20220801 長くもがな、夏休み

夏休みなので休みを取ってはみたものの、何をする気も起きず、ただ家事ばかりこなしている。

「君がため惜しからざりし命さへ長くもがなと思ひけるかな」と、『小倉百人一首』にも入っている和歌があり、「君がため惜しからざりし命」と言われると、文語から受ける印象もあるのだろうが、大変に激しい心情に見えるけれども、「長くもがな」の、幸福な穏やかさよ。

まったく、そもそも「死にたい」とばかり口にして若い頃を過ごし、持病もあって、長生きするようなつもりはまったくなかったし、今だって長生きできるとは思っていないのだが、結婚してしまって、長くもがなと、思わないこともない(この歌を詠んだ藤原義孝は流行病により21歳で死んだ。とはいえ子供(三跡、藤原行成)もあるわけで、今の感覚で捉えてはならないだろう。しかし……)。とりあえずの家事を終えてぼんやりしながら、そんなことを思う午後であった。長くもがな、この穏やかな夏休み、とも……。

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