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ロジックツリーを使うのは素人である

戦略コンサルタントのアップルです。

戦略コンサルタントのトーキョーハーバーさんという方が、ピラミッドストラクチャー(ロジックツリー)とストーリーを対比した記事を書かれていてすごくわかりやすかったのでシェアしたいと思います。

思考や検討はロジックツリーでやるとしても、最後それをストーリーに落とすときには、枝葉を削ぎ落したり、どういう順番で話すとわかりやすいか組み替えたりするということが書かれています。

戦略コンサルティングを実践する立場から、まさにこうだとアップルも強く共感しました。

ロジックツリーはあらゆる本に出てきます。特に元マッキンゼーの方が書かれた本には金科玉条のような位置づけで出てきます。

ですが、戦略コンサルティングを実践してきた者としては、ロジックツリーは実践的でないとの感覚を持っています。やや机上の空論っぽいものだというのが、ロジックツリーに対する率直な感想です。

つまり、ロジックツリーを使うのは、問題解決の初心者か素人であるということです。

・なぜロジックツリーは実践的でないのか?
・なぜ素人が使うものなのか?
・では、プロはどのように問題解決を進めるのか?

今回のエントリーでは、このような点についてアップルの考えを書いてみようと思います。

2次元を1次元に落とし込むのがコンサルの腕の見せ所

ロジックツリーは、縦の深さと横の広がりの2軸があります。つまり2次元です。一方でストーリーというのは単線的、すなわち1次元です。この2次元と1次元のギャップをどう埋めるかが戦略コンサルタント(特に、ストーリーメイキングを担うマネージャー)の腕の見せ所と言えます。

つまり、ロジックツリーをきっちり書いて、網羅的に検討し、網羅的なストーリーに落としこむのは素人のやり方です。いかに最終的なストーリー(1次元)を先取りしてイメージし、検討を複線化ではなく単線化するか。これがプロのやり方です。

アップルのやり方のご紹介

アップルもこれまで、コンサルティングワークにおいてピラミッドストラクチャーやロジックツリーをほとんど意識したことはありません。

例えばコンサルタント時代は、次のような流れで調査分析~ストーリーメイキングをやっていました。

①自分に与えられたモジュールの主要論点を書き下す。但し、ピラミッド的な複雑な論点ツリーにはしない(せいぜい、大論点と小論点に枝分かれさせる程度)
②大論点のレベルで、仮説や示唆を出すための調査分析を進める。その中で特にどの論点が重要かが何となく見えてくる
③その重要そうな論点にグっとリソースを振り切って、深掘りする
④自分のパートのストーリーを作るときも、特にどの論点の答えをクライアントに伝えるべきかを熟慮の上、コンテンツの緩急をつける

この過程に、ロジックツリーは出てきません。

また、マネージャーになって以降、プロジェクトの最終報告資料のストーリーを作るときも、ピラミッドストラクチャーを想起しながらストーリーを考えたことは全くありません。

プロジェクトを通じて分かったことやクライアントに伝えるべきメッセージを、「どういう順番で伝えたらクライアントにもっとも伝わるか、理解されやすいか」ということを考えながらメッセージの順番を考えます。

つまり、ピラミッドストラクチャーをイメージしながらストーリーを組み立てるのではなく、クライアントの立場に仮想的に憑依しながら「どういう順番で話をされると頭にすっと入るだろうか?」ということを考えながら組み立てます。

ここにも、ロジックツリーは出てきません。

ロジックツリーやピラミッドストラクチャーというのは、教科書的な本ではことさらセオリーっぽく書かれていますが、このように実践においてはほとんど登場しないし役に立たないのです。

なぜロジックツリーアプローチはダメなのか?

ピラミッドストラクチャーで網羅的に論点をつぶしていくのは、そもそも手間と時間がかかります。リソースと時間がたっぷりとあるならそうしたしらみつぶし的なやりかたもありでしょう。ですが、戦略コンサルティングのプロジェクトはリソースも時間も限られています。限られたリソースと時間の中で選択と集中をかけないといけません。そのため、幹と枝葉を峻別しながら、幹となるような論点にフォーカスして深掘りをしていくのが実践的というわけです。

ロジカルシンキングの本に書いてあることは、リソースと時間が潤沢な状況のもと、完璧主義でやるならこうやるべきだ、ということが書かれているため、一つの理想形の考え方として頭に入れておく分には良いとしても、それをそのまま実践しようとするとドツボにハマるということは、特にコンサルティングファームを志望されている方は認識しておいた方が良いように思います。

端的に言えば、
× ピラミッドストラクチャー = 網羅的
〇 ストーリー = 選択と集中
ということですね。


今回はここまでです。
最後までご覧いただきありがとうございました!

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