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もう一度起業しても絶対こだわる10のこと

こんにちは。株式会社Another works代表の大林です。複業したい個人と企業・自治体を繋ぐ総合型複業マッチングプラットフォーム「複業クラウド」を運営しております!

2019年5月7日、令和の最初の営業日に株式会社Another worksを創業、経営者としては5年目に突入しました。

創業当時を思い返し、もう一度起業しても絶対こだわることを10個に厳選しました。これから起業を目指す方、創業期の経営者の皆さんへご参考になれば幸いです。

CTOと共同創業

前提として、共同創業に限らず創業メンバーを集める上で、どういう事業を、どういう市場を創っていきたいのか、が最も重要になってきます。

私は、複業というHR領域のど真ん中で勝負し、思想としてはIT・インターネットを活用して社会インフラを作っていくという構想がありました。

その中で、私自身の創業者・経営者としてのスキルセットを言語化し、マッピングすると、(経営力は未知数のため分からないとしても)前職・前々職含めた経験から営業力、マーケティング力、HR市場への明るさという点では権威性を持つことができると自負していました。

一方、全く足りない部分がプロダクトの開発力、デザイン性です。ITの力で複業ドメインに挑んでいく以上、どちらも欠かせないスキルでしたが、私は持ち合わせていませんでした。また、プロダクトを作れる人材はもちろん、開発組織を束ねることができる人材が欠かせません。そこで、自分の足りない点を埋めるべく、共同創業という形でまずはCTOを探しました。

この「自分に足りないスキルセットを埋める」という探し方は、私の前職であるビズリーチ(現・ビジョナル)の代表 南壮一郎さんが書かれた「ともに戦える「仲間」のつくり方」という本から教えを受けています。

経営者の足りないスキルを埋めていくという探し方は、全ての事業ドメインに当てはまるわけではありません。どの事業で、どの市場で勝負するのか、株式上場を目指すか否か、経営者のスキルセットを言語化することが大切です。

デザイナーを経営陣に

次に、創業メンバーとしてデザイナーに仲間になっていただきました。

私は、デザイナーのトップであるCDOは、デザイン一つで会社の企業価値を1円でも挙げることができる存在だと考えています。会社のロゴ、シンボル、思想、Mission・Vision・Value、大義など、世に打ち出すもの全てに責任を持ち、会社を創り上げていく存在は、創業メンバーに欠かせません。

我々が掲げる「複業」は新しい市場・ビジネス領域です。未だ大衆認知がないこの思想をどのように描き、言葉や形にし、世に伝えていくのか、印象をデザインする力が必要です。そこで、経営者の思想、 会社として目指す先、ビジョン、ミッションを全て理解して汲み取った上で、ロジカルさも入れて論理的にデザインすることができる人間が必要でした。

また、創業メンバーを選ぶ上では「お互いの得意領域が重複しないこと」だけではなく、お互いリスペクトし合えるか、が重要です。ただスキルがある人は、創業メンバーという観点では不適格です。

お互いリスペクトしながら、忖度なく議論し、目指したい姿に向かい続けることができるか、これが重要です。今でも経営メンバーとは、仕事・プライベート関わらず、常に話が尽きません。

「複業」という市場選択

起業に必要なのは、事業に対する圧倒的な自信です。私は「複業」領域へのこだわりと市場の将来性を確信していました。

どの事業ドメインで勝負するのか、私はこの決め方を「起業の三原則」として3箇条に整理しています。(詳細は↓をご確認ください)

中でも重要なのが市場性です。市場性とは、事業に対してその市場はどれくらい将来的に伸びるのか、市場、TAMの拡張性を示します。今展開しているメインクライアントはどれくらいの市場か、市場の20%はどれくらいか、全クライアントを獲得したとき、いくらの売上になるのか、その市場が広がる余地があるのか。会社を成長企業へと導き、長く続くビジネスを成立させるために欠かせません。

例えば、市場の拡張性のない、市場規模が小さい領域でのシェアを狙いにいったとします。教科書的には、ニッチな領域から攻めよう、と言われることも多いですが、ニッチで限定的な領域で攻めすぎてしまうと市場限界が訪れます。市場の拡張性がないため、市場シェアの限界が見えた段階で、事業拡大を停止するか、新たなドメインを開拓し、また0からサービス展開を進めるか、の2択に迫られるのです。

そのため、狙いたい市場の限界性、拡張性、飛躍的な成長が期待されているトレンドマーケットか、政府などの国の後押しがあるか、などをしっかりと分析することが重要です。

ビジネスモデルの選び方、作り方も同様です。我々は、成約手数料無料、月額定額で何名でも採用できる複業マッチングプラットフォームを運営しています。AIの台頭、DX化、新型コロナウイルスの影響で急速に拡大したデジタル化でしたが、私が起業を本格的に志した2017-2018年当時からこの時代の到来は予測できるものでした。

