10/12 「女の子を殺」す『徒然草』
雪の面白う降りたりし朝、人の許、言ふべき事ありて、文をやるとて、雪のこと何とも言はざりし返事に、「この雪、いかが見ると、一筆のたまはせぬ程の、僻々しからん人の仰せらるる事、聞き入るべきかは。返す返す口惜しき御心なり」と言ひたりしこそ、をかしかりしか。
今は亡き人なれば、かばかりのことも忘れ難し。
『徒然草』三十一段
九月二十日の頃、或る人に誘はれ奉りて、明くるまで、月見歩く事侍りしに、思し出づる所ありて、案内せさせて、入り給ひぬ。荒れたる庭の露しげきに、態とならぬ匂ひ