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800文字日記/20220305sat/001

まずは、提出原稿を。


起きた。ひどい頭痛だ。風邪か。手にとった時計は12時35分。猫がウォーターサーバーの上で丸まっていた。窓が春の荒々しい風でガタガタいっている。カーテンを開ける。猫がベランダに出入りできるようにして部屋の掃除をする。猫を撫でて部屋をでる。

階段を降りて一階の屋内駐車場から通りにでる。空は白い。曇りだ。山から海の方へ向かってすごい風が吹いている。キャップをかぶり直し、河の土手に向かってあるく。アパートを見上げる。鉄筋四階のベランダの柵から猫が顔をだしている。猫に手をふって砂利の畦道をあるきだす。このあいだ耕したばかりの畑の麦が青々となっているのに気づく。右手には高圧電線の鉄塔がたつ。「釣り竿に注意!」と書かれてある。菜の花とホトケノザとナズナが黄、紫、白と三色となって群生する。秋には彼岸花で真っ赤に染まるこの畦も春めいてきた。

浄水場の敷地の外側に沿って土手にのぼると川にでる。アパートが小さく見える。川の水は堰を階段のように流れている。目を瞑ると滝の音のようだ。水草に隠れていた鴨が低空で飛んでいく。山からの風に背中をつよく押されながら桜の木に囲まれた浄水場を左手に海へとあるく。右は芒と竹の藪。土手の突き当たりに軽トラックが一台通れるほどのコンクリート橋、それを渡ってまた巨大な手のような強い風に押され土手をあるく。犬を連れた老人に挨拶をするが無視される。下流からガチョウのような鳴き声が聞こえて目を細める。鴨だった。後ろから白い蛇のような影が足元にヌッとでて飛び退く。藁だった。

目を疑った。翼を広げた二メートルはある大きな鳶が、河の上空、その中空にまるで画仙紙についた墨汁の黒い染みのように留まっていた。ぼくは足を止めた。鳶は空の一点に留まったまま、風上に向かって止まっている。横殴りの風を浴びながら鳶が動き始めるまで見つづけた。帰ろうと思った。風上に一歩力強く踏み込んだとき、体が一瞬、浮いた。(798文字)

で、添削(アカ)ですね。
基本の基本、これは目から鱗です。
■時間どうりに書く。これ、noteのアマチュア小説家はみんなできてないです。(もちろんぼくも含まれるのですが)
とくに純文学系の小説書きが圧倒的にこれができてない。
なぜかといえば純文学というのは、絵でいうならば「油絵」「エッチング」「版画」「コラージュ」「水墨画」のような筆者特有の「文体」が求められます。
ですがその手前の基礎がなっていないと、文章をただこねくり回しているだけで時間軸がもうテンでバラバラになってしまう。
その点、エンタメ系の作家は読者にわかりやすく基本に忠実に書きます。
ですから純文学系の書き手は要注意ですね。
例えば、下記の一文(次回の7日の記事から抜粋)。

例)
×喉を鳴らした猫に起こされる。
よく読み返してください。読者が読む順番(読者の頭のイメージに出てくる順番)を。

添削された(さらにぼくが直した)文章は下記、
☞起こされた。猫は喉を鳴らして起こしに来た。(先生)
☞起こされた。猫が喉を鳴らしている。(ぼく)^ ^

こんな感じの添削です。基本のキですね。

❶常用漢字をきちんと使いこなす。(またはルビをきちんと振る)
(ぼくは小説を書くので、純文学系の著名な作家や直木賞作家などのひらがなの使い方をいつも迷っていましたが、そういうのはまず基礎ができてからだ!と叱られました)
■常用漢字以外はルビを必ずふる。
■読者は常用漢字以外の漢字は基本、読めないという前提で書くべし。
❷時系列に描写。
■読者の頭の中の真っ白なキャンバスに僕らの書いた文字でイメージされる。その順番を守るべし。つまり、読者を混乱させるな!

今回はこれくらいに。

それでは下記がプロのアカが入った後のぼくのリライトです。


起きた。ひどい頭痛だ。風邪か。手にとった時計は12時35分。猫がウォーターサーバーの上で丸まっていた。窓が春の荒々しい風でガタガタいっている。カーテンを開ける。猫がベランダに出入りできるようにして部屋の掃除をする。猫を撫でて部屋を出る。

階段を降りて一階の屋内駐車場から通りにでる。空は白い。曇りだ。山から海へ向かってすごい風が吹いている。土手に向かって歩き出すが立ち止まってキャップをかぶり直す。アパートを振り返る。鉄筋四階のベランダの柵から猫が顔を出していた。猫に手をふって砂利の畦を歩き出す。この間耕されたばかりの麦畑が青々としている。右手には高圧電線の鉄塔がたつ。「釣り竿に注意!」と書かれてある。菜の花とホトケノザとナズナが黄、紫、白と三色となって群生する。秋には彼岸花で真っ赤に染まるこの畦(あぜ)も春めいてきた。

浄水場の敷地の外側に沿って土手に登ると川に出る。アパートが小さく見える。川の水は堰(せき)を階段のように流れ落ちる。目をつぶると滝の音のようだ。水草に隠れていた鴨が低空で飛んでいく。山からの風に背中をつよく押され、桜の木に囲まれた浄水場を左手に眺め、海へと歩く。右は芒(すすき)と竹の藪(やぶ)。土手の突き当たりのコンクリート橋は、軽トラックが一台やっと通れるほどに狭い。それを渡ってまた巨大な手が背中を押すようだ。強い風が背後から吹きつける。犬を連れた老人に挨拶をするが無視される。下流からガチョウのような鳴き声が。目を細めると鴨だった。後ろから白い蛇が足元にヌッとでて飛び退(の)く。藁(わら)だった。

目を疑った。ぼくは足を止めた。翼を広げた二メートルはある大きな鳶(とび)が、河の中空にまるで画仙紙についた墨汁の黒い染みのように留まっていた。鳶は空の一点に留まって羽ばたきすらしていない。横殴りの風を浴び鳶(とび)が動き始めるまで見続けた。帰ろうと思った。風上に一歩力強く踏み込んだとき、体が一瞬、浮いた。(799文字)


最後に、ぼくの感想を少しだけ。
(文句が多い、素直な弟子じゃなくて、手がかかるよね。汗。優しい師匠ですね)

■漢字が多すぎないか?

美樹香月先生曰く、

文章のバランスは、ひらがな、60%〜70%、漢字、20%〜30%、カタカナ10%。

確かに綺麗にまとまっている。が、学校の作文教室の金賞のように、国語の教科書じみて堅苦しく感じる。

滝汗。

でも創作(小説)の練習じゃないので、文章の基本のキを叩き込む練習としては最高ですね。

それではまた次回に。

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