春はモテたい。いや、なんなら年中モテたいけど。
ここ2、3日で空気の匂いが変わった気がする。
僕は今東京にいるけれど、確実に変わった。
どんな匂いからどんな匂いに変わったかは言葉にしにくいのだけれども、とにかく変わった。確実に。
頑張って言葉にしてみると以下のようになる。
冬は乾いた土の匂い。
それが終わり、春になると、せっけんの匂いになる。
どこにもせっけんはないのにせっけんの匂いがする。不思議。
湿度や気温によって僕が感じ取る匂いも変わるのだろう。とにかく、ここ数日で確実に石鹸に変わった。立川市も新宿も渋谷も錦糸町も同じだ。
これは、小学生の頃からある感覚で、明確な境目はないのだけれど、春から夏、夏から秋、秋から冬、それぞれ匂いの移り変わりに敏感だった。
どれも言葉にするのは難しいが、それぞれに特有の匂いがある。
多分、誰にでもあると思う。
匂いじゃないかもしれない。視覚、嗅覚、なんにせよ、季節ごとに異なる何かをキャッチすることは別に珍しいことではないのかもしれない。案外。
僕の場合は匂いだったという話だ。
さて、本題。
タイトルの「春はモテたい・・・」だが、これは今日ふと思った。
なんか、めちゃくちゃモテたい。
ささやかな恋をしたい。
久しぶりに外出をしてたくさんの石鹸を浴びてそう思った。
言葉を選ばずにいうと猫の発情期みたいなものなのだろう。
3月ごろ、猫は夜中にミャーミャー鳴く。僕は以前、山の方に住んでいてそこでは3月になると猫の鳴き声がすごかった。
きっと僕のモテたい欲も、それに近い。
春になるとより一層モテたくなる。
筋トレをいつも以上に頑張るし、ユニクロに通い、本屋で村上春樹を買いに行く。ついでに美容院でパーマをかける。露骨にモテに行く。金が消える。ほとんど失敗に終わる無謀な投資に金を注ぎ込んで春が終わるのは目に見えている。でもモテたい。
年中モテたいけれど、今日に限って言えば、春はとにかくモテたい。そう思った。
断っておくと、交際もセックスもしたくない。
セクシャリティの話はややこしくなるし散々どっかに書いたから割愛するけれど、僕はモテたいだけなのだ。その上で、ささやかな、と言っても不明瞭だけど、恋もしたい。
恋するぞ!ってするものじゃないけど、スコン、と落ちるような恋があればと思う。散歩中にふとマンホールに落ちるような(それは結構やばい)恋がいい。一夏ならぬひと春の恋。とてもいい。夏には自然に終わる。常に弱火のささやかな、ふっと息をかければ消えてなくなるような恋がいい。
とにかくいろんな人(できれば同年代の女性)にチヤホヤされたい。
文章でモテれば満足なのが、春になると、実際に会ってお茶したい。
しかしそんな勇気はないし、お誘いいただいても断ると思う。
矛盾を抱えたモテたい欲、そして春。
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