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ドレス


結婚式は、和装だった。

憧れだった。
嬉しかった。

赤い和傘をさしてもらい、ちょこちょこと歩く姿は、少しは綺麗にみえたかな。

心のなかでは、「頭が重たくて、お辞儀ができないよぉ。少し顔を傾けると、首がもげるかも」 

なんて、思っていたのだけれど。


それでも、

神社の境内で行われた神前式は、厳かで清らかで、幸せに満ちていた。


披露宴では、お色直しで、頭もセットし直してもらい、カラードレスを着た。

貸衣装店で、たくさん試着させてもらって選んだ。

ピンクのひらひらや、キンキラのゴールド、マーメイドタイプに、「どうやって歩くんですか?」というドレスまで、色々着てみた。


目の前に広がるきらびやかな世界に、心はワクワクとドキドキに満ちていた。

自分が着たいと思うドレスと、他人が見て似合うドレス。
どちらにしようか、迷いに迷った。


着たいドレスと似合うドレスが同じだったらよかったけど、違っていたから。


家族やお店の人に見てもらい、考えて考えて。

結局、他人が見て似合っているドレスにした。


白が基調で、淡い花柄が可愛い、素敵なドレス。


みんなに「似合っている」と言ってもらえたし、後で、披露宴の写真を見ても、これでよかったなと思った。



でも……

もし、似合ってなくても、着たいドレスにしていたら、どんな気持ちになったのかな。


後悔はしていないけど、ちょっとだけ、どうだったかなぁって思ってしまう。




自分の記事を見返しながら、リンクするドレスの思い出。

自分が書きたい文章と、読まれる文章って違うかもしれないなって。


まだまだ、そんなことを考えられるレベルじゃないのだけれどね。

でも、だからこそ。


今は、着たいドレスを沢山着てみようと思った。

とっても恥ずかしいけれど、見てもらえたらと思う。




言葉のドレスを身にまとい、鏡の前に立つ。


後ろには、こんな私のことを見てくれる人がいる。

どんな顔をしているのか、怖いけれど、勇気をふり絞って振りかえる。


『どうですか? 似合ってますか?』






そして、いつの日か……


「着たい」と「似合っている」が一致するドレスを見つけられますように。















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