手前味噌ですが、メインの顧客層に即したビジネスモデルの設計が重要です。我々の展開する複業クラウドは、複業したい個人と複業人材を採用したい企業や自治体、双方が顧客であるBtoBtoC事業です。オンライン化によりフィジカル的な移動が不要になるため、いつでもどこでも使えるウェブ上のプラットフォームが最適です。

草ベンチャーで仲間集め

創業初期は、草ベンチャーで仲間集めをしました。創業初期は、資金もなければ、サービスもありません。その段階で正社員採用をするのは難しいため、創業初期にプロボノで手伝ってくれる精鋭隊を募集しました。

まだ世に生まれていないサービスを0から一緒に考え、リリースしていくという、卵が孵化する瞬間を共にしたいと、熱い想いを持った方15名くらいが集まり、チームで日々リリース準備をしていました。

彼らが「草ベンチャー」に参加する目的は、お金稼ぎではありません。複業の考え方とも共通しますが、スキル報酬・キャリア報酬・感情報酬を求めて参加します。「複業」という働き方に並々ならぬ想いがあるものの本業にも愛着があるためサービスリリースまで関わりたい、0からビジネスを立ち上げる経験を積むことで現職の新規事業部で活躍できるスキルを身につけたいなど、5年後10年後成長した会社の創業期に関わったという実績自体がトラックレコードになるケースも多々あります。実際、弊社の創業期に関わったメンバーが、その実績を基に転職に成功した事例もあります。お互いwin-winな関係性です。

一方、「草ベンチャー」を集める際の注意点もあります。それは明確に期日を切ることです。大体のケースでは、ベータ版リリースまで関わっていただくケースが多いです。もちろん、草ベンチャーで関わって、本人と会社の意向が合えば正社員として採用することも十分に可能性がありますが、いつまでも草ベンチャーに頼り切ってはいけません。期日を設け、お互いにメリットがある形で関わるようにしていきましょう。

新卒を1期目から採用

弊社では、創業1期目から現在に至るまで、毎年新卒メンバーを採用しています。前提として、優秀な人材に年齢は全く関係ないと思っています。新卒メンバーは、将来の幹部候補として採用し、新規事業部はもちろん各部署に配属されています。

採用は常に未来の組織図を描きながらすべきものだと考えています。正社員1人目の採用時には50-60名の組織図を解像度高く描き、優先順位やリスクを見極めながら最適な場所に最適な人材を採用していきます。

組織図50名の組織を想像したとき、私は組織崩壊の危険性を感じました。人数が増え、役職が生まれ、各部門ごとに統制されていく、部門ごとの縦割りが見え始める時期です。会社の作り方として、指揮命令系統の統一、そして会社を前に進めるための意思決定のスピード感を鑑みると最適だと考えていますが、逆に言えば縦の色が強くなりすぎる危険をはらんでいます。1枚岩でチームとしてやっていた段階から組織への移行は部門をまたいだ横の連携の希薄化を生みます。横の連携を生むために様々な社内行事や取り組みをし、それは前提重要ですが、それだけでは一過性です。

そこで、新卒採用です。新卒は非常に同期の絆が生まれやすく、連携がとりやすい特徴があります。皆さんも新卒で入社した会社の同期会を思い返すと共感いただけるのではないでしょうか?

現在社員数50名、新卒1期目から10名ほど新卒を採用している現在は、新卒メンバーが各部署に配置されている状態です。新卒同士が繋がっていることで、部署間連携が必要な際にスムーズになり、横の連携が促進されていきます。新卒同士の絆、これは会社にとって欠かせないピースです。

人事を社員番号5番以内に

私は、経営は仲間集めであると考えています。仲間がいなければ事業成長、企業成長、引いては、市場成長は成し得ません。心からビジョンに共感し、複業の社会実装を成し遂げたいという覚悟を決めた、革命仲間が必要です。

そこで、早い段階で専任の採用担当を置くことをおすすめします。採用担当を早期採用すべき理由は2つです。

まず、採用担当の育成には能力やスキルに関わらず時間がかかるためです。採用担当は、経営者の感覚的なものも含めた脳内をインプットし、経営者が創りたい世界観から逆算して最適な人材を一次面談で見抜く必要があります。

この背景から、採用担当に完全に業務を任せる(=社長と採用担当の目線や感覚が合う)ためには、最低でも6カ月かかってくるのです。会社の目指す姿やMVVを組織の代表として、経営者を憑依させながら自分の言葉で語り、会社として狙っているマーケットについて、競争優位性や中期〜長期的な視座で語れる採用担当を育てましょう。

