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書くことがないときに僕の書くこと2024

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読むこと、書くこと、教えること、生きることについて
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#小説

5/20 性活

主人公の「日記」という体で書かれている。だからだろうか、わかりやすいようでいて、つまりどういうことか、と考えると、なかなか掴みがたい。生活……ってなんだ?

『ヰタ・セクスアリス』もそうだが、森鴎外の私小説敵なもの(ライフ=アート)との距離感は考える価値のありそうな問題である。いわゆる自然主義・私小説・告白から一定の距離をおこうとしているように見える一方で、森鴎外においては、間違いなく、性欲がまた

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5/15 厳しいライフ

当時において一定の影響力があったのだろうと思われる言説がある。あまり詳しくないのだが、おそらくはこうした考え方が自然主義者たちのライフを私小説的告白にふさわしいものに荒廃させていったのだろうと想像される。鴎外は当然このような立場にはないだろうが、ライフとアートの一致/関係の問題は、先日考えたノンフィクション/フィクションの関係にも関わっているのだろう。古くて、現代的な問題。

しかし、ちょっと忙し

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5/12 何を目指して

昨日は書き損ねた。仕事から帰ってきて、体調を崩して横になり、そのまま寝てしまった。今日も半日を回復に使い、まったく、休日は週に2日はなければならない。教員の待遇改善の第一歩、週休2日制の実現。

トマス・エスペダル『歩くこと、または飼いならされずに詩的な人生を生きる術』を読み始めた。ジャケ買いしたのだが、読み始めて面食らい、これは何だろう、詩的エッセイとでもいうのか、と困惑しヒントを求めて訳者あと

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5/10 「神様」、ワイヤレスイヤホン

森鴎外『青年』。鴎外、良いなぁ。一級の知性にして、凡人。

川上弘美「神様」を読んだ。私が読むと、不条理というか、マジックリアリズムというか、非現実的なことをリアリズムの文体で書く、その手腕、あるいはそのように書くことのできる文学のおもしろさ、みたいな観点が一つ。それから、異文化共生的な観点が一つ。どちらも、得意分野ではないというか、興味のある分野ではないというか……。

AirPods Proを

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5/9 国家の黎明、国家の黄昏

公立学校の財政が破綻するというのは、どういうことなのだろうか。森鴎外『青年』を読み始めたのだが、そこに描かれている国家の黎明期とは対照的な、国家の黄昏、というものを感じる。

森鴎外『青年』を読み始める。漱石『三四郎』の影響を受けて書かれたと何かに書かれていたが……鴎外の文体や主題の多様さ、小説の技術は、本当にすごい。随一の知性が文学の言葉を作っていた時代のことを思う。

しかし、『青年』の冒頭を

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