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5月に読んだ本

多忙とは心を失くすことだと多くの人が言っている。多忙のまっただ中にいるわたしは改めてその言説について考えてみたが、忙しければ忙しいほど、わたしの心はなくなるどころか、際立っていくようにしか感じられない。頭と心の主従関係はいまだ判然としないが、現時点でいえば気持ちばかりが大きくなり、頭の部分はかなり縮んでいる。そんなことを考えながら、6月も半分が過ぎた。

ここじゃない世界に行きたかった

人の感性に文句は言うまい。自分が素敵だと思えることが素敵だし、こうしたいと考える理想は可能な限り追うべきだ。誰かに訴えても良いことがあるとしたら、それは“自分の頭で考えて”ほしいということだけだ。

私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない

最近、フェミニズム関連の本ばかり読んでいる。わたしの認識では昨今のフェミニズムのムーブメントは、韓国が起点となっている。韓国の男尊女卑は日本と比べものにならないぐらいに酷く、韓国の著者が書いた他の本を読むとわかるが、同じ女性として想像を絶する。こんな世界が、社会があってはならない。本書は、ただそうした悲惨な現実の苦しさを訴えるだけの本ではなく、フェミニストがどんな姿勢であるべきかを優しく指南してくれていて実用的だ。これからの時代を生きるすべての人に読んでもらいたい。正直、名著。

「テレビは見ない」というけれど エンタメコンテンツをフェミニズム・ジェンダーから読む

フェミニズムって何から学べばいいの?って思う人は入門書としてどうぞ。馴染みあるテレビのエンタメコンテンツをフェミニズム・ジェンダーの視点で、8人の執筆者が読み解いている。男性4名・女性4名の配分も本書のテーマに合わせており見事だ。最近のテレビを見ていて感じる違和感を解決できる1冊でもあるかもしれない。わたしたちは今、時代変化の潮流のまっただ中にいる。テレビの向こう側、演者の側に同じような感覚を持った人たちがいることを、素直に心強いと思った。

人はなぜ「美しい」がわかるのか

5月は読んだ冊数こそ少なかったけれど、いくつか名著に会えたので嬉しい月だった。橋本治さんの本書も、本当に良い本。冒頭、「なぜ美しさがわかるではなく、美しいがわかるにしたか」について熱く語っているところからして最高。ここでどっちでもいいだろそんなん、と思ってしまったらもう後はついていけないので、じゃあ一旦立ち止まって、なんでどっちでもいいだろって思うのかを考えましょう、って橋本さんはきっと言うはず。遊んでいるような言葉の使い方が楽しい1冊でもある。

本を読むっていいな

最近、本当に純粋にそう思う。本を読んで人生が変わったとか、考え方に良い影響があったとか、人との繋がりができたとかそんな奇跡みたいなことわたしにはまったく起きていないが、そんなことを本に期待したこともない。ただ本を読むのが楽しくて、必要で、気付いたらこんなところにまで来てしまったとだけ思う。本のなかに同意を求めることもなければ、新しい何かをくれることすらもう求めていないのかもしれない。人に説明するために作っていた理由も目的ももはや失って、ただ楽しいだけが残った。

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