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VRデバイスのあるべき姿とAppleがデザインするVRデバイスへの期待

近頃はFacebookが公開したVRデバイスの試作機が話題です。そんなわけで、ARデバイスとVRデバイスのデザインの方向性を検討しつつ、Appleのデザインについて語りたいと思います。

Facebookの抜きん出たプロトタイプ


外観はちょっと変なサングラスのような形状ですが、これでVRデバイスです。これならゴーグルと呼ばれる心配もありません。

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動作についてですが、現在はグリーン1色のマトリックス風の表示しかできないようですが、映像表現の品質は高いようです。

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https://research.fb.com/blog/2020/06/holographic-optics-for-thin-and-lightweight-virtual-reality/

技術的にはレンズに特殊な仕組みを採用して、デバイスの厚みを抑えた点に特徴があるようです。

冒頭にも書きましたが、一見普通のサングラスに見えなくもないぐらい小型化されているのが凄いところです。ただ、これは映像出力のみで、本体に当たるデバイスは別途存在するのではないかと思いますが。

VRデバイスのデザインはどうあるべきか

現在、ARデバイスとVRデバイスは同列で語られることが多いように思います。
Appleのリーク情報を見ていても、ARとVRの両方を試していたようですし。現在はティム・クックも言っているように、AppleはVRではないくARを選んだようですが。

同列で語られることが多いとしても、デザインは同列には語れないのではないでしょうか。

ARは現実世界に映像を合成しますが、VRはユーザーに現実空間が見えません。ARデバイスは日常的に使用したり、外での生活に使用できます。一方、VRはゲームをするといった限定的な場面でしか使用しませんし、外の世界が見えないので外での使用に向きません。

この違いはデバイスのデザインにも影響するはずです。

いわば「普段使い」のデバイスであるARデバイスは、小型で見た目も日常に馴染むものが適切です。特異な形はユーザーに抵抗感を与え、デバイスの普及を妨げます。
そこで、ARデバイスは普通のメガネのような形が理想であると考えられています。これは過去に発売されたARデバイスにメガネを模した形状のものが多いことからも明らかです。
完全に普通のメガネをコピーすることが目的ではないので、ある程度のアクセントを加えることは必要だと思いますが、日常の延長ともいうべきARのコンセプトに沿った控えめなアクセントにとどまるべきだと思われます。

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Google

一方、VRは「普段使い」するものではありません。VRデバイスは非日常との接点といえますから、それにふさわしい姿が求められるのではないでしょうか。
テーマパークで遊ぶ人々が頭に飾りをつけて楽しむように、非日常においては特異な姿がある程度許容されます。また、VRデバイスをつけた姿をユーザー自身は認識しませんが、テーマパークのような非日常を想起させる外観は広告宣伝の場面で有効です。そして、デバイスがもたらす体験の象徴として重要な役割を果たします(もちろんネズミの耳の形にしろと言っているわけではありませんよ?)。

で、冒頭のFacebookのVRデバイスの話に戻るのですが、VRデバイスの小型化が進むと、VRデバイスもミニマリズムに悪い影響を受けてつまらないデザインになってしまうのではないかと思うわけです。

Appleの作るVRデバイスが見たい

Appleの作るであろうARデバイスには期待しています。完成したあかつきにはとても素晴らしいデザインを我々に見せてくれると思います。

ただ、Apple Watchと同じく日常に溶け込むデザインを狙っていると思われるので、ぶっ飛んだ見た目にはならないでしょう。先ほど検討したARデバイスのデザインの方向性から考えてもそうでしょう。

しかし、VRデバイスならば特異な外観になり得ます。非日常を想起させる特異な外観になり得るはずです。

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Apple

Appleのデザインとして人々に強い印象を与えているiMac G3やiMac G4のようなデザインは、あるジャンルのデバイスが大衆に普及する前の段階の製品において有効に機能します。こうしたデザインが有効に機能することは少なくなりましたが、VRデバイスにはこうしデザインを適用する余地があるような気がします。

そんなわけで、AppleがデザインするVRデバイスが見てみたいな、と。

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