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砂の城(創作大賞投稿作品)

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6年前に小説家になろうで書く予定だった消された恋愛話を改稿して纏めております。【創作大賞2024初参加】 暗い部分も多いですが、人の感情揺れ動きとリアル重視。 ハッピーエンドです…
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#タバコ

【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】砂の城 「第4話 心の支え」

【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】砂の城 「第4話 心の支え」

弘樹さん達が店を出た後、見計らったようにミカが近寄ってきた。これはいつもの事だ。

「ねぇーマキちゃん〜。弘樹さん紹介してくださいよぉ〜、センセー達来た時に、ゼッタイ私の事呼んでくれないじゃないですかぁ〜」

ミカをヘルプとして呼ぶのは大変だ。指名には料金制度があるので、彼女をただ隣の席に置くだけでも結構高くつく。
料金が高いからという理由だけならば、ミカは弘樹さんに近づきたい人間

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【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】砂の城 第18話 忍sideー 麻衣

【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】砂の城 第18話 忍sideー 麻衣

 飯以外で澤村とこうやって出るのは初だったが、蒼空があいつの事を気に入ってくれたお陰で俺は気兼ねなくタバコを吸ってのんびり出来た。
 弘樹は今も俺から奪ったマルボロを吸っている。止める以前は散々俺にバカになる、とか勃たなくなる、とか言いまくってたくせに。

「な? 久しぶりだと美味いだろ?」

「お前さ、こんな不味いやつよく長年吸ってるよな……」

 流石に過去を吟味して考え直したのか、短くなった

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【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】砂の城 第19話 捨てられないタバコ

【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】砂の城 第19話 捨てられないタバコ

 私はいよいよ西東京市にある部屋を解約する為、隙間時間で片付けをしていた。
 元々そんなに荷物のない部屋だったが、少しずつ広くなる様子を見ると、ケジメをつける時なのだと思い知らされる。

 そんな矢先、珍しく雪ちゃんからLINEが来た。子育てで忙しい彼女は弘樹さんがお休みでかつ、子供を丸々面倒見てくれないと動けないはずだ。私もこの部屋に誰かを招くのはこれで最後と思い、雪ちゃんに住所を伝え彼女に西東

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【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】砂の城 第39話 忍sideー 未来へ

【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】砂の城 第39話 忍sideー 未来へ

「結局、麻衣ちゃんと一緒には住まないのか?」

 いつもならこの時に呆れた、と言われるのだが、弘樹はいつもとは違い笑顔で妙に寛大だった。多分、麻衣の態度が変わった事が大きな要因だろう。
 麻衣はなんだかんだで、弘樹の嫁である雪ちゃんの親友。──そりゃあ旦那としてはどちらの事も心配に決まっている。

「まあ、結局はこのスタンスが俺達にとって一番いいからな。雨宮“先生“、いつもご馳走様」

「全く……

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