プロット沼 / ニラ栽培農家(S家のこと1)20230317fri
2758文字・60min
舞ちゃんへ。
文通も最後に出してからずいぶんと経ってしまいました。
実家に帰って生活は少し落ち着きました。
ほんの少しだけです。まだなんだか不安定な生活がつづいています。
食事で味がしなかったり、映画の感動が薄かったり、齢なのかなぁ。笑。
そちら神戸のほうはどうですか?
次男くんはもう一歳四ヶ月になるのかな?
ぼくたちの文通は続いてますね。
^ ^
ぼくがペンパル掲示板に募集をだして最初は二十人くらいと文通を始めました。
あれから二年ちかくが経ちます。
文通相手は舞ちゃんただひとりです。
帰郷して最近の一番の失敗話。
最近、戯曲を書いています。その資料を読むためにAmazonで戯曲「蒲田行進曲」を購入したつもりが届いた商品は小説「蒲田行進曲」でした。勢いでそのままの読み終わってしまい、いまから返品しようか悩んでいます。そういう返品システムは有りなんだろうか? 笑。
さて、
ぼくは思うところあって、黄ニラ栽培を始めようかと思っています。
昨日、裏の家の、亡くなった祖父の弟分のトシオさんのビニールハウスに遊びに行きました。
(写メを添付しますね)
小説のネタとして三人称に直して整理して書きますね。文章は、プロットの読みやすさを優先にするために、ですます調から、だ調に変えます。
■登場人物(年齢)
◉男(35)
◉スナガトシオ(81)ニラの土地所有者。昨年、スクーターで転けて大腿骨骨折した。
◉スナガフミ(82)トシオの妻。昨年、脳梗塞で倒れた。
◉ハマダユリカ(30)トシオの孫(長女の長女)、主婦。二児(四歳、五歳=発達性言語障害)の母。
◉ハマダヨシノブ(32)ユリカの旦那。
渋川市出身、実家は料理屋、現在は仕出し業をやっている。冠婚葬祭などで仕出し経営は順調。
冒頭
九州の国東半島に三年間引きこもっていた男は実家の裏でニラ栽培をやっているトシオの家に遊びに行く。次第に農業に興味を持ち始める。
男は散歩で川沿いのトシオの畑のビニールハウスの脇にシルバーの軽が止まっているのを見た。ビニールハウスの中には女性の影らしき姿が見える。回って中をのぞき挨拶をする。トシオの孫のユリカだった。それから数日、男はニラ栽培の手伝いをする。次第に男はニラ栽培を始めてみようか。心がゆれ始める。
トシオは橋の北にもうひとつ畑を持つ。それはビニール栽培の畑でなはく露路栽培の畑だ。男はその畑を借りて黄ニラをやろうかと思い始めた。黄ニラは完全遮光での栽培だ。単価は高い。むずかしそうだがやりがいがありそうだった。日々畑に出勤。人間関係に疲れ果てた男は、ニラ栽培ならできる気がした。ニラ栽培をやって体調を立て直して夜に執筆をすればいい。男は日々何もしないでいるほうが情緒が不安で執筆どころではなかった。
一昨日の午前は、納屋でニラの包装作業を手伝ってその昼休みだった。落ちていた紙を見る。書類だった。書類の登記上ではその畑はトシオ名義の畑だった。
男は、ユリカの旦那であるヨシノブはやり手の男だと思った。彼はトラクターからビニール張りからトシオの家の雨漏りの修繕、廊下やトイレの取っ手の備え付け、玄関のバリアフリーの日曜大工までマメに見ていた。
男の頭に、フミの過去の言葉がよみがえった。
「ヨッチャンは本当にわが家のことを良くやっているんだわ」
「わが家のことはぜんぶヨッチャンがやってくれるのよ」
「ユリカの家の夕飯の料理もぜんぶヨッチャンが作るのよ、いもの煮っ転がしも作るとウチに持ってきてくれるんだわ」
「ほらそこの障子貼りも、家の修繕もぜんぶヨッチャンがやってくれるんだわ」
男は露路の畑の草刈りをやってみたいと思っていた。男はネットで刈り払い機や管理機(ミニトラクター、耕運機)などの機械について調べた。
作業の帰り際に、男はユリカに言葉をかけた。
すると、ユリカは男にこう答えた。
「ウチの旦那に聞かないと」
男は黙って頷いた。
男は一度だけヨシノブに会ったことがある。その日は休日だった。ユリカとヨシノブはふたりで離れた納屋でそれぞれ作業をしていた。作業はそれで足りていた。男の手は余ってしまい、結局トシオとフミを連れてパチンコに出かけることになった。パチンコ屋へ出る矢先だった。
ヨシノブはトラクターが置いてある大きな納屋でエアー作業をしていた。
彼は狩ったニラの根元の白い方をトランプのようにひろげて、プシュー、プシューと機械から勢いよく出るエアーで根元の土やささくれを取っていた。母屋ちかくの小さい納屋の中ではユリカがガチャン、ガチャンと大きなホッチキスのような形の器械でニラの束に紫色のテープを巻く。この包装作業でも少しでも枯れた所を指で摘んだりしないと、出荷時の値段が下がる。それでもニラは一束五十円の出荷値だ。農家は手間賃だ。
ヨシノブは黙々とエアー作業をする。男は挨拶をした。彼は無口に頷いた。男は彼は好青年だと思った。
男はトシオとは元々はパチンコ仲間だ。祖父が生きていた三年より前はよく四人でパチンコに出かけた。男の祖父は生前は農家あがりの市議会議員だった。暇があると裏の家に遊びに行っては茶を飲んでいた。
祖父から聞くところによると、トシオは七ヶ月の未熟児で生まれた。そのせいかわからないがしゃべりにどもりがある。男の祖父は三年前に死んだが、まだ生きている頃の十年ほど前、トシオが田植え機に乗って男の祖父の田んぼの田植えをしたことがあった。
男はその時、ある話を聞いた。手伝いにきた老婆がこういったのだ。
「アンタ知ってっか? あのトラクターをビクビク運転してるトシオさんよ。車の免許は持ってねえんだ。学科で落ちたんだあ。はっはっは」
男はトシオは周りから軽蔑の目で見られていると感じた。そういった農村コミュニティの目はこの地域に確かに、ある。
夫婦間でもトシオはフミから軽い扱いのようだった。
実際に男が見るトシオ夫妻の力関係はつねにトシオはフミにヘラヘラと減らず口を叩いて、それに対してフミが大声で叱る。
トシオ夫妻は去年二人とも怪我をした。トシオは大腿骨骨折、フミは脳梗塞だ。そこに世話や面倒をよくみる孫娘の夫「ヨッチャン」が現れた。
表向き、つまり体裁上、男はニラ栽培のことは「トシオさん」「フミさん」「ユリカさん」に聞かねばいけない。だがとしお家のニラ栽培(を含めた諸事)の実権は「ヨッチャン」が握っている。男はそれに気づいた。
とまあ、文字で掘り起こしてみると、裏の家は、まるで韓流ドラマの一族の実権(遺産など)を狙う家族構成(構図)になるわけです。
そこに、トシオ夫妻の二人娘の長女の旦那は不動産関係だった。土地の利権は複雑だ。アカの他人のぼくが入りこむ余地は一ミリもない。みたいな感じです。笑。
新参者のぼくがひょっこりと現れて、トシオ家の家族状況を目撃する。
そんな小説を書くテーマ(モチーフ)探しにはうってつけなんですが、実際にそこでぼくがニラの手伝いで入る隙間(余地)はない気かもな。と思っています。
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