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400字日記(リニューアル版)

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400字日記をリニューアル 日記に通底するテーマ 「すべては作家人生のために」 400字に入れること➡︎日々に見た感じたもの(具象) 四百字をどのような形式で見せるか? ➡︎「第…
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#800文字

800文字日記/20240319/tue「じぶんの醜い顔」

800文字・15min 三月十九日。二十二時五十分。 元師匠のズームの文章個人レッスンは終わった。 三月下旬の室内は二十五度だ。部屋の暖房は点いている。あたたかいはずだ。なのにぼくの肩は小刻みに震える。ペン立てにささる手鏡をとる。じぶんの顔をうつしてみる。白髪染めで黒色に染めた髪に白髪が混じった無精髭。安いメガネは下にずれる。まぬけな顔だ。去年の今頃、師匠のもとから、逃げだしてしまったじぶんの醜さが丸見えだ。 安メガネは昨夏ソープランドのボーイで働いたその初任給で上野の駅ビ

小説、妻のクマ、第2話「カフェデート」

800文字・60min 「今晩、おねがいできるかな」 席に座るなり僕は妻に訊く。 「なんのこと? 」 「なにをって、ほらあれだよ。アレ」 案内された席はレジ横で広い。向かいに座る妻との距離はやや、遠い。妻はふるびた革のポシェットを脇に置いた。 「ランチじゃないのに待ったね。あそうか。今日は連休の初日か」 妻は笑う。快活に。 「今晩の件。おねがい。できますかね? 」 また小さい声で妻に言う。夜の話をするには席の間隔は、やはり遠い。 今日の妻の服装はツーピース

タダでやらせてくれる女はなぜ重要なのか?

399文字・15min  二十年来、村上龍の小説やエッセイを読んで、恥ずかしながら彼のいう「タダでやらせる女は大切にしなければならない」の一文が理解できなかった。先ほど、すとん。腑に落ちた。  村上龍はデビュー以来「タダでやらせてくれる女は大切にすべきだ」と書いている。この一文は豊かだ。含みがある。ぼくはこの一文を二十年以上、考えてきた。「タダでやらせてくれる」というのは、彼女と妻とセフレとただの淫乱や互いの状況の違いなのか? いやSMクラブや娼婦や職業の違いでもない。ニン

ミラクルガールを聴いて思ったこと20230112thu191

(1120文字・30min) 今日から30分砂時計がひっくり返る間に書くことにした。 800文字日記の書き始めは文章教室のプロがいたし、いくら時間をかけても良かった。三時間も四時間もかけて書いた。今日から次のステップだ。 日々書きながら文字数を800文字に収まるように修練していく。 散歩のこと。 猫と遊び、自転車でゆっくりと走る。コースは日記を始めたコースだ。川に鴨、田んぼで野焼き、カラスの叫び声、トトロが潜むようなこんぴら神社らをゆっくりと漕いですすむ。 人間発電村が

みんなは反転で書いてる!?(2)20230111wed190

前の記事の終わりかたはベタか? ベタだと思う人は コメント欄に 「ノ」してください(冗談です)。 こういう軽めの交流って、やりたいのだが。 noteって、わりと一方通行なんですよね。 ゲーム実況のときはすごい反応があって楽しかった。 同世代があつまってくると、パソコンの音楽かけまくって、 「クイズイントロ、ドン!」をやってました。 「ピンポーン! ピーパリさん正解! カーペンターズのトップ・オブ・ザ・ワールドでした!!」 「え、次!? なにかかけて? こ甲賀忍法帖!? パソコ

みんなは反転で書いてる!?(1)20230111wed189

散歩を書こうと思った。けど、コラムも散歩もごった煮で800文字。しばらくはそれでかく。 3月で、MS wordソフトのサブスクが切れる。自動更新で年額14,800円だ。小説を書くときに縦書きで書けるというので使用しているが、新人賞もプロアマ問わずのどの作家もいまは.txtで送るのが主流だ。つまり文字配列のみ(数字の羅列とおなじ形)でデータを送る。それを向こうで原稿用紙に起こしてプリントアウトする。 TXTファイルとなるとワードソフト(一太郎などもふくめ)はいらない。 縦書き

800文字日記を1年やってみて20230107sat184

3話中、1話をあげた。審査員に物語の世界観(醍醐味)をしってもらうために、レジュメでかいた了の妄想日記も索引(index)で入れた。のこり6日。144時間。4,000文字を2話かけばいい。アクシデントがなければ間に合いそうだ。 前師匠がいったとおりレジュメをかき集めてかくのは大変だ。けどレジュメさえかけたら作品の8割は押さえた感はある。この手法を自分の創作フローで固めていこう。 この一年、800文字作文をやって、文章の不要な箇所を削ぐ術は身についたと思う。 元新聞記者だっ

