見出し画像

腸と脳を整える

皆さん健康に気をつけていますか?体調はもちろんですが、脳や心の状態についてはどうでしょう。

脳の状態が悪い(ストレス)と体のある部分もやられて、結果体調不良になってしまうのです

ストレスの多い社会ですので、いかに脳の状態をコントロール出来るかが健康のためにも重要となるのです。

なぜこんな事を書こうかと思ったこというと。

この本を読んでいたからです。


この本は「第二の脳」と呼ばれる「腸(腸管神経系)」と「脳」について書かれています。

最近の研究では、感情などを司る脳と栄養の吸収や消化といった活動をする腸が迷走神経などを通じて情報のやり取りをしているということが分かってきました。

知らない言葉ばかりと小説くらいのボリュームでかなり時間がかかりましたが、要点をピックアップしてまとめようと思います。

①腸内細菌

まず、腸内細菌とは腸の中に生息する細菌で、約100兆個が生息していると言われています。
人間の腸は広げるとバスケットコートの広さくらいになるので、細菌であればそのくらいいるのでしょう。

腸内細菌の恩恵は消化の支援や代謝の統制、腸に取り込まれた有害な化学物質の処理、免疫系の統制や病原菌の侵入や増殖の防止などがあげれます。

腸以外で人体の内部や表面に存在する細胞は10%のみで、残りすべては腸内細菌となっています。
すべての腸内細菌をひとかたまりにすると重さは900グラムから2700グラムとなり、およそ1200グラムの脳に近似するとも言われています。

腸内細菌の数や多様性は生涯を通じて変化するのですが、
生きていく上で最も重要なのは生後3年間。
というのもここで形成された腸内環境が生涯の病気や肥満に大きく影響してくると言われています。よく「病気や肥満は家庭環境が関わっている」と言われているのは、代々に受け継がれた腸内細菌が大きく影響しているのです。(詳細は③に)

②腸と脳の相関関係

まず、腸と脳はお互いに情報を発信し合います。
たとえば、脂肪分をたっぷり含むデザートを食べたという情報を受け取ると、食物が胃から排出される速度や腸を通過する速度を落とし、低カロリーの食物を摂取したと言う情報を入手すると腸で十分なカロリーを吸収できるよう、内容物を排出する速度を上げます。
この情報のやり取りを腸と脳が相互の行う事で成り立っているのです。

では、それらのことがどのように腸と脳でやりとりしているのかというと、脳と腹部が唯一繋がっている「迷走神経」を介してやりとりされます。
迷走神経によって伝達されるシグナルは90%が消化管から脳へと流れていて、それ以外は10%に満たないと言われています。
この迷走神経で何がやり取りをされているのかというと、腸は体内で最大のセロトニン貯蔵庫であり、セロトニンの95%は腸に収められていて、消化器系内で食物を動かす連携した機能を持っています。

セロトニンは腸と脳の関係で非常に重要な役割を果たす究極の分子で、蠕動と呼ばれる腸内の収縮運動にも関わっています。

セロトニンの生成には、納豆や味噌、ヨーグルトやチーズなどの発酵食品や身体の20%を占めると言われる必須アミノ酸などが不足するとセロトニン生成に影響があると言われています。
(発酵食品については④)


更に、ストレスにより脅威を検知した脳は副腎皮質刺激ホルモン放出因子と呼ばれる、脳をストレス反応モードにおく作用を持つストレス分子の分泌を促します。それらがセロトニンに反応し、不安の高まりをもたらし、激しい腹痛を感じます。
抗がん剤治療などで激しい嘔吐に見舞わられるのは抗がん剤がセロトニンに反応するからなのです。
そのため内容物を下ではなく上に戻そうとしたり、腸は大量の水分や粘液を分泌し、腸壁を流れる血液の量は増大し、それによって腸は収縮の回数を増やし、内容物を排泄しようとします。
重要なイベントの前にストレスで胃が痛くなったり下痢などといった症状が生じるのはこのためです。


③受け継がれる腸内細菌

マウスを使った腸内細菌の実験で、貪欲で肥満したマウスの便を微生物ともに痩せたマウスに移植すると、痩せたマウスが餌を食べ過ぎるようになった。という実験があります。
よく「糞便移植(腸内フローラ移植)」というのを耳にしますが、それもこういった実験から来ています。
実際にそのような治療を受けようとすると100万円単位でかかってしまうので、普段から腸内細菌を意識することが必要です。

