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vol.04 「いいね!」って本当に「いい」の? 「いいね!」を皮肉るアート

SNSを使用していると殆どのユーザーが気になる「いいね!」の数。
「いいね!」の数が多ければ多いほど「いい」ものとされ、投稿写真やツイートに注目が集まります。

しかし、そこには本当の評価が反映されているのでしょうか?

「いいね!」を押したユーザーは本当に「いいね!」と思っているのでしょうか?

インターネットを題材として活動中のアーティスト集団、IDPW (アイパス) が制作した《どうでもいいね!》ボタンは、このような疑問を投げかけています。

《どうでもいいね!》ボタンは、フェイスブックの画面上で表示されている「いいね!」を自動的にほぼ全てクリックするGoogle Chromeの拡張機能です。パソコンにインストールすれば、私たちも実際に使用することができます。

いいも悪いも義理もとっておきも全部まとめて、「いいね!」したい” 人のために制作されたこの作品は、

友人もしくは親しくしたい・親しくしていかなければならない人の投稿なので「いいね!」を押さないと… 

という義務感であったり、

「いいね!」を押したら、相手が自分の投稿を見て「いいね!」のお返しをしてくれるのではないか?

という見返りを求めたり、

ユーザーが「いいね!」の評価数を欲している状況を描写しています。

IDPW(アイパス)はこの表面的な「いいね!」のやりとりを頭ごなしに否定するのではなく、その状況を敢えて作り出し、実際に「いいね!」が連打されている様子を展示しているのが皮肉的で面白いなと思いました。

今はツイッターやインスタグラムが主流ですが、《どうでもいいね!》ボタンが発表された時(おそらく2011-2012年でしょうか)は、フェイスブックがメジャーなSNSでした。

しかしどの時代においても、ユーザーが求めているものは「いいね!」の数なのかもしれません。これはSNSが存在する限り、永遠のテーマになると思います。

この作品を観た時、何をもって「いいね!」なのか考えるきっかけになりました。「いいね!」と評価された具体的な理由よりも、評価されたポイント数で投稿の良し悪しが決まってしまうSNS時代。「いいね!」の数に躍らされすぎず、私たちにとって魅力的で面白い投稿を見つけていく、もしくは発信していくのがSNSの醍醐味なのかなと思います。

この作品を初めて観たのが、2013年に開催された「文化庁メディア芸術祭」でした。SNSに取り憑かれている私たちの様子をユーモラス且つポップに表現していて、今でも鮮明に覚えています。

作品の展示だけではなく、全身白タイツの「リアルインターネットおじさん」が展示室に突如登場し、面白おかしく解説をしていたので作品について楽しく知ることができました。《どうでもいいね!》ボタンのステッカーも配っていたので一枚貰い、今でも大切に保管しています。

「リアルインターネットおじさん」の作品解説の様子はこちらから観ることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=MnyK8fDMDr0&feature=emb_title

「リアルインターネットおじさん」のトークが本当に面白く、説明もとても分かりやすいです。またいつかパフォーマンスが見れる日を楽しみにしています。



引用元:
IDPW, 「#000001どうでもいいね!」, <http://idpw.org/porto/w/000001/>

参考文献:
CBCNET, 2013, 「「どうでもいいね!」ボタン解説員 リアルインターネットおじさんに会いに行こう!」,
<http://www.cbc-net.com/log/?p=6406>

文化庁メディア芸術祭, 2012, 「どうでもいいね!」,
<http://archive.j-mediaarts.jp/festival/2012/entertainment/works/16e_Whatever_Button/>



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