ブンガクの流行病20230106fri183

忘れもしない0:29分。ぞっとした。 あるマンガの原作の7頁の冒頭を書いていた。文は下記だ。 片眼に鬼眼を宿した遙は、油揚げの香ばしい臭いがたつ豆腐屋の角を曲がる。遙の背後では生き霊たちはぞろぞろと数を増やしてついてくる。暗黒の瘴気は街をおおい尽くさんばかりに膨れあがる。 一見、なんとなしの状況説明の文章だ。が、ぼくにとっては大きい一文だ。 ぼくはこの冒頭をいく分こねくり回していて、指がピタと止まった。 物語では主人公了(りょう)は時空を歪ませるほど精神を病んでいる。現実

ピントのずれた日20230105thu182

起きる。ぼうっとする。がんばりすぎか。いや、ここでがんばらねばいつやる。 いろいろなことが手に負えない。部屋探しは後回しにしたい。昼の中国人スタッフは優秀だった。武漢出身、大分県の佐伯出身の日本人の妻。覚えてるの、それだけ。 昼、記憶がない。師匠だった作家のいうとおり吐きだしたレジュメは1/20も使わない。もっと捨ててる。 得たもの。自分のマテリアルっぽいものだ。高橋留美子、鳥山明、クリストファー・ノーラン、村上春樹、よしもとばなな、表現の文脈は作家それぞれだが自分の内

文章教室とSEと二十六億円/20221221wed167

辻仁成の文章講座を受けたという記事をよみ流行作家もついぞ文章教室に手をつけ(染め)始めたのかと思った。図書館はまだ彼の本が平積みされていたが。いや、流行作家だからこそ今のうちに文章教室へとシフトチェンジしているのかもしれない。 まったく話は変わるが、 数年前、京都のスタバでものすごい速さでタイピングをする人を見かけた。「パチパチ」というより「バチバチ」とあまりの凄さに興味が湧き、声をかけた。 彼はシステムエンジニアだった。三十代のスキンヘッドでユニクロなどでは並ばぬよう

たかが文字だ。20221221wed166

雨だ。つらい。で、何がつらいのか? 風邪だ、喉が痛い、熱だ、コロナだ、骨折だと日記に書けば伝わるだろうが嘘になる。 他者(第三者)に読まれる前提で書かれたものは日記と言えない。ここ一年日記なるものを書いて昨日の日記でふと思った。このnoteは本来の日記に書かれるべきことは何ひとつ書かれていない。 他者に言えない自分だけの秘密であるから日記なのだ。生理三日目。私臭うかな。三組の〇×死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね。拓也くんと初キス。親のセックスを見た。キモい。京香と

妄想散歩/20221220tue/165

ムシャクシャする。近寄るネコを思いっきり蹴りとばす。道路の上で潰れていた。ぺっ、と唾を吐く。今日のぼくは悪ガキなんだ。 ドアを開けるとベトナム人のゴミ。田舎に帰れと毒づき近づく。ピンポンを連打。いない。これは指定の袋じゃねえぞ!とゴミ袋の山をぶっ叩く。扉が凹むまで蹴って暴れ電気とガスメーターを破壊し玄関前に軟便を垂らし駐車場に出ると泥除けに「○○工場」とテプラが貼られた自転車がある。ベトナム人だ。一台に鍵はかかってない。日本の安全神話なめんなよ。毒づいて鍵を抜きポッケに入れ

800字日記/20221218sun/163「飼い主のエゴ」

昼に目覚めると、外の畑の霜は消えていた。 ネコは洋間の床をはしゃぎまわる。「愛猫の相手がいないのだから去勢はする必要はない」飼い主である自分に問いが浮かぶ。呻くような夜鳴き、部屋のあちこちにおしっこをかけるスプレー行動、ネコにとってはいつまでも欲求は満たされない。ストレスは溜まるだけだ。 未去勢は飼い主のエゴなのか? もとを辿れば、ペットをショップで購入する行為は偽善だ。商品のペットは売れ残れば日に日に値が下がる。一部はペットカフェに流れるがあとは殺処分。この構造を解って

800字日記/20221217sat/162「雨の散歩。文体さがし」

そうじを終え、時計を見る。一時過ぎだった。 「やっぱ、外に出ないと狂いそうだわ」とネコを撫で、玄関を飛び出した。 道路に出ると、ぽつぽつと雨粒が、昨日おろしたパーカーの肩口にあたる。 九時に目は覚め、布団を出たのは昼過ぎだった。凄まじい希死念慮に襲われた。今でさえ喉元すぎればだが。 濡れた石垣をつたって歩くと溝にピンク色の花が咲いていて、そこを畔へ折れた。少し歩くと高圧電線の鉄塔がそびえ、ジジジ、と電流が雨を弾いていた。 久しく自分の姿を真っ当に見ていないので自撮りをす