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組織なし・予算なし・知識なしから始めた、戦略的な健康経営とは?【横浜人事カレッジ#1 奥野 洋子さん】

こんにちは。ダイバーシティ&インクルージョン推進を組織と人の側面から支援するAn-Nahal(アンナハル)です。

2023年6月29日に、An-Nahalがモデレータを務める横浜人事カレッジの第1回を開催しました。

横浜人事カレッジの記念すべき第1回として、「組織なし・予算なし・知識なしから始めた、戦略的な健康経営」をテーマに、都築電気株式会社 総務人事統括部 人事戦略室 課長 奥野 洋子さんをお招きし、大企業でゼロから健康経営を推進したきっかけや、事例紹介、理論や実践のストーリーをお話いただきました。

健康経営を自社で取り組んでいる、人事の悩みを相談し合える横の繋がりを作りたい、新規事業開発の立場から人事の仕事を理解したいなど、さまざまな思いを持つ方に参加いただいた当日の様子をご紹介します!


横浜人事カレッジとは?

イノベーション推進が加速する企業において、「人事」としての役割・視点・知識をゲストや企業の垣根を超えた参加者との越境体験のなかで共に学びあうコミュニティです。毎回異なるテーマに関連するゲストの経験やリアルな事例を学べるイベント、様々な企業の人事担当者との交流や情報交換ができるオンラインコミュニティに参加できます。

ゲストスピーカー:都築電気株式会社 総務人事統括部 人事戦略室 課長 奥野 洋子さん

2012年早稲田大学大学院法学研究科修了後、都築電気株式会社入社。営業、新規事業企画、経営企画を経て、現職(2023年より担当課長)。
2016年より健康経営推進に係る活動を開始し、2017年より健康経営優良法人ホワイト500認定の6年連続達成に貢献する。働き方改革等と連動した活動により、一人当たり総実労働時間約160時間削減などを達成。2019年~経済産業省 次世代ヘルスケア産業協議会 健康投資ワーキンググループ 健康投資の見える化検討委員会 委員
※イベント当時プロフィール

“戦略的”な健康経営とは?

ツヅキグループでは、経営理念の実現に向けてサステナビリティ3つの重要課題の1つ「心身共に健康で、愛される人材・チームの開発」に健康経営を位置付けていらっしゃいます。

ツヅキグループにおける健康経営の役割は、習慣・からだ・こころ・意識・無意識へのアプローチを通じ、人的資本の基礎である健康を支えることにあります。

身体や心の状態が健やかであることは、その上位にある「創意工夫・挑戦」や「自己実現」などに安定的・継続的に向き合う基礎となります。一人ひとりの挑戦や自己実現は、活力ある組織風土を醸成し、新しい制度やより良い環境整備につながります。

都築電気 健康経営の役割より

健康経営を推進するためには経営戦略としての「攻」と、安全衛生としての「守」の両方の取り組みを戦略的に進めることが必要です。そこで奥野さんがどのようにして戦略的に「巻き込み型」働き方改革に取り組んできたのかリアルなストーリーをお話いただきました。

企画書を作成しワイガヤを役員に提案!

奥野さんがまず考えたのは「具体的に何をすれば動いていくのか?」ということ。

“忙しくて心の余裕がない人に、「健康」を訴求しても響かない”、そのためまずは「働き方」の課題発掘からスタートすることが必要だと考えました。

自身でまとめた課題と解決策を役員に提案し、従業員の声を起点とする課題整理のための「ワイガヤ」の開催とワーキンググループが発足しました。

ワイガヤとは本田技研工業株式会社が提唱した言葉で、立場の相違にかかわらず同じ組織に属する者たちが気軽に「ワイワイガヤガヤ」と話し合うことです。

ワイガヤで集まった従業員の声をもとに課題をマップ化し施策を一覧化し、ボトムアップの草の根活動として継続的に取り組みました。

取り組みの中で奥野さんが参考にしたフレームワークがマッキンゼーの7S。経営を考える際、重要な7つの要素を示したものです。風土(ソフト)、戦略(ハード)どちらかだけに偏らずに「全てはつながっていることを意識した活動を形成すること」を常に意識していたそうです。

そのため、ボトムアップだけではなくトップダウンの組織が必要であることを社長・専務(当時)に直訴した結果、社長就任挨拶で「「働き方改革」と「健康増進施策」の両輪で推進します」とのメッセージが!

社長が室長として健康経営統括室の設立に至りました。トップダウンと現場が融合する仕組みが実現したのです🎉

個人のチカラが起点で会社は変わる

ご自身の想いや信念、ありたい姿に向けてパワフルな行動力を持って取り組み続けている奥野さんですが、そこには情熱だけではなく、組織を変えるためのロジカルな戦略も大きなポイントであることが分かりました。

ロジカルな戦略を考える上で”キャズム”を乗り越える目標設定が肝要だと奥野さんは考えています。

キャズム理論とはマーケティングにおいて新たな製品が世に出た際に、その製品が市場に普及するために超える必要のある溝について説いた理論のことです。
組織変革で考えると、新しい取り組みや変化に対して適応しやすい人とそうではない人との間の溝が“キャズム”にあたります。“キャズム”を乗り越えるためには①適切な目標設定、②経営と現場それぞれのコミュニケーションの工夫が必要と考え、個人のチカラから「巻き込み型」で改革を進めました。

参加者からの感想の中で一番多かったキーワードが「情熱」。参加者の皆さんも奥野さんの情熱からパワーをもらい、ディスカッションも時間が足りなくなるほど非常に盛り上がりました。

奥野さんの健康経営の取り組みから、An-Nahalが取り組むダイバーシティ&インクルージョン推進においても学べることがたくさんありました。
ワーキンググループのように、D&Iにおいても組織の中で同じ特質や価値観を持つ従業員が主体となって運営する従業員リソースグループで課題整理や施策提案を行うことがあります。またD&Iを進めるためにも、トップのコミットメントと現場の当事者意識の醸成の両輪で取り組むことが大切です。

人事の仕事は一言で表せないほど多岐に渡りますが、戦略的に多様な人を巻き込みながら取り組むことはどの施策においても大事な考え方であると学びました。

奥野さんのnoteでは、さらに詳しい取り組みや当時の心境がまとめられています。ぜひこちらもご覧ください!

参加者の声

参加者の声を一部ご紹介します📝

  • 情熱がすごく、元気をもらいました。人事のイメージが変わりました。参加してよかったです。

  • とても勉強になりました。同じ人事・健康経営に関する悩みを感じている横のつながりができるのも嬉しかったです。

  • 会社で何かを始めるときのヒントを得られ、考え方についてもとても勉強になりました。ゲストの方との距離も近く、話す場も機会もたくさんありあっという間でした。

まとめ

いかがでしたか?
従業員の声を元に課題をマップ化させたことや、トップダウンでの発信が必要と経営層に直訴する情熱が伝わったら嬉しいです!

次回の横浜人事カレッジは、1月頃に実施します。


An-Nahalでは今後もダイバーシティ推進に役立つ情報を発信していきます📣

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