高下

Twitter @anrhrhr

高下

Twitter @anrhrhr

最近の記事

最近

虫が湧く。暑くなってきたから、虫が湧き始めた。これからもっと湧く。何故なら、私は生ゴミを放置し、食器を放置するため、どこからともなく虫がワイワイと湧いてくるのだ。虫殺し機を去年買ったからまた設置すればいいのだが、虫殺し機にはまだ去年殺した虫の死骸が大量にこびりついている。専用のブラシで書き出して掃除しろと書いてあったが、そんなことができるやつは、そもそもこんな機械買わないんじゃないか? と思うと同時に、え、あれからもう一年経つの?早すぎなンだ㌔💦💦笑笑 死なして という気持ち

    • 初夏

      初夏の夜、湿っぽい熱気と共に、陰鬱とした塊がひっそりと忍び寄ってきて、胸の中にボトボトと落っこちてきた。胸の下の方に落ちた陰鬱は、底で固まって俺を不安なような、気怠いような、鬱屈としたような、とにかく嫌な気持ちにさせた。 そのじめじめした熱は、過去の嫌な記憶と、現在俺が抱える孤独と、未来に待ち受ける不安とを、一気に連れてくる。まだ個々に菓子折りでも持ってやって来てくれれば対処のしようがあるのに、揃ってやって来られて玄関の戸をこじ開けられちゃあ俺にはなす術もない。 俺はしばらく

      • 余興

        「俺、もうお前と音楽やんの辞めるわ」 「え」 「というか、音楽を辞めるわ」 「は?」 平日の昼間、ぽかぽか陽気の元、アコースティックギターを手に河川敷に集合した俺たちだが、さぁ新曲のお披露目だと俺がネックを握った瞬間に梶川が衝撃の発表をした。 「な、まっ、は? 冗談?」 「本気」 「なんで!」 「いや、売れないだろ、どう考えても」 俺は新曲のコードと歌詞をメモした紙に目を落とした。殺すだ、死なせてくれだ、この国の政治がどうだ、腹が減っただ、死なせてくれだ……。その白い紙にはひ

        • 欠陥人間達

          「ごめん、彼女から連絡来ちゃって、悪いけど帰るわ」 カウンターで隣り合って座っていた友人・松山が、ラーメンを啜りつつ、携帯に文字を打ち込みながら言った。器用な奴だな、行儀が悪いとも言う。俺は忙しなく動く松山の親指を眺めたあと、ラーメン屋の時計に視線を移した。松山と会ってからまだ二時間ほどしか経っていない。今日は夜まで遊ぶ約束をしていたのではなかったか? 俺は咀嚼した麺を飲み込んでから口を開く。 「えーなんで。彼女も呼べばいいじゃん」 「いや、なんかスッピンで来るの無理らしいか

          与奪

          ※嫌な終わり方をする 「俺が何のために生きてるか、わかるか」 日付が変わるか変わらないかぐらいの、曖昧な時間帯の居酒屋で、達巳が突然言ったので、俺は口の中にあったキュウリを咀嚼し、飲み込み、日本酒を一口飲んだあとに、「は?」と言った。 「達巳が生きてる理由?」 「ウン」 赤い顔をした達巳は珍しく真剣な顔をして頷いた。俺は三秒くらい考えてから答える。 「俺のことが好きだから」 キャハハと達巳が笑った。スーツ姿の成人男性が子供のような笑い声をあげるのは一種異様でもあったが、この

          昨日見た悪夢

          昨日見た悪夢を共有します とても怖かったからです フォロワー?なのか知り合いなのかわからん異常によく喋る女と会い、人が死にまくっててヤバい噂の絶えない廃墟に行くことに。「チェ??」(覚えてない)という古い儀式をやると言い出す女。なんかヤバい匂いがしたけど何故かノリノリになってしまう俺。女についていくと、儀式と称して両足の膝から下を切断される(痛い)。痛いけど何故かそうするべき!と思い込んでなすがままにされる。膝から下がなくなる。 すぐに義足的なものをつけられて、解放。意識朦

          昨日見た悪夢

          万力と蝉

          頭からギリギリと不愉快な音が鳴っているのを、俺は確かに聞いた。もしかするとそれは、外でセックスの相手を募っている蝉の張り切った鳴き声だったのかも知れないし、俺の渾身の歯軋りの音だったのかもしれない。だけど俺には、その音が、耳の穴の斜め上、こめかみあたりから発されたように思えてならなかった。 小学生の頃、理科室の机についていた、アレ。あの長いネジみたいなやつをクルクル回すと、万力の要領で小さい鉄板みたいな部位が狭くなっていく、用途不明なアレ(用途はあったんだろうし、説明もされた

          万力と蝉

          簒奪

          ※暴力、血 縁の低い、ステンレス製の銀色の灰皿にぎゅうぎゅうに押し込まれていた煙草の吸い殻を、高屋は白い手が灰で汚れるのも気にせずに、素手でひっ掴んだ。ほとんどの吸い口に薄赤い口紅の跡を残した煙草の集合体は、彼の手によって、鍋の中へと真っ逆さまに落とされた。コソン、コソンと、軽薄な音を立てて、吸い殻のひとつひとつが、鍋の底へと素直に落下した。 浅野は、その光景を呆然と見つめていた。苦く煙たい煙草の死臭が鼻をついたが、それを不愉快だと思うほどの余裕や自由が、彼には与えられて

