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サムネの文章、どうよ??【読後感想】朝井リョウ『スター』

朝井リョウといえば、本当は『正欲』を読みたかった。しかし、貸出中だった。別に予約まではしようと思わない。いつかまた訪れた時に、あれば借りればいい。僕にとって、朝井リョウは、そのくらいのポジション。というのも、デビュー作の『桐島、部活やめるってよ』も『何者』も『何様』も読んだ。『何者』では直木賞を獲ったね。でも、正直そこまで好きでも、そこまで嫌いでもない、というポジションにいる。だから、わざわざ買わない。正直、物足りなさがあった。

それで、『スター』だ。

2020年
 シビレル本(ただし消去法で)
 青春
 80点
 7.0h

読んで、印象ががらんと変わったわけではない。ただ、面白いとは思った。

たぶん、23歳とかだと思うんだけど、しっかりし過ぎているというか、うーん、そんなに可能性ありありなんかな。まあ、掴み取ったのかもしれないが、というかそういう世界、業界なのかもしれないが、その点は違和感あるな。それと、『スター』というタイトルがあまりしっくりこない。

超ざっくりでさらりと
映画サークル所属。尚吾(しょうご)と紘(こう)は、大学3の時に監督した『身体』というのが有名な賞を獲った。←背景。ちなみに尚吾は「神は細部に宿る」的な、昔ながらの映画手法に拘りあり。紘は、野性的で、ただ実直に対象を思うがまま、自然に撮るスタイル。相反する2人。共通することは、2人とも、少し古い人間なところ。このSNS全盛期感がない。

で、それからお互い別の道に進む。正統派な尚吾と、あれよあれよ世に出た紘。互いに映像作品にかかる想いはある。しかし、もどかしい現実。芸能界の闇、じゃないが、大人の事情もある。プライドもある。「本物」ってなんだ、「スター」ってなんだ。あっという間に1年が過ぎた。後輩は、なんか怪しげなことをしている。俺たちは、認めない理由を見つけようとしてる。正しさの形は違えど、正しいのは俺たちの方だ、そうだろう。正しいのか。俺たちは本当に正しいのか、、

映画製作に夢憧れ、奮闘する青春本! 時代に負けるな、自分を信じろ! 的なことも付け加えてみるかww

なんか、ちょっと違うな汗

まて、帯に書いてあるじゃないか。せっかくだ、これも書いておこう。

「どっちが先に有名監督になるか、勝負だな」
新人の登竜門となる映画祭でグランプリを受賞した立原省吾と大土井紘。
ふたりは大学卒業後、名監督への弟子入りとYouTubeでの発信という真逆の道を選ぶ。受賞歴、再生回数、完成度、利益、受けての反応ーー
作品の質や価値は何をもって測られるのか。
私たちはこの世界に、どの物差しを添えるのか。

だって。
うーん、こういうの、難しいね汗

気まずくなったら、引用だww
結局のところ、内容云々の説明もいいが、こういうこと書いてあるよって知ってもらった方がいいと思う。百聞は一見に如かず、的な。
下に、徒然と。付箋は、それなりに貼った。
いいなって、パートと。違和感的な、少し批判なとこ。と、この比喩は嫌いってところだ。簡単にコメントもつけくわえる。

マイナスなことを多く書く。でも、そんな風に書かれることも宿命だと思う。作品を世に出すってことは、そういう立場なんだ。文句はなしだよ。いつか、僕にもそうすればいい。その時はね、僕はちゃんと耳を傾けるつもりだ。それでは、引用とか言いながら、僕の言い分を徒然と。

 この瞬間、紘は未だに新鮮な気持ちで、カメラを構えたくなる。この両目がそのままレンズに、瞼がシャッターになればいいのに、なんて思うけれど、そのたび、どんなレンズで、どんな技術で撮ったところで、この両目で捉えた鮮やかさを上回ることはないのだと思い知り、地団駄を踏みたくなる。
 この美しさはカメラにしか収めておけないのに、だからこそ見たままの鮮やかさを少なからず削り取ってしまうカメラのことを、ひどく憎らしく感じる。

朝井リョウ『スター』P24

いいね!