上記のように糞便移植という方法もありますが、①でも書いた通りに腸内細菌は、生後3年間が最も重要な期間と言われています。
しかし、生後3年間で腸内細菌を意識出来るわけはないので、ここでは親(母親)が子供の将来に大きく関わってきます。

では、母親として何を気をつけるべきなのか、なぜあえて親ではなく母親と書いたのかまとめようと思います。
その前に、僕がこうしてアレルギーや持病なく暮らせているのには健康な母親がいてくれたからなのだと思う感謝でしかありません。


1.新生児の腸が健康なスタートを切るには膣内微生物が必要。そのためにストレスを避け②で書いたような、副腎皮質刺激ホルモンの放出を抑え、体内に健康な細菌を留めることが必要です。

2. 脳と腸のつながりとその根底にある生物的なメカニズムをしっかり理解することが必要。
ホロコーストの生存者が産んだ子供が成人すると自分自身はトラウマを経験せずに育ったにもかかわらずうつ病や不安障害、心的外傷ストレス障害(PTSD)などの精神障害を発症させる高いリスクを抱えていたそうです。
母親の経験したストレス及び母親の行動から子供が受けた影響は何らかのメカニズムを介して子孫に受け渡されます。
そのためにも健康な食生活を保ち妊娠期間中にストレスは避け、簡単なストレス解消法を実践することが必要となります。

3.可能な限り帝王切開はしない。
帝王切開による分娩は整腸作用などに必要なビフィズス菌のような重要な微生物のコロニーを形成するのに時間がかかるといわれていおり、帝王切開が原因で腸と脳のコミニケーションが変化し、危険な微生物が腸内にはびこりやすくなります。
そのため年齢を重ねてから肥満しやすくなったり、病気にかかりやすくなったりしてしまうそうです。

4.母乳で育てる。
母乳は母親が食べたもので変化すると言われており、更には成長に必要な栄養素に加えて腸内の特定のグループを養う微生物が含まれることが分かっています。
母乳オリゴ糖というものが、結腸に到達し、成長作用に必要なビフィズス菌を養い、将来健康的な腸の形成につながるのです。

5.幼少期で愛情をたっぷり注ぐ。
幼少期~10代の頃に虐待を受けた経験がある人は成人後に健康不良、心臓発作、喘息、糖尿病に見舞われやすいと報告されています。
大切に育てられた子供はストレスにあまり動じないリラックスした大人となりアルコールやタバコなどに対する思考行動をあまり示さなかったといった報告もあります。
幼少期のストレスにで腸内環境が荒れることで、健康な腸内細菌が離れ、腸と脳の相関関係も健全に保たれなくなるのです。


④腸内に細菌を宿す

現在の食生活は、様々な加工食品や高脂肪食で溢れています。

カロリーを抑えながらを甘みを引き出す人工甘味料や、水分と油を混合させるためにつかう乳化剤。

アメリカにおける肥満率は1972年の13%から2012年の35%に次第に増大しており、1億5470万人の成人と2歳から19歳の子供の17%(6人に1人)の子供が太り気味か肥満と言われています。

糖尿病の44%
虚血性心疾患の23%
各種がんの7から41%
以上の原因は太り気味と肥満

1.人工甘味料
よくダイエットコーラやその類の食品に含まれる人工甘味料を摂取すると腸内環境が変化し、腸内で短鎖脂肪酸を増産することで、余分なカロリーを生産します。人工甘味料による甘みと糖分のギャップを埋め合わせるために、腸がより多くのカロリーを引き出そうとするために肥満へとつながるのです。

2.食品乳化剤
乳化剤は消化管の保護機能のある粘液層を破壊し、腸内細菌が侵され、迷走神経から腸内のセロトニンを介して脳へと影響も出てきます。
食品乳化剤は洗剤に似たような働きを持つために、腸内環境を破壊することにつながります。

