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雪の降る日に田舎を思う

今日は東京でも、朝から雪が降っています。
冷たい空気で思い出した「田舎の暮らし」について、
書いてみたいと思います。


東京ってラク


私の実家は青森の、さらに「へき地」にあります。
私は、高校を卒業するまで住んでいました。
実家を離れて、すでに40年近く経ちます。
父が4年前に他界し、今実家には
85歳になった母が一人暮らしをしています。

東京に住んでいて、冬になると毎年思うのが、
「晴れの日」が多くてラク、ということ。

青森は11月下旬には初雪が降り、
3月下旬までの4か月間が「冬」です。
「ストーブ」の要らない時期は本当に短く、6~9月くらいです。

寒さもそうですが、気候も激しく
「穏やかな晴れの日」は本当に少ないです。

学生の頃アルバイト先で知り合った人が、
私が「青森出身」と言ったら、こんな話をしていました。
その人は親が転勤族で、子供の頃青森に住んでいた時期があった。
母親がうつ病になって大変だったと。
「青森って、ずーっと天気悪くてどんよりしてません?」

たしかにそう。
晴天率を調べてみました。

ウェザーニュースの「2021年昼間晴れた時間ランキング」

東京3位 2459時間
青森46位 1747時間
実家のある所は秋田寄りです。
秋田47位(最下位) 1702時間

特に冬は、晴れる日は本当に珍しいです。
母からのラインも、今年は特に「今日は晴れです!」という日は、
月に2~3日しかないです。

また今年は雪が特に多く、大変そうです。
母とのラインでも、天気と雪かきの話しか出ません。
毎日雪の心配ばかり。
この生活って、どうなんだろうと思うのです。


東京に来れば?


灯油代も大変、雪かきも大変。
母は「日々暮らすだけで大変」なことをしきりに訴えます。

しかし私が、
「仕事があるわけじゃないし、冬の間だけでも東京に来れば?
来るのが大変なら迎えに行くよ。」
そう言うと、

体の具合が悪い
家を空けられない
などと言います。

体の具合というのは骨粗しょう症による痛みです。
でも日常生活は出来ているし、雪かきもしています。
来れないはずはないのです。
また家については、自分一人住む家。
言ってしまえば、母が亡くなれば処分するので、
「家のため」に生活を制限してまで維持する必要はないのです。
なぜ一人、雪と寒さに耐えながら暮らさないといけないのか。

母の世代は、家が「人生の目的化」している、ということがあります。

でも、それだけじゃないのかもしれませんね。


便利とか不便とかじゃない


今朝ゴミ出しに外に出たら、雪が降っていました。
キンと身が引き締まるように冷たい、湿った空気。
雪の「匂い」とでも言うのでしょうか。

それで「青森」を思い出しました
しんと鎮まるような気持ちになったのです。
これが「落ち着く」ということなのかな。

便利とか不便じゃない
楽とか大変とかじゃない
家とか地域とか自然とかの「何か」でもなく

その場所の空気とでも言うのかな、
「表現できない」もの。

だから
体の具合が悪い
家を空けられない
なにがしかの理由を付けているだけ。

「これ」と言えないけれど、その場所が良いんだろうな。
理解はできないけれど、そんなものなのかも。
何となく腑に落ちたのです。


「そこにいたい」気持ち


先日、こんな記事を見つけました。

認知症の方が外に出て行こうとする最大の理由は、
ここを自分の居場所と感じていない事だと思います。

知人に、実家の親を10数年前から呼び寄せ、
一緒に住んでいる人がいました。
始めの頃は、山梨にある実家との行ったり来たりで、
東京での生活に徐々に慣れてもらっていたようでした。

しかし、ここ数年は認知症が進み、
「徘徊」で探し回ったことも一度や二度ではないようでした。
その人は言っていました。
「なぜか山梨方面に歩いていくんですよ。」と。

便利とか不便とか
住みやすいとか住みにくいとか
人は、そんなに単純なことだけではないのかもしれませんね。

他の人には、いや本人ですらなぜかは分からない
「そこに居たい」気持ちがあるのかもしれませんね。

私の母も、
そんなにも「そこに居たい」場所があるというのは、
幸せなことなのかも知れません。

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