 魚さばき界の三ツ星スター。
 忘れないように、小さな声でそう繰り返しながら帰宅する(「隣でぶつぶつ怖いけん! 運転に集中できんけん黙れ!」)。帰宅してから~

朝井リョウ『スター』P43

魚さばき界のことが気になる? 安心していい、ただのユーチューバーだ。それより、忘れないように?? ラインメモでいいじゃないか。古い人間たって無理がある。しかも書き方も気に入らない。なんだその ( )と、その中の「 」。猛烈な違和感。

【んー、まあ、そう】

朝井リョウ『スター』P87

ここが初出だったと思うが、会話文なんだよね。これからも頻出する。話し手ごとに分けているんだけど、電話とかラインというように対面じゃないことを書いているのだと思われるが、違和感だなあ。

紘はそれらを目の前にして、四肢が新品に取り換えられたような無敵感を抱いた。

朝井リョウ『スター』P102

どう、これ? プロがこう書いているけど、アマがこんなこと書いたら、一蹴されると思うの、僕だけかな汗

「そうだといいよな」
 と、子どもにサンタクロースの存在について聞かれた大人のような声で呟いた。

朝井リョウ『スター』P132

うーん、わからんなあ。

スマホのスピーカーからおもちゃ箱のバネのように飛び出してくる声に、紘は眉を顰めつつ、実はホッとしていた。

朝井リョウ『スター』P136

上に同じっす汗

紘は、眠気の息の根を止める毒薬かと脳が勘違いするほど濃く淹れたコーヒーを、一口啜る。

朝井リョウ『スター』P142

僕の感覚がおかしいのかもしれない。全然わからないww

こちらを向いている煙草の先端が、腐りかけた銃口のように、じわじわと黒ずんでいく。

朝井リョウ『スター』P158

苦手だ。まだ半分にも達していない汗

人が肯定から話し始めるとき、それは次の衝撃を受け止めさせるためのクッションだ。紘は、腹の底にグッと力を込める。

朝井リョウ『スター』P160

久しぶり! いーね!

次に引用するのは、少し長くなるが、この本の、もっとも良かったところの1つだ。この言及は、全てのクリエーターに言えると思う。

「時代を反映してるとか、多様性やマイノリティに理解があるかとか、そもそもそういう観点でジャッジする気も起きないっていう感じ。ていうか、最新の価値観を反映してるからって映画としてクオリティが高いわけでもないしさ。そもそも、1作で多様性描こうとしてる人多すぎじゃない? 多様性って1人でやるもんでも1作でやるもんでもなくてさ、同時代に色んな人がいて色んな作品があること、じゃん。色んな極端が同時にあるっていう状態が、”多様性” なわけで、私たちは1つの極端でしかないわけじゃん。そんなの当たり前だったはずなのに、そこがごちゃ混ぜになってる感じない? 今って」
(中略)
「逆に、壁ドンばっかりだからってクオリティが低いわけじゃないし、アイドルだからって演技がひどいわけでもないじゃん。倫理的に最低な人間ばっかり出てくる最高な映画、ゴロゴロあるし。そんなこと誰だってわかってると思うけど、なんか今って、あっちもこっちも色んな方向に目配りしてるみたいな話が多くない? パーンって突き進んでみれば意外とそれでいいかもしれないのに、全方向に対して”大丈夫ですよ~あなたの生きづらさもナデナデしてあげますよ~社会が良い方向に代わる答えが描かれてますからね~”みたいな空気のものばっかりだよね、特にあんたたちの世代が創るものって」

朝井リョウ『スター』P192,193

疲れた汗 尚吾の先輩が、少し酔っぱらって言ったことです。いや、人生の先輩感ありますね!! 刺さったよ。

「誰でも発信できるプラットホームに広告がついたのって、私からすると結構怖いんだよね。影響力と金銭がイコールで結び付くって大丈夫なんだっけ
(中略)
私はずっと気持ち悪い。だって、影響力があるとか有名だとかっていうのはあくまで”状態”なわけ。中身じゃない。再生回数が多いっていうのはその人の状態で、大切なのはどんな中身が再生されているか、でしょう」

