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宇宙兄弟を読んだらなんだか軽くなった。
どうしよう。もう5月になっちゃってる。なんにもしていない。もうすぐ1年の半分が終わろうとしている。
私は今、退職の餞別にと同僚からもらった高級コーヒーを友達の結婚式の二次会で引き当てたケトルで淹れて飲んでいる。人様の恩恵だらけで生かされている。
そんな生活の中でも本を読んだので感想文を書きたいと思う。
「鬼〇の刃」とか「ハ〇キュー」とかもいい。いいのだが、私はお節介ながらもこの漫画をおススメしたい。ちなみに、「鬼〇の刃」も「ハ〇キュー」もどっぷりハマったので、その件も今度書きます!(誰得)
どん。
「宇宙兄弟」
2人でUFOを目撃したあの日から、宇宙飛行士になってそれぞれが「月」と「火星」に行こうと誓った南波兄弟。弟の日々人は宣言通り宇宙飛行士になって月面着陸に成功し、国内外から賞賛を得る。しかしその一方、普通の会社員となった兄六太は、とある理由で上司に頭突きして会社をクビになり―。
兄弟、恩師、同僚、良きライバルたち。そして技術者たち。その他クセすご人間たち。
どんな第一印象最悪人間がどんないやーなセリフを吐いたって、なぜあんなことを言ったのか言葉の裏にある深い背景を知った日には、強く胸を打たれてしまう。
宇宙飛行士選抜試験から月面ミッションに至るまで、細部まで丁寧な描写は39巻の現段階まで飽きさせることはなく、ネットフリックスで見たアニメも見始めたら本当に止まらない。
そんな宇宙兄弟の魅力の大部分は登場人物たちにあると私は思う。
魅力的なキャラクターがごまんと出てくるのであげだしたらキリがない。なので、ここでは主人公の「南波六太」について書きたい。
愚者風リーダーというか決して牽引型とは言えないけど、なぜかいつも彼の周りには人が集まってくる、南波六太とはそんな人間だ。
ただ「宇宙が好き、宇宙に行きたい」という純粋な想いで宇宙飛行士選抜試験を受験するが、ほかの受験者達の志望動機との違いに自信を喪失していく。しかし試験が進んでいくにつれ、はじめは「宇宙飛行士南波日々人の兄」だった周囲の認識は、徐々に彼の人柄に惹かれ「南波六太」へと変わっていく。
どんな困難な場面でも、楽しみながら最終的には突破していく六太の姿は憧れるものがあった。
海底での水中訓練の最中に、同じ日本人で宇宙飛行士の同僚、または良きライバルである真壁ケンジに対し六太が声を掛けるシーンは、私が好きなシーンのひとつだ。
「目が覚めたよ俺。先のことを考えるのやめたんだ。わかってたけど……大事なのは結局……“今”だ。今この訓練がどうやったら最高のもんになるかだけを考えることにした。やったことはきっと俺らの力に変わるはず。だからケンジ、ちょっとだけ無理なことに挑戦していこーぜ」
第16巻より。
ちょっとだけ無理なことに挑戦する。
今の私の生活で「宇宙」とか「宇宙飛行士」という世界は、日本の裏にあるブラジルよりもずっとずっと遠い存在のように思える。しかし、宇宙兄弟のキャラクター達の背景や彼らが発する言葉は、私のちんけな日々に大きくリンクするものがある。それゆえに、私はこの物語に感動し共感し感銘を受けるのかもしれない。
私が携わっていた看護師の仕事というのは、一般の人が思う「注射」とか「体温測定」以外にも多岐にわたってキリがないくらい範囲が広い。当時いた部署はどうしても多忙さからなのか、整理整頓がうまくいっていなかったことがあった。
病室にあるはずのゴミ箱はあったりなかったりだし、来院した家族に出した椅子は帰ったあともベッドサイドに出しっぱなし、物品が補充されてなくて他部署から借りてこないといけないこともしばしば。
スタッフひとりひとりに「どう思う?」とインタビューすると「いやあ、汚いよねー」と百発百中で答えるのだが、自分も含め「汚いと思ってはいるけど出来てないよねー」という状況。ほかの業務に追われ、そこまで辿り着いていないというのが原因であり、5Sの優先順位が最下位ポジションなことがわかった。
先日SNSで「看護学校の先生に黒板を消してなかったら『これは医療事故ですよ』って言われた」という趣旨の動画を見かけて、めちゃくちゃ共感したのだが、その先生が発した言葉からいかに整理整頓(5S)というものが医療現場において重要であるかがわかる。
実際、患者さんの状態が急変した時にベッドサイドが散らかっていると「なんでこんなところにこんなモノが!邪魔!」とかなるし、不用意にその辺に置かれたもので患者さんが躓いて転倒して受傷なんてしたら、それこそ「医療事故」の一端となってしまう。
あとは、あるべきところにあるべきモノが常時ある、というのは鉄則だ。
極論だが人が死にかけていて「電気ショックしないといけない!でも電気ショックがどこにいったかわかんない!」とか、本当に病院としてあるまじきミスになるからだ。
大げさかもしれないが整理整頓、物品管理がなっていないとそういうことは起こりうるのである。
そういうリスク管理、あとは衛生面、接遇面全てにおいてこの散らかり具合はやばいな、ということで部署内向けの5Sの勉強会の資料をこのセリフを引用して作成した。
こなすのに精一杯な溢れるほどの業務量。しかも残業すればいいという話ではなく、夜勤者に引き継がなければならないので、タイムリミットまであるという。
それでもその先もう一歩歯を食いしばって、業務を終える時に自分の担当部屋をラウンドして整理整頓しませんかという呼びかけだ。
ちょっとだけ、もう無理だと思うことにも手を伸ばしてやることの意味。
六太の言葉がどう響いたかはわからない。
習慣の改善、定着は難しいなとは思ったが、六太のおかげで資料だけは好評だったので結果いいかなと思う。笑
資料作るのも楽しかったし。
あとはどんな些細なことも意味があると思えるようにあったのも、この六太の言葉を読んでからだ。色々愚痴が出ることもあるが(笑)、グチグチ言って物事に取り組むよりは、前向きに楽しんでやるほうが得だと思えるようになれた。どうせやるならポジティブにやろうと気分が軽くなった。
1日の大半が仕事で占めていたので仕事ばかりの話になってしまうが、これは仕事に限ったことではない。
一見テーマが大きいように感じる「宇宙兄弟」という漫画だが、こうやって資料に引用できるくらい自分の色んな局面にハッと思い起こされたり、背中を押してくれるシーンや言葉がたくさん散りばめられているのでかなりおススメ。
そしてとんでもなくJAXAに行きたくなる。もう3年ほど前になるが念願のJAXAに遊びにいって、食堂で社員さんに交じって定食も食べてしまった。感動……。
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