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読書感想文:いい子のあくび

「いい子のあくび」という本を読んで、感情が動いたので文字を綴ろうかと思う。


そもそもこの本を手に取ったのはいつだったかな。
私はフラッと本屋さんに行って、目に留まった本をとりあえず全部買って、家にまだ読んでいない本が溜まっていくタイプだから買った時の記憶はあんまりない。
ただ、なんか惹かれた。

まだ読んでいない大量の本の中から今回これを選んだのも、特にこれといった理由はない。
ただ、たまたま外で彼を待つ時間があったから。
パッと手に取ったのがこの本だった。

なんかドッと疲れた本だった。
だからめちゃくちゃ好きな本だった。
とにかく疲れるような作品がすごい好き。

主人公にとても感情移入しながら読んでいたと思う。
すごく自分と似ている。

これを書いている今も、ご機嫌に嵐の曲を歌って踊りながらゲームをしている彼が隣にいる。
主人公の彼氏とは人間性が正反対に等しいけれど、彼女が彼に向けていた細かい感情は、私が彼に向けている感情とリンクして悲しくなった。
私も自分は幸せになってはいけない、とか、自分を選んでいるのはバカだなとか思う自分がいる。
ただ、なんか。
きっとこのまんま1年半が意外に早く過ぎて結婚するんだろうな、なんて思う。
だからちゃんと傷つく。
そんな権利ないってわかっているけど。

友達によって話す内容を変えたり、空気感を変えたりするのも主人公と同じだな。
私の場合はそれを問題視していないし、苦痛にも思っていないけど。

この本で主人公は何回「割に合わない」って言ったかな。
私も昔は、歩きスマホとかしていて前を見ずに突っ込んでくる人に、なんで私がわざわざ誰かも分からない人に気を遣って道をよけないといけないんだよ。
女だからって舐めんなよ。
みたいなことを思っていたし、絶対によけないって思ってぶつかったこともあったな。って懐かしい気持ちで読んでいた。
それは高校生の時とかだったかな。
大人になった今はそんなこと特に考えずにサッとよけていた気がする。
けど確かに割に合わない。
しかも歩きスマホをしている人が前をみていないのが悪いのに、ぶつかって、その人が怪我をしたら、なんでこっちが悪いって言われないとダメなんだ。
本当に割に合わない。
道徳?マナー?腐ってる。
そんなんだからこの世の中、理不尽で、どんどんみんな顔が死んでいくんだよ。


思わぬ部分で人はつながっていて、知らなくてよかった情報もSNSを通じて簡単に手に入ってしまう。
そんな怖さも嫌なほどリアルな文字で綴られていたように感じる。
どんな人もそんな経験をし得る、ということだ。


善が悪だったなんていう事実は結局、人間が人間である時点で決まっていると私は思う。
彼も私も真っ黒だし、主人公もその彼氏も真っ黒だ。
すれ違う人も全員。
それが人間。それが世界。
ただそれだけのこと。


読書感想文なんてタイトルをつけたけど、所謂、学校で提出するようなものでは無いから、なんか違うような気がしてきたな、なんて思いつつ。
だけどこれが読み終わってすぐの私の感情で感想だから。
きっとこれでいい。


生きづらい世の中で、もっと生きづらくする私たちの未来は。
やっぱりそんなに明るくなくて。
なんかそれにホッとしたような感覚だけ残った。
そんな小説でした。



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