朝井リョウ『スター』P196

風刺だね。noteでは、フォロワー数とかビュー数のことを言うのかな、ま、ここはまだ穏やかか。老婆心ながら。

 もうね、いやになっちゃたんだよねえ。人によって評価の基準が変わる世界も、いちいちブレる自分も。

朝井リョウ『スター』P200

たまらんねえ。こういう吐露。

 私、映画撮るのは好きだったんだけど、心がね、人によって評価の基準が変わる世界でまっすぐ立っていられるほど強くなかったんだよね。

朝井リョウ『スター』P202

物書きも、同じだ。

 答えのないことを考えていられる時間って、本当に贅沢なんだよ。

朝井リョウ『スター』P206

そうだね。そう思う。

LINEのように手軽さで仕事のやりとりができる環境は想像以上に快適だったが、その代わりに、これまであった余白がなくなったというか、少しの言い訳も許されないような圧迫感が生まれたことも事実だ。

朝井リョウ『スター』P263

これ、この余白ね。ノートPC支給とかされて、または携帯もそうだけど、常に緊張感から解放されない感じが、すごい分かる。

 岩角の、反論を全く予想していない顔面は、何度も磨いたピアノの黒鍵のようにぎらりと輝いている。

朝井リョウ『スター』P276

久しぶりだな。やっぱり僕には、この比喩が分からない汗

 尚吾が、ずっと苦しそうに見えたから。目につくもの全部、無理やり同じ土俵に並べてどっちが劣ってるか議論してるように見えたから。

朝井リョウ『スター』P369

これこれ、こういうのいいよね。

 私いままで、自分は”大は小を兼ねる”の”大”なんだって思ってた。本物の料理を学んでいる自分は”大”を与えられる人間で、高度な確かな技術が一番素晴らしくて、それさえあればその下に連なるどんな要求にも対応できるって思ってた。だから、自分が差し出したものが認められないとイライラしてた。”大”側の私が差し出してるものはあなたの欲求もカバーしてるはずなのに、って。でも、そもそも欲求には大も小も上下もなくて、色んな種類があるだけなんだよね。

朝井リョウ『スター』P370

尚吾の彼女は、料理人を志した。彼女の言葉は、なかなかに刺さる。彼女も、葛藤している。

 最近の尚吾は、自分の創るものの質を高めようとしているっていうより、自分はしないって決めたことをしてる誰かを糾弾することに忙しそうだった。自分が知ってる頂点もそれをしてないんだから、って、怒り続けているように見えた。

朝井リョウ『スター』P372

言わんとしていることはいい。でも、こんな言葉を使って、こんなこと言う? まだ23だぜ。糾弾って、カップルの会話とは思えないな。

 占部の、混ぜる前のコンクリートのような煮えきらない表情が、その言葉に嘘がないことを物語っている。

朝井リョウ『スター』P383

さいごは、僕にはよく分からない比喩でしたww

サムネイルは、あえてよく分からない比喩にした。これはひとつの実験だ。僕に響かなかっただけで、世間では違うのかもしれない。自分をもつことも大事だが、聞くこと、受け入れることは、もっと大事だからね!

長くなってしまった汗
読むのに7時間かかる本でこれなら、カラマーゾフの兄弟とか、上・中・下巻で僕は40時間かかった。そんなの記事にしたらと思うと、恐ろしい、、しかも書くこと多すぎ、あれも言いたいこれも言いたい、と、あー想像するのもやめよ。あのレベルの本は、とにかく簡単には記事にできないな。

おわり。

明日からはロバート・A・ハインラインの『夏への扉』を読む。わくわく。ハインラインデビューだ。読み終わったら感想を書く。

最後まで読んでくれてありがとうございます。
また次の記事も読んでくれたら嬉しい(過去記事も)。それでは。また!


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