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「好きなこと探し」の脅迫に苦しんでいる方へ

やりたいことが多くて始めたはずの複業。

こんにちは、25歳から複業を始めて今年で8年目の坪井安奈です。
主に、編集者/タレント/企業広報の3つをしています。

最近、「副業」や「複業」がかなり馴染みのある言葉になってきました。
副業を解禁する企業も増え、実際に「副業OK」を転職時の条件の1つとして挙げている方も少なくないと聞きます。

副業/複業をしたい理由って、人によってさまざまですよね。
「やりたいことが複数ある」「収入をもっと増やしたい」「スキルアップしたい」などなど。

私の場合は、そのなかでも「やりたいことが複数ある」というのが複業を始めたきっかけでした。

パラレルキャリアをしようと思い立ったのが2013年11月。
当時、「やりたいことを1つに絞りたくない」「なんで職業は1つじゃないとダメなんだろう」という気持ちが強かったのを覚えています。

そうして勤めていた出版社を辞め、「編集者&タレント」として翌年2014年から晴れて複業をスタート。

やりたいことを我慢しない人生を歩み始めた!

…はずでした。

「好きなこと探し」の脅迫から逃れるために。

複業を始めてからまだ1年も経たない2014年の秋、私はある言葉に心を揺り動かされることになります。

「好きなことで、生きていく」というYouTubeのキャッチコピーです。

あのキャッチコピーを見た時、私は複業をしていて、やりたいことをすべてやっている状態だったはず。

なのに、胸の奥がやけにざわついたんです。

好きなことをやっているはずなのに、
なぜこの言葉にこんなに不安になるのだろう?
結局、私が一番好きなことは何?
…一番?そもそも1つに絞りたくなくて
今の生き方を選んだんじゃないの?

こんな感じの堂々巡り。

「好きなこと探し」の脅迫が私に襲いかかり、そこから結構長いあいだ悩みました。数年くらいは答えがわからないまま、自分が選んだ道を信じてただがむしゃらに、時には考えないようにして生きていた気がします。


でも、ようやく分かりました。

そもそも「好きなこと“で”生きていく」のではなく、
「好きなこと”へ向かって”生きていく」のではないかと思うんです。

たった5文字ですが、
こう考えることで私の心はとても軽くなりました。

「好きなこと“で”生きていく」と「what」を問われていたのが、
「好きなこと”へ向かって”生きていく」になることで、考えるべきが「how」に変わったんです。

複業はゴールではなく、ツール。

つまり、複業8年目にして今思うのは、

結局、私が複業をしている理由は
「やりたいことが複数あるからではなかった」ということです。

複業としてやっている「編集」も「タレント」も、そして後に増えた「企業広報」も、もちろんそれぞれ楽しいしスキではありますが、
それ自体をやることがゴールなのではなく、1つひとつはツールでしかなかったんです

3つの仕事は一見関連がなさそうに思えますが、実は先にあるものは同じ。

「伝える。そして、伝わる」

それが私が“向かって”いた「好きなこと」だと気づきました。

世の中で埋もれていたり、まだ知られていない魅力を伝えるために、
編集者として文章で伝えるのか、タレントとして声や表情で伝えるのか、企業の広報として伝えるのか。

「どんなふうに自分を変えて伝えるのがより効果的か」、場面に応じてツールを使い分けているだけの違いだったんです。

複業というのはまさにそういうもの。

そして、私にとっての仕事の楽しさというのは、ツール自体が楽しいことではなく、ツールを活用することで得られる「結果」や世の中の「反応」で楽しいと感じられるのだと気づきました。

やっと繋がりました。

良く言えば好奇心旺盛、悪く言えば飽き性な、やりたいことが多いように見える私が、なぜこんなにも「好きなこと“で”生きる」という言葉を重く感じ、実行することが難しかったのか。

私は、好きなこと“へ向かって”生きていきたい人だったようです。

今、もし自分の「好きなこと」が分からなくて苦しんでいる人がいるとしたら、もしかすると答えはこれかもしれません。

だとしたら、目の前のツールを重く捉えすぎる必要はありません。
ちょっと興味が沸いたらやってみて、興味が薄れたらやめればいい。所詮ツールですから。ツールはいくつも持っていてもいいし、1つを集中的に使う時期だってあるかもしれません。


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ああ、
ようやく私も「好きなこと探し」の脅迫から解放されました。


坪井安奈


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