします。
また、古びたキャンパスを建て替えて、アップデートします。さらに、就職実績をこうやって作ります。
これらの合わせ技でやっていけば、競争力は向上します。
こんなような話です。
この回答例もややその傾向がみられますが、コンサル本で対策をしてきているのか、やたらとMECE(もれなくダブりなく)にこだわって、網羅的に施策を回答してくる方もいらっしゃいます。
これらは「戦略」ではありません。戦略ではなく施策の羅列です。
戦略の定義というのはなかなか難しくて、ここでは深入りはしませんが、平たく言うと「目指す姿を実現するための道筋やストーリー」です。
この定義に照らして先ほどの”典型的回答例”をレビューしてみましょう。
レビューポイント①:目指すポジショニングは明確か?
まず、「何を目指すのか」ということが言及されていません。何を目指すのかが明言されていないのに、いろんな施策を羅列されても、「うーん、それって戦略として妥当なのかどうか判断できないですよね」となります。
つまり、「XX大学の特徴や強みを踏まえて、どういう方向性で競争力向上の姿を描くのか?」を何らか定める必要があります。戦略論の言葉を借りれば「ポジショニングを考える」ということです。
チャレンジングかつ現実的な目指す姿を描く。これが戦略策定の出発点になります。
レビューポイント②:選択と集中、つまりメリハリはあるか?
目指す姿を定めたら、次に考えるのはその実現のためにどういう打ち手を打てばよいのかです。打ち手を考える上でポイントになるのは「何が肝になるのか」という点です。
戦略というのは「選択と集中」でもあります。選択と集中こそが戦略だ、と言い切る方もいらっしゃいます。
リソースが限られている以上、なんでもかんでもやるわけにはいきません。目指す姿を実現する観点で、インパクトある打ち手を特定し、そこにヒト、モノ、カネのリソースを集中投下する。逆にそれ以外の枝葉の施策はバサッと切る。こういうことを考えるのが戦略策定です。
典型的回答例のような施策の羅列は、戦略と逆行する考え方です。MECEに施策を幅だしするのも、戦略と逆行する考え方です。なぜなら、それらは選択も集中もしていないからです。
打ち手は選択と集中で。戦略コンサルタントを目指す以上、これは頭に叩き込んでおく必要があります。
レビューポイント③:ストーリー性はあるか?
さらに、戦略には、ストーリーという側面があります。
かつて、一橋大の楠木先生が書いた「ストーリーとしての競争戦略」という本がベストセラーとなりました。この本で書かれているように、よくできた戦略というのはストーリーになっています。
つまり、個々の打ち手が独立ではなく、相互に連関しているということです。
ケース面接でここまで求めるのはtoo muchですが、例えば肝になる打ち手が3つあったときに、その3つを独立のものとして話すのか、相互に連関したストーリーで話すのかでは、戦略の説得力にかなりの差が出ます。
打ち手はストーリーで語ろう。高難度ですが、意識しておくことは大事でしょう。
まとめ:戦略とは何か?
まとめましょう。
・ケース面接においては、高難度のお題として「戦略を考えよ」というお題が出題されることがある
・この手のお題に対して、施策を羅列するような回答はNG。なぜなら、それは戦略ではないから
・戦略とは「目指す姿に至る道筋やストーリー」であり、以下の3つが揃っているべきものである
-①目指す姿は何なのか
-②選択と集中。リソースを投下すべき肝はどこなのか
-③打ち手の間の相互連関性
・ケース面接では、③を求めるのはtoo muchとして、①や②についてはある程度答えてほしい
戦略とは何であるかが多少なりとも伝わったのであれば幸いです!
今回はここまでです。
最後までご覧頂きありがとうございました!
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