3.高脂肪食
アメリカ人の食事のカロリーの35%は脂肪分と言われており、そういった食品が過食や食物依存を引き起こすと言われています。
普段から脂肪分の多い食品を食べていると慢性的に腸内に炎症が起こり、食欲をコントロールするシステムが機能不全に陥ると言われています。
そのような食事を続けていると、食欲のコントロールを阻害し、満腹中枢を刺激するセンサーが変化し、過剰な食欲へとつながるのです。
ここでもマウスを使った実験があり、貪欲で肥満したマウスの便を微生物ともに移植すると痩せたマウスが止まることのない食欲から餌を食べ過ぎるようになった。といった報告もあります。

では、そのような加工食品や高脂肪食で溢れる現代に何を食べればいいかというと、まずは腸内環境を整えるためにも、②でも書いた納豆やヨーグルトなどの発酵食品を摂取することが重要です。

僕は普段からヨーグルトに整腸作用のある蜂蜜ときな粉を混ぜて食べています。おかげでアレルギーもなく風邪とは無縁です。
なぜ発酵食品を食べた方がいいかというと、人間は大昔から発酵食品を食べてきたと言われています。
発酵食品を摂取することによって、腸内に細菌を増やし、腸内細菌の構成をもとに戻すことが可能なのです。そうすることで、正常な腸と迷走神経を通じて脳へのやりとりが可能となります。

世界各地に納豆やヨーグルト、チーズ、キムチ、ザワークラウトなどの発酵食品が存在するのはそのためです。
狩猟採集時代から本能的にそういった菌を求めた結果でしょう。狩猟採集時代から今も同じ生活を続ける民族がいるのですが、腸内環境が非常に整っており、ストレスのない生活をしています。

乳酸菌の豊富なヨーグルトを4週間食べ続けた女性の脳がストレスを喚起する刺激に以前より反応しなくなることを示した。といった報告や、慢性的にパニック発作を起こす患者に抗生物質の服用を中止し、ヨーグルトやキムチなどの発酵食品とプロバイオティクスのサプリメントを服用を促したところ、症状が落ち着いたという事例もあります。

では、そのような身体に害のある食品を極力避けて、腸内細菌を整える食事をするにはどうすればいいか。を次にまとめたいと思います。


⑤この食事がうつ病を防ぐ

鬱やアルツハイマーなどの脳疾患や肥満などを防ぐためにも高脂肪食は避けてなるべく加工食品に頼らないのがベストです。

では何を食べればいいのかというと、ズバリ地中海料理です。地中海料理ってなんだろう。と思うかもしれませんが、地中海料理とは「地中海沿岸で2000年の時を経て発展した料理」です。
一般的に地中海料理はオリーブオイルや野菜、豆類、果物を摂り、赤身の肉ではなく、海産物を食べる。と言ったような食事です。

地中海式食事法のような動物性脂肪の含有率が低い食事はただ単に痩せるだけではなく、ある種のがんやうつ病アルツハイマー病、パーキンソン病などの脳疾患を発症するリスクを低下させると言われています。

地中海式食事法を遵守した被験者はそうでない被験者に比べ多くの脳領域の体積が増大していることがわかった。という報告もあり、この差を説明する主な要因は肉類の消費量の少なさと魚類の消費量の多さである。と言われています。

加えて地中海料理にはワインがよく合い、ポリフェノールを摂取するのにも非常によい食事環境なのです。
料理にもオリーブオイルを使うのでこちらからもポリフェノールが摂取でき、アンチエイジングに期待できます。

沢山の野菜と魚。そしてオリーブオイルが健康的な生活を送る上で重要なのです。


⑥まとめ

まず、今からできる腸と脳を整える方法として、④でも述べた通りに腸内細菌を整える食事が重要となります。

しかし、残念なことに腸内環境を今すぐに整えたところでは、腸内環境が全くの別物になることはないと言われています。
なぜなら、③で書いたとおり生後3年間が非常に重要だからです。
産まれる前の胎児の時から生後3年間の腸内細菌との関わり。
そして健康な母体があり、正常な腸内細菌を宿していることが重要です。
そして、産まれてから10代、そして成人となるまで、大事に育てることがその後の健康に大きく関わります。

これは母親だけの問題ではなく、父親もシビアに考えるべき問題だと思います。
妻を支えられるのは、夫だけです。

そのためにもまずは家庭内環境を整えることが重要なのではないかと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

▼こちらも読んでみてください▼


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?