          キッズの頃に作った絵本出てきた

          から、見て ええ話やんけ

          キッズの頃に作った絵本出てきた

          はらわた

          ※犬猫が殺される描写があります 「内臓触りてえなって」 「は? なんて?」 「内臓」 「が?」 「触りたい」  部屋のど真ん中でデカい図体を横たえてグラビア誌を眺めていたフミヤがそう言い放ったのは、あまりにも唐突だった。週刊誌の熱いバトルシーンから現実に引き戻された俺は、彼の視線の先に目をやる。フミヤが広げていたのは、紐パン紐ビキニを身につけた巨乳の女が猫を抱いているページだった。 「お前、巨乳と猫を見ながら何考えてんだよ。謝れ、巨乳と猫に」 「いや、この前な。学校からの帰

          はらわた

          小説全部まとめ

          色んなサイトに色んな小説を散らかしているため、まとめました。 【地獄行き】▼地獄行き 中編 多分一番読まれた カス親から逃げてる高校生と貧困中卒の話 ▼錠剤に花束を  短編 高校生のうだうだした百合未満 【永遠にさようなら。】中編 二次で書いたやつの一次リメイク 死んだ義兄と一緒に暮らすことになった義弟が義兄の死体を埋めたりする話 ネットではサンプルしか公開してなかったけど全文公開した 【バケツ】長編 リスカした血をバケツに溜めて近所の公園の花壇に撒いているため近

          小説全部まとめ

          ペットボトルめっちゃたまる

          ずっと部屋にいる。部屋の中で一日が、というか一週間が完結する。部屋の中に、ペットボトルを大量に持ち込む。2リットルの水。水を飲むのは全然好きじゃない。水を飲むのは全然好きじゃないと言うのは、水という飲み物が全然好きではないという意味と、水分補給が好きじゃないという意味がある。味のないものが嫌いだ。味がないからだ。味がないものを口に入れる意味がわからない。味がないのに、物理的には存在するし、感触も温度もあるから気色が悪い。ストレスだ。本当は一生コーラとかヤクルトとかカルピスとか

          ペットボトルめっちゃたまる

          だだ

          目の前、大きな窓枠の向こうを、無彩色の家々がゆっくりと流れていく。空は、上の方は暗い青色なのに、下の方はまだ燃えるようなオレンジ色を残していた。いや、事実、燃えているのかもしれなかった。ここら一帯が、火事でも起こして、無数の民家がごうごうと燃えているのかもしれなかった。そう考えると僕は、随分と楽しいような気がしてきたが、同時に、もの凄く不安な気もしてきた。 耳の穴の奥で、町田康が何やらごちゃごちゃと言っていて、僕は全くその通りだと思うのに、目の前の女子高生たち(女子中学生かも

          犬喰い

          自分が最悪で最低な時は、好きな人たちに会いたくない。好きな人たちのことを好きなままでいられなくなってしまいそうになるし、そうなったら、世界で一番嫌いな、男のくせに万年生理のヒステリー女みたいな性格をしている上司のことよりも嫌いな自分自身のことを、今よりももっと嫌いになってしまうだろうからだ。だから、私は、自分が最悪で最低なまるで腐った洋梨みたいに成り下がった時は、耳の穴にセメントでも詰め込んだつもりになって無線イヤホンを詰め込み、目を潰したつもりになって薄いタオルで目を覆って

          犬喰い

          先天性気違い

           人間の中には、人間の皮を被った化け物が存在する。例えば、ピエロに扮して子供達に近づき三十三人もの少年らを殺害したジョン・ウェイン・ゲーシー。十七人もの青年を殺害し、死姦に死体解体、それらを食っちまったジェフリー・ライオネル・ダーマー。全くの他人であった一家を洗脳し、殺し合せた松永太。複数の家庭を乗っ取り、疑似家族を築いて彼らを支配下に置き十名以上の死者・行方不明者を出した角田美代子。他にも、そういう、人の命や痛みを何とも思わない、頭のネジが飛んだ奴らがこの世界にはウジャウジ

          先天性気違い

          うつつ

          「何お前、葬式にでも行ってきたの」  真っ黒いスーツに身を包んだ友人と玄関先で対面した吉野は、開口一番にそう言った。 「ちげえよ、早く入れろ」 「どうぞ」  ネクタイこそ締めていないものの、喪服のような黒スーツに身を包んだ坂本は不機嫌そうに玄関で革靴を脱ぎ、ずかずかと吉野の家にあがり込む。 「暑くねえの、そんなカッコして」  吉野が戸の鍵をかけながら言うと、「暑いわけねえだろ」という苛立たしげな声が返ってくる。わけねえだろ、と言われても。と吉野は思った。こんな夏真っ盛りに、ジ

          うつつ