逆に言えば、ベンチャーの1人目採用担当に人事経験というスキルは関係ないと考えています。スキルよりも想い、とにかくビジョンマッチが重要です。会社の顔として一番最初に候補者と対面する採用担当。ビジョン・ミッション・バリューに心の底から共感し、会社の誰より体現していることが重要です。

次に、経営業務への注力です。採用業務は膨大です。ツールの選定、セットアップ、求人作成、エントリー対応、メッセージ、日程調整、面接、フォローなど計り知れません。これらの採用業務を全て社長が行うと、膨大すぎる経営者の時間を投資しなければ最適な人材と出会うことが難しくなってきます。

これらは、本来注力すべき経営業務に割ける時間と脳内キャパシティーの減少に直結し、事業成長に影響を及ぼしかねません。そのため、社長の分身のように採用担当が早期から必要です。

こちらの記事では、採用担当と決めていた採用の掟を解説しています。

経理を社員番号10番以内に

また、経理の専属担当を、社員番号10番以内に採用しました。創業初期の経理は社長が兼任するケースが多くありますが、私は早くから専任をつけるべきだと考えます。

担当をつけるべき理由は2つです。

まず、経理作業にかなりのリソースが割かれる点です。経営者にとって専門領域ではない経理作業。税理士と共に月末の締作業や請求管理、支払管理をしていくことになりますが、慣れない言葉や作業に、時間的工数はもちろん、会社を離れられないなどの場所的拘束も生まれます。

次に、脳内シェアが割かれる点です。経理作業のリソースは、月末に集中してきます。一方、月末は、トップラインを伸ばすグロースチームにとってもクロージング追い込みのタイミング。経営者として先頭に立って攻め、リードしていかなればならないタイミングで、守りの経理作業が多くの時間を占めると脳内カオスが発生します。会社経営にとって心臓部ともいえる金銭周りは、人に任せられないという経営者が多いと思いますが、ミスなく正確に守り切らなくてはならない部分だからこそ任せるという英断が必要です。

経理に最適な人材は、他の職種と変わりはありません。ベンチャーという大手とは全く異なる整っていない環境で、なぜ経理を極めたいのか。経理という職業へのこだわりやこれからのキャリアプランと自社のビジョンがマッチする人材を採用すれば問題ありません。一番重要なのは、信頼できるか。専門的知識はあるに越したことはありませんが、任せられるか、任せきれるかが、重要です。

とにかくユーザーに会い続ける

サービスの基盤を作る上で最も大切にしていたのは、「ユーザーに会うこと」です。これは、サービスリリースから約4年たった今でも変わらず大切にしています。

どのようなサービスがいまなくて困っているのか、どんな機能が必要なのか、数々浮かぶ疑問の答えはユーザーしか持っていません。サービスリリース前後は、とにかくイベントに参加し、ユーザーの生の声を聞き、サービスを設計していきました。

ヒアリングするユーザーは10名、20名では全く足りません。将来的に10万名・100万名、それ以上のサービスを目指すのであれば、時間の許す限り人に会うべきです。Another worksでは、サービスリリース前1,000名に会い、複業クラウドの初期ユーザーとなっていただきました。

ユーザーに聞かずに妄想で意思決定してはなりません。それはいずれ使われない自己満足なサービスになっていきます。とにかくユーザーに会い続けることが、社会のインフラとなるサービスを作る上で欠かせません。

メンターをつける

私は、創業前から社外の方にメンターについていただいていました。組織の代表、経営者として成長するためには、社内にはない知見を得に自ら学び続けることが必要です。創業当初は、経営者としてのマインド面を相談できる方、経営の実務を相談する先輩経営者、事業計画を壁打ちしていただく方、の3名にメンターについていただきました。

起業をする上でのノウハウはどこにも出ていません。起業に必要な準備や事業計画の立案、資金調達における落とし穴、などのリアルを実際に経験した方から教えていただき、防げる失敗を未然に防いでいきました。

個人的には、自社のフェーズから2,3歩進んだ会社の経営者にメンターについていただくことをおすすめしています。私も実際、わからないところをとにかく質問し、疑問を1つ1つ潰していきました。

経営メンバーと定期的にご飯にいく

最後に、経営メンバーとは定期的にご飯に行っています。義務感があるわけではないため、ここに書くのか迷いましたが、私にとって重要な時間だと考えているので載せました。

経営メンバーとは、日々議論し合い、時にはぶつかり合いながら事業を前に進めていきます。時には息抜きが必要です。忖度なく話し合い、議論し合える関係の裏には、時にはプライベートなことも話すような心の底からの信頼関係があります。

ここまで、もう一度起業しても絶対こだわることを10個に厳選してご紹介してきました。創業時からのこだわりはまだまだあります!また次の機会にご紹介していきますので、今後も是非チェックお願いします!


大林 尚朝 / NAOTOMO OBAYASHI
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