10/21 偽りても賢を

狂人の真似とて、大路を走らば、則ち狂人なり。悪人の真似とて、人を殺さば、悪人なり。……偽りても、賢を学ばんを、賢と言ふべし。
『徒然草』八十五段

有名な言葉だが、身に染みる。兼好は冷笑しない。偽りであっても、賢く、正しくあろうとすること(「学ぶ」と「真似る」が同じ語源を持つこともまた有名な話である。ここでも、「学ぶ」とは「真似る」ことである)が、賢さ、正しさと呼ばれるものであると、大っぴらに唱えて衒いがない。

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