てるてる坊主のラブレター
本文
私は僧侶だ。
占いを得意とする僧侶だ。
だからこそ、恋愛感情なんて抱いてはいけない。
邪念は占いに悪影響。それ故。
それにもかかわらず。
偶々街を回っていた時に、恋愛感情を抱いてしまった。
恋愛をしないと信じて疑わなかった私が。
他人にときめくことがなかった私が。
恋愛をしたら斬首刑にされる私が。
今まで通り、占いを行い、占いを通した悩み相談を行う。
1つ変わったのは、人目を忍んで恋文を描くようになったこと。
大切な相手に向けて、近況報告もかねて。
例の村に関して、気掛かりなことがある。
そう伝えれば手紙は許可された。
手紙が検閲されることはないが、念のため、恋文のニュアンスは副文とした。
それでも、公になるときは来てしまった。
相手は私の恋愛感情を見抜き、通報した。
私は捕らえられ、斬首刑が言い渡された。
首は落とされ、清められた後、布でくるまれ、窓辺に吊るされた。
相手のもとには変わらず恋文が届いているという。
私の心がそうしているのだろう。
肉体が滅んでも、精神はこの世にあるのだから。
参加企画
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