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#ネタバレ 映画「はい、泳げません」鳥が泳いでいるのなら、彼は飛んでいるのか

映画「はい、泳げません」
2022年製作 113分 日本
2022.6.17

( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

どうも私は、このような、コメディタッチのドラマが好きなようです。

近くで見たせいか、画面のザラリとした粒子感が気になりましたが、表層上は、概ね、想像通りの物語でした。

さすが、長谷川博己さんと、綾瀬はるかさんという二大スターが、水中で熱演しているだけあって、観る者を飽きさせません。

それはそうと・・・

この作品、①表層は「スポ根映画」ですが、②中層は「哲学と異文化の話」であり、③深層は「ウルトラマン・エピソード0」なのではと夢想してしまいました。

さらに、チラシを見ると、ウクライナへの応援もしてそうですね。

★★★★( 「ウルトラマン」だと仮定しての評価 )

追記 2022.6.17 ( お借りした画像は )

キーワード「水泳」でご縁がありました。美しく涼し気な水ですね。

無加工です。ありがとうございました。

追記Ⅱ 20226.18 ( ②について )

今の世は個性を尊重しますから、ステレオタイプの考えには異論を唱える方もいらっしゃるでしょうが、映画の解釈のため、しばらくおつき合いください。

ご承知のとおり、陸は男、海は女の記号のようです。

映画「はい、泳げません」では、水が怖い男・小鳥遊(長谷川博己さん)と、陸が怖い女・薄原静香(綾瀬はるかさん)が、主人公です。

そして、小鳥遊は大学の哲学の先生で、理屈に頼るところがありました。息子が水死しても泣かなかったと、離婚した妻に責められるシーンがありましたが、あれはその記号でしょう。

一方、薄原は水泳の先生で、自らプールを「子宮の羊水」に例え、「水中にいたのだから、誰でも水泳が出来る」旨説明していました。まさに子宮で考えたのでしょう。

この映画「はい、泳げません」は、男の小鳥遊が異文化(例えば女)を、胎児になったつもりで理解していく物語だったように思いました。水泳とは「女性の世界」の記号として使われたのかもしれません。

主な登場人物を見ると、小鳥遊だけが男であり、後は全員女であったことにも、そんな意味が込められているように思います。

追記Ⅲ 2022.6.18 ( ③について )

ガメラ映画によれば、「ガメラが人間の味方なのは、ガメラが好む生態系が、人間の生態系と似ているから」です。だからギャオスが人間を滅ぼすことを許さない。しかし、人間の環境破壊が進むと、ガメラは人間を襲う可能性があります。

ウルトラマンが人間の味方なのは、「宇宙人ジョーンズみたいに、ウルトラマンは高度な知的生命体であるがゆえに、人間の不合理な自己犠牲という概念を見せつけられ、まるで、(おそらく彼らには存在しない)宗教の崇高な教義のように感動し、自らも人間を模倣し、人間を守る存在になろうとしているのだと思います。」〔映画「シン・ウルトラマン」の私のレビュー追記Ⅲ(人間を師としたウルトラマン)より抜粋〕

ところで、映画「はい、泳げません」の、主人公・小鳥遊(長谷川博己さん)を、高度な知的生命体・ウルトラマンだとします。哲学者ですし。

彼は人間の救世主になりたいと思っていましたが、その為には、空を飛ばなくては、現場にかけつけられません。

しかし、人間界(庶民の街)という異世界では飛べないのです。

そこで、ウルトラの母とも言える、水泳コーチ・薄原静香(綾瀬はるかさん)が、水の惑星の異文化を体で教える(飛び方を教える)のです。しかし、頭に頼る小鳥遊にはなかなか理解できない。

このあたりの世界観は、映画「マトリックス」を思い出していただくと理解しやすいと思います。

ならば、映画「マトリックス」の方がこの作品に近いのではないかと思われます。確かにクロスオーバーしている感もありますが、私は僅差で「ウルトラマン」の方が近いように思います。

予告編でも分かるように、映画「はい、泳げません」には、主人公たちがウルトラマンの変身シーンのように、片腕を上げるシーンが(これ見よがしに)多いからです。

追記Ⅳ 2022.6.18 ( ブルース・リー )

予告編には、プールの小鳥遊に対し「ブルース・リーみたいだ」と言う、おばちゃんのセリフも出て来ます。

小鳥遊はお腹をこわしてトイレにも行きました。確か、映画「ドラゴンへの道」のブルースリーも、異国で文字が読めないから、レストランでスープ類ばかり頼んでしまい、トイレに駆け込むシーンがありました。

どちらも「異文化を前にして戸惑う」という状況は、似ていますね。トイレに行くエピソードは、ドラゴンシリーズからのアイディアでもある、のかもしれません。

追記Ⅴ 2022.6.19 ( マークは「流星」 )

映画「はい、泳げません」の予告編には宝が詰まっているようです。

小鳥遊が新しい恋人と連れ子の少年とで食事をするシーンがありますが、その時、少年が胸に抱かえていたアルバムのような赤い冊子には、科学特捜隊の流星マーク(「☆<」に似ている)のような印が(これ見よがしに)ついています。まさに胸にマークはあるのです。

そして、ウルトラマンはベーターカプセルを光らせて変身しますが、小鳥遊が片腕を伸ばして机のランプを点灯させるシーンもありました。

さらに、先日TV放送されたウルトラマンの第一作を見ましたが、光る提灯のような丸いカプセルに衝突して湖に墜落したハヤタ隊員(後にウルトラマンになる)を、フジ・アキコ隊員が一人救出に向かうのです。

小鳥遊の頭上にも丸いランプが天井からぶら下がっていましたし、救出の構図は、「あなたが溺れたら、私が助けます」という映画「はい、泳げません」の薄原のセリフと符合するのです。

まだ他にもあるかもしれませんが、以上から、映画「はい、泳げません」が「ウルトラマン」へのオマージュである可能性は高まったと思います。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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